参戦。〜助太刀致す〜
「僕も参戦します」
レビンは多くのエルフが見守る中、決意を伝えた。
「ダメだ。レビンくんを戦争に参加なんてさせたらレイラに怒られてしまう。恐らくミルキィにも」
考える余地もなく却下された。
「レイラさんは僕の好きにしたらいいと言ってくれました。ミルキィはこれまでもずっと好きにさせてくれました。
お願いします!
僕は嫌なんです!
エルフの皆さんが傷つくのも嫌なんですが、一番はその時に何もしていない自分が嫌なんです!」
「…ふふ。そうか。レビンくんは正直だな。いやこの場合は馬鹿正直と言うべきか。
わかった。それなら好きにするといい。だがこちらから君にお願いする事はないよ?
君の命を預かるには私には負担が大き過ぎるからね」
バーンナッドは未だ見ぬ成長した愛娘に恨まれる事だけは避けたかった。
「もちろんです!それまでお世話になりますね!何かできる事があれば言ってください。ただで泊めてもらうのは忍びないので」
「そうか。それなら物々交換だね。わかった。仕事は山ほどあるからお願いするよ」
バーンナッドはエルフが苦手とする力仕事をこれでもかとレビンに回していった。
この辺りは流石夫婦である。
レビンも途中で『早まったかもしれない…』と少しばかり後悔していた。
「では僕は好きに動きますね」
あれから10日。精霊魔法によりダークエルフの接近が報された。
この10日で壊れた建物はレビンが下に落として一箇所に固めてある。
復興は以前進んでいないが、まずは片付け。そして戦争の決着。
それからだと伝えられていた。
「ああ。頼むよ」
好きに動くと言っているがこれは方便だ。
ダークエルフの陣容を先日聞いた時にレビンは色々と説明を聞いた。
そして勝利する為の条件を確認してある。
非戦闘員は相変わらず木の上。
残ったエルフの戦士はバーンナッドを中心に固まって行動をする事に。
この時点でダークエルフ側は不自然に思う事だろう。
精霊魔法の使い手であるエルフは固まった軍事行動はとらない。
どちらかと言うと精鋭の戦士がゲリラ作戦を取る事が多いのだ。
固まっていても5人ほど。
そう思っていたダークエルフだったが、エルフの部隊は300程の規模を見せていた。
先日、作戦会議の場にて。
「馬鹿な事を言うな!」
エルフの古参の戦士は激昂した。
「こうすれば犠牲は最小限です」
「人族に託せと言うのか!このエルフの国の未来を!」
さらに詰め寄ってくるエルフの戦士だったが、レビンは臆することなく伝える。
「人族とかエルフとか関係ないです。困っている人がいれば種族は関係なく助けたいです。
それにエルフの国の未来を託されても困ります。
僕はあくまでもこの戦争に勝つ事。そして一人でも犠牲者を減らす事をしたいだけです」
このエルフの戦士もレビンを侮っているわけではない。エルフとしての誇りを守りたいだけなのだ。
「レビンくん。だが私は君に頼む事はしないよ」
そこにバーンナッドが声を挟む。
「わかっています。皆さんは戦力差から守りに入るだけです。その時に偶々居合わせたどこかの人族が勝手に何かをするかもしれませんが」
「うーん。何だか結局頼んだのと変わりないような?」
「二人には黙っておくので大丈夫ですよ」
最早建前などあってない様なモノだ。レビンは参加できれば良い。
バーンナッドは出来たら参戦してほしいが……誇り高いエルフの戦士達の前でレビンに縋るような真似は出来ない。
よって、この茶番なわけだ。
国王は大変なのである。大なり小なり。
「みんな聞いてくれ。今となっては向こうとこっちの戦力差は歴然。私としては皆に死んでほしくない。
だが国を守る為には犠牲がついて回る。
しかし国を守れないのであればそれは犬死になってしまうかもしれない。
守ってこそだ」
守ってこそを強調して伝えたバーンナッドは続ける。
「家族、国を守る為に私に命を預けてほしい。そして一時的に誇りをここに置いてほしい。勝つ為に。守る為に。そして私の大切な戦士達自身の為に」
王にここまで言われてはいくらプライドが高いエルフの戦士であっても頷く他なかった。
そして今に至る。
「うわぁ。かなりの数がいるなぁ。頑張らないとね」
戦場は森の中。向こうは森を得意とするダークエルフだ。
森歩きが得意と言ってもそれは人族の中ではと付く。
しかしレビンは呑気だ。微塵も遅れを取るとは思っていない。
木々が邪魔で全ては見えないが高レベルのレビンの視覚は遠くまで見通した。
「いた!あれがそうか。じゃあ皆さん行ってきます!」
何かを確認したレビンはエルフの塊に向けて挨拶をして、走り出した。
それを確認したダークエルフからどよめきが起こる。
「は、速い!?」「何だ!?」「エルフの子供か!?」
そう認識した時にはすれ違っていた。
そしてレビンは目的の場所へとすぐに辿り着いた。
「貴方がダークエルフの王ですね?」
レビンは周りの100人程のダークエルフ達とは違い、装飾過多な煌びやかな装いのダークエルフに向けて言葉を発した。
「エルフ…ではない?」
レビンに問われた王はエルフ以外がいることに驚くが、それよりも先に周りのダークエルフがレビンを咎めた。
「貴様!?何奴!?」
ヒュンヒュン
「ぐえっ!?」「ほげっ!?」
レビンは王と自分との間に割って入ったダークエルフに向けて、鞘に入ったままの愛剣を振るった。
「さっ。貴方には来てもらいます」
レビンがいとも簡単に周りのダークエルフを何人か倒すと、他のダークエルフはレビンの異様さに気圧されて動く事ができなくなった。
「ち、近寄るなバケ「えいっ」ぐえっ!?」
ダークエルフの王はレビンによって意識を刈り取られ、連れ去られたのであった。
残された他の者達はあまりの格の違いに冷や汗を流しながらそれを見送る事しか出来なかった。
「あ、あれは…何だ…?」
その場の誰が発したのかわからない呟きは、森の風に流された。
「障壁を張れ!」
その掛け声により300人のエルフを囲む様に半透明の壁が生まれた。
「いよいよか…レビンくん頼むよ」
ダークエルフの攻撃が始まる。そう思った矢先。
「ん?攻撃が来ないな。どうした?」
バーンナッドは周りにいた戦士に聞く。
「はっ。何やらダークエルフ側が騒がしい様でして」
するとすぐに別の報せが入った。
「お伝えします!あの少年…レビンがダークエルフの王を捕らえてきました!」
「…出来るとは思っていたけど……早すぎないかな?」
バーンナッドはこれまでの苦労を返してくれと誰かに叫びたくなった。
ここにエルフを長年苦しめていた戦争は一人の魔王の手によっていとも簡単に終止符が打たれたのであった。
レベル
レビン:80(179)
ミルキィ:99
魔の森の中をエルフの国とレイラの家の往復であまりにもレビンが強くなっていたので戦闘描写が無くなり短くなってしまいました。
えっ?この小説に戦闘描写なんてないだろ?
…作者の頭の中ではそれはもう盛大で壮大なスケールの…はい。わたくしめの能力不足、文才の無さの責任です。。。




