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村人と吸血姫と魔族①

お久しぶりです。

 






「そっちにいったわっ!」


 森に響く声は以前より幼さが消えていた。


「ああ。任せてくれ」


 こちらも幼さが消え、頼もしさが伝わってくる。

 ・

 ・

 ・

 森の魔物との戦いに無事勝利した二人は、倒木に腰掛けて休んでいる。


「お疲れ様。はい」


 美しい女性が、この場に似合わないティーセットでお茶を淹れ、青年に手渡す。


「ありがとう。うん。美味い。やはりミルキィの淹れる紅茶は世界一美味しいな」

「もうっ!揶揄わないで!昔みたいにそんな事じゃ誤魔化せないんだからねっ!」


 レビンは何をやったのか……


「……まだ怒ってるよな?」

「当たり前じゃない!あの服は私のお気に入りだったのよっ!」


 今朝、ここへくる前にレビンは洗濯をしていたのだが……

 いつものお節介でミルキィの服も自分の物と同じように洗ってしまった。

 色落ちしただけならばまだいい。それを焦ったのか力加減を誤り、ビリビリに破いてしまったのだ。


「ご、ごめん。また街で買おう?」

「じゃあレビンが私の服を選びなさいよ。もちろん私が納得する物を!」

「えぇ…わかったよ…それより今日はこれからどうする?」


 相変わらず尻に敷かれているのである。

 そんなレビンとミルキィだが、先日18を迎えていた。

 ミルキィはレビンの優しい言葉使いも好きだったが、少し男らしく話して欲しかったらしく、レビンは一年程前からこの口調に変えていた。いや、変えさせられていた…


「エルフの国の依頼はサーベルタイガーの変異種の討伐よ。あれが猫だと言うのならまだ依頼は完遂されていないわ」

「間違いなくアイツがサーベルタイガーの変異種だろうな…」


 二人の視線の先には2本の特徴的な牙を力なく晒している5m以上の体長を誇る魔物が横たわっていた。


「レベルはどうなのよ?」

「残念ながら上がらなかったな」


 現在のレビン達のレベルはそれぞれ

 レベル

 レビン:152(331)

 ミルキィ:80(179)

 であった。


 本来であればミルキィをレベル100に何度もする事が出来た。

 しかし二人はその選択は取らなかった。


 ただでさえ、二人の共に生きられる時間は違う。それなのに寿命が長い方のミルキィが100日もまた寝てしまう。これはミルキィだけではなく、レビンも同じ気持ち同じ考えでそう結論を出していた。


 すでに二人とも人外の強さを誇っている。もはやそれ以上は求めていない。そしてレビンクラスになるとレベルが100くらい上がらないと強くなったのか実感しづらいということも、その判断の要因となっていた。


 ミルキィはミルキィでいくら魔物を倒しても経験値でレベルが上がることは無いことも実証済みだ。

 そんなミルキィがレベル80になっている理由は吸血衝動によるモノ。

 時々顔を赤らめた美女に迫られるシチュエーションをレビンが楽しんでいるというのはここだけの秘密。

 迫っている理由はもちろん吸血だが……


「いいんじゃないかしら。あがっても152が153になったところで何一つ実感できないでしょう?」

「そうだな。ミルキィはどうだ?最近レベルドレインしていないが……大丈夫か?」

「問題ないわ。それに…レベルドレインをしてレビンとまた離れ離れになる時間が早まると思うと……そんな気も起きないの」

「ミルキィ……」「レビン……」


 甘々な空気が流れているが、こうなったのは割と最近だったりする。

 この二人はあの日、ミルキィの両親の結婚式の後、結ばれた。


 しかし、長い間幼馴染だった二人は距離の詰め方を知らない。

 ずっと幼馴染の距離だったのだ。いきなり恋人同士の距離感になどなれない。

 ミルキィは耳年増の為、恋人というものに憧れがあった。

 レビンはレビンである為、恋人というよりも家族として見ていた。


 そんな二人が普通の恋人のようになるには、かなりの時間を要したのだった。













 依頼を達成した二人は、報告の為にエルフの国を訪ねた。


「久しぶりね。あらレビンくん、また背が高くなった?」

「久しぶり。そうかな?自分じゃわからないなぁ」

「はぁ…貴方は成長しても相変わらずの様ね。それよりも良いタイミングだったわ。依頼を受けた貴方達と入れ違いでお客様が来ているわよ」

「客?」


 レビン達が依頼を受けに来た時にはミルキィの母である純血の吸血鬼のレイラとは会っていなかった。

 そして久しぶりという事は、二人は別々の所で暮らしているということ。

 レイラとミルキィの父バーンナッドは、エルフの王と王妃として、ここエルフの国で暮らしている。


 一方、レビンとミルキィはここではなく魔の森の中にあるレイラの元家で暮らしているのだ。

 バーンナッドは最後の最後まで抵抗していたが、嫁と娘に嫌われないように渋々それを受け入れていた。




 魔の森、それも不可視の国であるエルフの国に客?

 色々な疑問はあるものの、二人はレイラの元を立ち、依頼者であるバーンナッドの元へと向かった。

 そしてそこには懐かしの人物の姿が……


「ゲボルグさん!?」


 エルフの王であり、近い将来の義父を無視して、懐かしい人へとレビンは声を掛けた。


「久しいのである。レビン?大きくなったな」


「お久しぶりです。まさか僕達に会いに?」


「そのまさかである。しかし、いい意味では無いのだ」


 そう語るゲボルグの表情は憂に満ちていた。


「…何かあったのですか?」


「魔族の国が襲われているのだ」


「えっ?確か魔族の国は元々人族に追われて、人里から離れた場所にあるはずじゃ?」


 魔族と人族に見た目の違いはない。魔法が得意かそうでないかの違いだけだ。

 そして人族に迫害された魔族は未踏の地へとその姿を隠した。


「そうである。最早隠す意味もないから伝えるが、魔族の国はここより遥か北にあるのだ。

 そして、攻め込んできたのは別の大陸の者達だ。

 見た事もない武器を使い、我等を追い込んでいる…こうしている間にも……」


「わかりました。行きましょう」


 ゲボルグはまだ何も言っていない。

 だが、その悲壮感漂う姿を見ていられなかったのだ。


「良いのであるか?もちろんその為に来たのであるが…敵は数も多く……『時間が惜しいわ。さっさと行きましょう?』 …すまぬ」


 ゲボルグの話はすぐに脱線する。

 ミルキィは魔族に思い入れはないが、自分を目覚めさせる為にレビンと協力してくれた(?)ゲボルグには、いつか恩返ししたいと思っていた。


「ミルキィ…身の危険を感じたら…『パパ。私はもう大人よ?』…はい」


「バーンナッドさん。ミルキィは必ず守ります」

「レビン……」


 二人が甘い空気を出し始めたので話はここで終わった。











「では、行ってきます」「行ってくるわね」


 故郷の村を出てきた時と同じように、多くの人々(エルフだが)に見送られながら二人はエルフの国を出た。

 唯一違う所はお荷物が約一名いることだろう。

お久しぶりでごさいます。

その後の話を少しずつではありますが投稿していきます。


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