49・三人の就寝
たまにはこちらも更新や♪
この作品のファンの方々、最近作者の別作品、『蒼の瞳の騎士 紅の瞳の姫君』も更新していますので、良かったら見に来て下さいな♪
「そろそろ寝るか」
三人で話し込んでいると、何時の間にか夜も更けていた事から、カイルが就寝を告げた。
「カイル。ベッドの配分はどうする?」
ローベルが提案した。
「俺は其処のソファーで寝るから、サクラとローベルはベッドで寝ろよ」
カイルが二人に告げた。
「カイル…ベッドで寝なくて良いの?」
サクラが尋ねる。
「ベッドが二つしか無いんだから、しょうがないだろ? 別に俺はやろうと思えば、床でも寝れるし、ソファーでも充分だ」
「でも…」
「俺はこのチームのリーダーだ。お前らは大人しく従ってろ」
そう告げるとカイルはソファーに横になり、帽子を脱いでサクラ達に背を向けた。
「…しょうがないよサクラ。カイルはこう言ったら聞かないし。大人しく寝よう?」
「…うん」
カイルと付き合いの長いローベルに言われて、サクラは渋々承諾する。サクラとローベルはそれぞれベッドに潜り込んだ。
「おやすみ、カイル、サクラ」
ローベルが二人に告げた。
「うん、おやすみ」
「ああ」
二人はそれぞれ言葉を返した。やがてサクラは疲れもあったのか、ヴァンパイア・ロードであるにも関わらず、眠りに就いた。
※ ※
それからどれ位時間が過ぎたか分からないが、サクラはふと目を覚ました。何気にカイルの寝ているソファーを見ると、カイルはまだ起きており、仰向けで本を読んでいた。
「カイル?」
「んっ…? ああ、悪りぃ…起こしちゃったか?」
カイルが本を閉じて、体を起こしながらサクラに謝罪しつつ尋ねた。
「別にカイルのせいで起きた訳じゃないよ…カイル、こんな暗くて本見えるの?」
「俺は猫獣人だからな。夜目は利くんだよ。そういうサクラも、こんな暗くて俺がなにやってるか、良く見えるな?」
「えっ? そういえば…」
カイルに指摘されて、サクラは今自分が暗闇にも拘わらず、カイルが何をしているか視認出来た。
『多分僕がヴァンパイアだから、夜目も利く様になったんだね…』
そう考えるサクラ。サクラは嘗ては特に夜目が優れている訳ではなかったが、今は昼間の様に見える。
「あのさカイル…良かったら僕と寝ない?」
「は?」
「…あ、いやその…一緒のベッドで寝ようって提案なんだけど?」
変な誤解をされない様に、サクラが説明しておく。
「いや分かってるけど…お前、良いのか?」
「僕は構わないよ。カイルが良いなら?」
「…俺も良いが…あんまり他所の奴にそういうのをやるなよ」
そうカイルに言われたサクラ。
そしてサクラはベッドの端に寄り、カイルが空けられたスペースに潜り込んだ。
「……」
「……」
カイルの方が身長は高いが、殆ど向かい合う形で横になっている二人。
『…凄い綺麗な目だな…』
サクラの紅い瞳を近くで見て、少し見惚れてしまうカイル。するとカイルを見つめていたサクラが、カイルの顔に手を伸ばした。
「お、おい…一体何をする…んんっ!?」
サクラが行った行動それは…カイルの両頬に触れただけであった。
「モコモコの黒い毛…やっぱり猫なんだねカイルは…」
「…正確には俺は猫獣人だぞ?」
「うん分かってるよ…カイルありがとう…僕を誘ってくれて…」
「気にすんな…お前が戦闘力が高かったから、誘ったってもあるから」
「カイル…僕、頑張るね…おやすみ」
そう言うとサクラは、カイルに背を向けてしまった。
「…これじゃさっきと逆だろう…おやすみサクラ」
苦笑しながらサクラに告げるカイル。やがてカイルもサクラも夢の世界へと旅立った。
サクラに両頬を触られたそうになった時、カイルは『させろ』という意味かと考えてたんやで!
感想・ブックマーク登録・レビュー・ポイント評価・質問等ありましたら、是非ともどうぞ♪