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剣士は照れ屋で頑張り屋。





「ありがとう!これでレベルの事がわかるようになるかも!」


あの後レビンはミルキィと一緒に今のレベルの能力値を測った。

項目としては幅跳び、垂直跳びの跳躍系から石投げ、重量上げ(石)などの力系まで多岐に渡った。


「レビンがやりたいようにやればいいのよ」


すっかり昔のお姉さんキャラへと戻ってこられたミルキィであった。


能力測定を終えた二人は街へと帰り、次の目的の前段階としてギルドで換金を終えた。





「新人冒険者の割には力があるんだな」


二人が目的地としたのは街の武器屋だった。

アイラに聞いた優良店である『キリギスの剣』の店主であるキリギスはミルキィがロングソードを構えたのを見てそう告げた。

構えは素人そのものだったが、その体幹には目を見張るモノがあったからだ。


「うん!カッコいいよ!ミルキィは見た目が綺麗だから様になるね!」


ミルキィの身体は165cmですらっとした細身である。レビンは170cmでお互い平均的な15歳の身長であるが村どころか街で見かける人達とミルキィを見比べてもレビンの瞳にはミルキィが美しく見えた。

見比べたからこそそう見えたともいえる。

これまでは見比べる対象すらいなかったのだから。


「ば、馬鹿っ!き、綺麗ってホント…?」


人前で褒められた事に赤面した後、綺麗だと思われていた事が本心か気になった。


「うん?そうだよ?だって顔は小さいし、目は大きくて鼻は大きくはなく高いし…あれ?僕の価値観っておかしいのかな?」


「はっはっはっ!いや、坊主の言う通り嬢ちゃんは美人だぞ!だが女を褒める時は具体的にいうもんじゃないな!」


「そうなんですね。わかりました!」


レビンは騙されやすいタイプなのかもしれない…

よく言えば人の意見を取り入れられる善人である。


二人の話を聞いていたミルキィは話題が自分の事である為、さらに顔を赤くして俯いてしまった。


(レビンの好みって事じゃないじゃない!何よ!その取ってつけたような理由は!)


レビンはまたも言葉選びを間違えた。


しかし武器選びは間違いではなかったようで宿に帰ってからもミルキィはニコニコしながらロングソードを丁寧に手入れしていた。

宿も気に入り、1週間分の料金を支払っておいた。もちろん日々のお湯代も含めて。





この世界には地球にはない…いや、元々はあったが今は形骸化してほぼ無くなっている身分制度がある。

まずは多くの国で採用されている君主制により王侯貴族が最上位にいる。

その下は国で要職についている官僚達であるが、職種に差別はないため、個人に対しての身分は特にない。平民が官僚であっても平民である事に変わりはないからだ。

貴族達の下は平民であり、前述したように農民であっても商人であっても官僚であってもそこに身分差はない。

街や村に住んでいて税金を支払っていれば誰でも平民である。


しかし職業に差別はなくともしたくないことはしたくないのが人である。

村などの小さなコミュニティではみんなで協力するが街であれば別のことがある。

それが糞尿の始末だ。

村などでは肥溜めとして肥料作りが行われるため、各トイレに溜まった排泄物は当番制で肥溜めへと移される。

街では農業を生業としている人が少なく、仮にいたとしても肥料は付き合いなどもあり、街中で購入している事がほとんどであるし、仮に肥溜めを作ったとしても需要と供給のバランスが取れるはずもない。

では糞尿はどうしているのかというと、街の汚水、汚物処理場で処理されているのだ。この世界ではどこにでもいる弱い魔物の代表としてゴブリン、スライムがいるがスライムは汚物であっても吸収して僅かな水分を残すだけなので処理場内で飼われて使われているのである。


話が逸れてしまったが、その処理場に汚物を運ぶ、汚物の臭いが充満したそこを管理する仕事を人々が嫌がったのであった。

しかしそれをしなければ病が蔓延したり、環境がすぐに悪くなってしまう。それを歴史で学んだ者達は考えた。したくなければ強制するしかないと。


その考えから生まれたのが『奴隷』であった。

では誰を奴隷にするのかであったが、それは簡単に結論付けた。犯罪者を奴隷としたのだ。


もちろん期間などは罪の大小によるのだが、割愛する。

奴隷の成り立ちはそれであったが、今では奴隷の仕事も多岐に渡っている。

国や行政が管理している奴隷は未だに汚物処理を中心とした仕事をしているが、一度『奴隷』という身分を世に浸透させれば色々と試行錯誤するのが人である。


試行錯誤された結果が今の世になる。

奴隷を大きくわけると最初に記述した『犯罪奴隷』は罪の大小で奴隷期限はあるものの完全に人権がない奴隷で『借金奴隷』は借りた金額ではなく、最終的に買われた金額により奴隷期間が変わるものであるが、最低限の人権はある。

