43・国へ向けての出発
この話が、今章のエピローグですわぁ。だから少し短い。
「サクラがメンバーに入ってくれるなんて、心強いよ」
ローベルがカイルとサクラと共に歩きながら言った。あの後ローベルにもサクラをメンバーに入れる事を話した。カイルが独断で決めてしまった為、何か苦言を言われるのではないかと思ったが、ローベルは快く受け入れてくれた。
「ありがとう…それでカイル。僕達はこれから何処に行くの?」
サクラはカイルから、とりあえず移動すると言われて付いて行っている。
「この街の宿は、何処もいっぱいだったから、他の街か村で宿を取ろうと思うから、俺達の車が停めてある場所に向かっているんだ」
「えっ? カイル、車持っているの?」
まさか異世界に車が在るとは知らず、サクラは驚いた声を上げた。
「俺というか、チームの車だけどな…ほら、あれだ」
そう言って示したのは、カイル達のジープと小型トラックの二台。三人は二台の車の前まで移動する。
「ローベルはまたトラックを運転してくれ」
「分かった」
カイルの指示を受けて、ローベルはトラックの方へと向かった。
「サクラ。お前はどうする? 俺が運転するジープに乗るか? それともローベルのトラックの二台に乗るか? あっちには武器や食料も載っているが、人も充分乗れるぞ?」
カイルに言われて、サクラは少し考えた。
「…じゃあカイルの方で良いかな?」
「分かった。乗れよ」
そう言うとカイルは運転席の方へと足を進め、サクラは助手席の方から、ジープに乗り込んだ。
助手席に座ると、サクラはシートベルトを装着する。するとカイルが乗り込んできて、エンジンを掛ける。
「じゃあ行くぞ…今更だが、お前は揺れに酔うタイプか? 初めての奴は酔うからな」
「ううん。乗り慣れてるから、大丈夫だよ」
カイルはサクラが乗り慣れていないと考え、気を利かせて尋ねたが、サクラは前世で、両親や兄や姉が運転する車で乗り慣れている為、問題は無かった。
「へぇ~…サクラは他でも車に乗った事があるのか?」
「うん…まあね…」
まさか前世とは言えず、言葉を濁すだけであった。
「なら大丈夫だな…じゃあ行くぞ」
カイルはアクセルを踏んで、運転をし始めた。カイルが運転するジープの後ろには、ローベルが運転するトラックも続いてくる。
街中を走らせていくと、サクラが最初に通った入り口に差し掛かった。
カイルがジープに乗ったまま警備兵とやりとりしていると、警備兵がサクラの存在に気付いて驚いていた。
やりとりが終えると、カイルはジープを走らせた。
「……」
ふとサクラは街を振り返った。
『…転生して最初の街…色々あったな…』
この世界の人間との最初の邂逅、人間への殺傷行為、そしてカイル達との出会い…一つの街でそれだけの事を体験した事を感じるサクラ。
そしてサクラは再び前を向き、カイルとローベルとのこれからの事を考えるのであった。
此れにて今章は終了ですわぁ。次は何時になるか分からないですが、『転生したドララー』や新作を楽しんで、気ままに待っていて下さいなぁ♪
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