第三章 終話 さよなら。また会おう。
ミルキィの清拭を終えた二人と合流してまた話し合う事に。
「でもまだ2日目なんだよね?それなら起きるかも……ごめん。気休めだね」
服を脱がされて身体を拭かれても目覚めなかったのだ。
今日明日ひょっこり起きるとは思えなかった。
「いえ。それは僕も期待していますから。
だけどこのままただ待つというのはあり得ません。実は冷静になって考えてみたら一つだけ手掛かりがあったんです」
「えっ?それはどんな?」
「ミルキィの母親は僕達ではわからない場所に身を隠したそうですが…ミルキィの父親です」
「それはエルフだという?」
レビンの答えに返したのはダリーだ。
「はい。どうやら理由があり、エルフの国に帰っていると伺っています。娘であるミルキィですら面識はありませんが…」
段々と口籠るレビンにサリーが続けた。
「ミルキィちゃんのお父さんでなくても長命種のエルフであれば何かわかるかも。
でもエルフ自体見かける事はないから難しいよ?」
「そうだぞ。幻の種族って言われている上に、奇跡の森なんて言われてるとこだぞ?」
サリーの言葉にアランが続いた。
「幻の種族はわかりますが……奇跡の森?」
「なんだ?そんな事もしらねーのか?エルフの国の呼び名だよ」
「エルフの国の名前…」
「あくまで呼び名ね。人族が勝手に呼んでるだけみたいよ」
レビンの呟きに訂正が入る。
「ですが新しい情報です。ありがとうございます」
「よせよせ。こんな子供でも知っている事を知っていたってエルフの国には近づけねーよ」
御伽噺に近い事らしい。
「でもこれなら?」
そういいながらサリーが出してきたのは本であった。
「そうそう。これこれ。よくお袋に読んでもらったっけな。懐かしいぜ」
「でもこれは御伽噺じゃないの?」
「そうだよ。でも御伽噺でも何もないところからは話は生まれないよね?もしかしたら案外答えがのっているかも」
「?その本はなんですか?」
ガーランドの友だけで盛り上がりレビンは置いてけぼりであった。
「あぁ。ごめんね。これはエルフが出てくる本だよ。子供向けのね」
何でそんなものを持ち歩いているのか?
喉まで出かかった言葉を『今は関係ないよね』と呑み込み、マジマジと本を見つめた。
「この本によると・・・・・」
サリーが一節を読み始めた。
『西と東の間より、北の山から舞い降りた天使は自身の種族を耳長族と名乗った』
それを聞いたレビンは頭をフル回転させた。
暫く沈黙が流れた後、レビンが静寂を破る。
「…すみません。思い浮かびません」
「謝る事はないよ。これについては色んな人が色んな事を言ってるからね。
帝国にある山とか、神聖王国がエルフを隠してるとか。
突拍子の無いものだと、魔の森の奥に住んでるだとか」
「魔の森…?」
いくつかの候補の中でレビンは魔の森という言葉が気になったようだ。
「ん?魔の森か?知ってるか?この国のはるか先にある森で、人は近寄れないって言われてる森だ。
魔物がつえーし、人里なんかないから休むところもない。数多くの金級冒険者を呑み込んだ森だな」
(確か…ミルキィがいってなかったっけ?『ママは…』くそっ!思い出せ!)
レビンは記憶の扉をこじ開けた。
『ママは昔、迫害を逃れて人がこない森で一人で暮らしてたらしいわ。そこにパパが来たんだって聞いたわ』
「そこです!そこに行きたいですっ!」
記憶を辿って出した答えは魔の森。
もちろんエルフの国があるかは不確かである。
しかし、ミルキィの母親であるレイラはそこに住んでいる可能性がある。
「ん?何かあるのか?」
いきなり食いついたレビンにアランが訝しそうに問う。
「はい。確証はありませんが唯一引っかかったのがそこでしたので」
「じゃあその場所を私達の知る限り伝えるから地図にしてみない?」
世界地図どころか国の地図すらない。
もちろん国の中枢であれば国内の地図くらい入手出来るのかもしれないが、この世界では軍事要素が強すぎて市井には出回らない。
サリーの提案によりガーランドの友とレビン合作の魔の森までの地図の制作に取り掛かる事になった。
ミルキィが昏睡状態で何を悠長なと思うかもしれないが、実際に出来る事など少ないのかもしれない。
ヴァンパイアやエルフの情報すらないのだ。
レビンは藁にもすがる思いで生き残りのヴァンパイア、隠れ住むエルフを探す事に決めた。
「本気で一人で行くのかよ?」
翌朝街の入り口にみんなの姿があった。
「はい。これ以上はミルキィの……ううん。僕達の問題ですから」
「遠慮しなくてもいいのよ?」
アランの最後通牒のような言葉にもレビンは毅然として答え、しかし初めての教え子が心配なカレンは尚も思いを寄せた。
「大丈夫です。皆さんが心配してくれている事はありがたいですし、幸せな事だと思います。
でも、僕の移動についてこれますか?」
それに対してレビンは不敵に笑って答えた。
「ふふ。そうね。レビンくんの心配なんて出来ないわね」
「レビン。困ったらいつでも声をかけてくれ。俺たちは違うパーティだが、仲間だ」
「ミルキィちゃんをよろしくね」
アラン以外の3人が温かい言葉をレビンに向けた。
「レビン。ミルキィちゃんの奪い合いは一旦中止だ。でもミルキィちゃんが起きたら手加減しねぇからな!」
「いや、アランに脈はないよ…」
アランの応援?は笑いに変わった。
「みなさんお世話になりました。ミルキィが起きたら必ず良い知らせを持って会いに行きます!
ガーランドの友が良い冒険が出来るように遠い空の下から微力ながら応援していますね!」
「じゃあなっ!」
「元気でね!」「また会おう!」「うぅっまたね!」
カレンは涙を堪えきれず泣きながらとなったが、みんなでレビン達を見送った。
レビンはおんぶ紐で背負ったミルキィに何事か呟くと、街で購入した荷車を引きながら砂漠に囲まれた街を後にした。
レベル
レビン:22(121)
ミルキィ:99
※何故荷車にミルキィが乗っていないのかというと、砂漠を越えるまでは荷車を軽くする為です。
プラス、荷車の振動が身体によくないかもしれないと考えて出来るだけ背負うようです。
第三章おわりです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
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