今では娼館で働く娼婦の半分以上は借金奴隷であり、個人が持つ事が出来るのは借金奴隷だけであり、借金奴隷を商品として扱えるのは国が認可した奴隷商人のみである。




「今日初めて奴隷を見たよ。街では肥溜めに運ぶ作業がなくていいよね」


レビン達は糞尿が入った桶を運ぶ奴隷を、武器屋から宿に帰る道中に見たのであった。


「そうね。あの作業は辛いものがあったわ」


二人のこの感想からわかるように奴隷制度、身分制度は差別というよりは区別に近い認識だ。

もちろん奴隷側からすれば差別にしか感じないわけだが…


「うん。ありがたいよね。でも僕はしたくないから犯罪はやめてね?」


「何で私が犯罪を犯す前提なのよっ!」


もちろんレビンは冗談でいったのだが、今日アイラから告げられた注意事項によるものだった。


『仲間が犯罪を犯すとパーティメンバーも罪に問われる場合があります』


どう言ったものかというと、受けた依頼を完遂していないにも関わらず虚偽の報告をした場合などだ。

街中で殺人を犯すなどのわかりやすいものであれば連帯責任には問われないが、虚偽の報告など、誰が主導したかわからないモノに関しては連帯責任となる場合があると注意喚起されたのだ。

何故このタイミングで告げられたかというと、まさに本日この出来事が起きたからだ。

そして二人には告げられていないが、アイラは二人であれば常設依頼ではない依頼を受ける事になる、銅ランクの冒険者へと近いうちになると思っていたからでもある。


「馬鹿よね。出来もしない依頼を受けたのは仕方ないにしても嘘の報告をするなんてね」


「うん。失敗しても命までは取られないのにね」


命は取られないにしても罰則はある。ランクの降格や依頼によっては罰金など。


「でも状況によっては罰金が払えなければ借金奴隷よ?そうなった場合私は間違いなく娼館に買われるわ。レビンはそれでもいいの?」


「いいわけないよっ!」


レビンは食い気味に、そして少しの怒気を込めて返事をした。

幼馴染のその反応を見てミルキィは心の中でにやにやするのであった。


「そうならない為にも依頼はよく考えて受けなきゃね!」


「え、ええ。お任せするわ」


ミルキィは食い気味に怒りながら告げられた事により自身にそれだけの好意があると思い上の空になっていたが、レビンの心中やいかに。




「それだと自分の脚を切ってしまうから上から振り下ろす時は…」


翌日、森の中で剣を振り回すミルキィの姿があった。

レビンは間違っても斬られない位置に立ち、村で見た事のある剣術と愛読書(冒険録)の知識で指導をした。


「うん。いいんじゃないかな。理屈には適っていそうだし、何よりもレベルの恩恵で太刀筋が悪くて切れなくても鈍器としては中々の威力で使えそうだしね」


これには暴力?にあまり興味のないミルキィでも


「それってカッコ悪くないかしら…?」


「見た目はね。でも僕達はカッコつける為に武器を扱うんじゃないからね。魔物や悪人が倒せたらいいし、何よりも自分の身を守る事が出来ればそれでいいよ。それに僕は剣術の先生じゃないから細かいところはわからないから、ミルキィはとにかく剣になれる事だよ」


命が無くなってしまえばそれまでである。

ミルキィも考え直し、剣を振る。


(レビンと長く一緒にいる為にも、レビンを守る為にも頑張るわよ!)


この日の午前中一杯は剣の練習となった。もちろんレビンはボーッとしていたわけではなく、村から持ってきていた短剣の扱いや、レベル…は上がっていないが恩恵は上がっている為、投擲の練習に励んだ。

投擲は大昔から使われている二足歩行の動物だけに許された極めて殺傷能力の高い攻撃である。

これまでは弓での攻撃が主であったが、これからもずっとという訳にはいかない。前衛の仲間を増やせばいいのだが、ミルキィの秘密やレベルドレインがあるため現実的ではない。

その為、出来ることは多い方がいいと考えたレビンは攻撃手段を増やす事にしたのであった。


レベル

レビン:1→1

ミルキィ:7→7

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