35・合流
少々、『転生したドララーのオタクは、美少女になり、ドラゴンの恋人になって、竜騎士になりました』が詰まり気味なので、気分転換も兼ねて、久々にこちらを投稿しましたわ。
ドゥゥンン…
構えられたリボルバー型の銃・シュタインベルガーから火が拭き、目の前の敵が銃殺される。ソレを構えるのは、背中にボルトアクション式ライフル・バルバレスコを背負った青年・ローベルであった。
本来ローベルは、ライフル狙撃を得意とするガンナーであるが、何故か今は拳銃を使っていた。それは…。
「室内だから、ライフルが使えない…私にとっては、最悪のフィールドだな…」
ローベルの言うとおり、狭い室内では長柄のライフルは役に立たない武器の為、ローベルはサイドウェポンである拳銃を使用していた。
「ウォラアァァ!!!」
「!?」
すると横から別の敵が襲い掛かってきた。ローベルは素早くシュタインベルガーを向けるが…
カチッ…
「!?」
弾切れであった…。素早くリロードをしようとするが、敵は待ってはくれない。
「くっ…」
死を覚悟した時であった。
ダァン!
「がぁ!?」
一発の銃声と共に、敵は悲鳴を上げながら倒れた。
「簡単に諦めるなよ、ローベル」
聞き覚えのある声の方を向くと、其処には黒猫の獣人と銀髪の少女が立っていた。
「カイル、無事だったか!」
「俺がこんな連中に、殺される訳ないだろ」
カイルはリロードをしながら、ローベルに返した。
「まあそうだよな…その子は?」
ローベルはカイルの後ろの銀髪少女・サクラについて尋ねた。
「ああ、こいつはサクラ。さっきヤバそうになった時に、助けて貰ったんだ。それで一緒に行動をしていたんだ」
「そうなんだ…私はローベル。カイルの仲間だ。カイルを助けてくれてありがとう」
「サクラです。僕も一人では不安だったので、カイルさんに付いてきたんです」
そうサクラは説明する。
「サクラ、俺の事は呼び捨てで良いぞ。敬語も要らない」
「私もそうして良いよ」
「…じゃあ、そうさせてもらうね」
カイルとローベルに言われて、サクラは普段の喋り方にする。
「それでカイルとローベル。これからどうするの?」
サクラが二人に尋ねる。
「それは…」
「ある奴を殺す」
ローベルが何かを言おうとするのを遮り、カイルが答える。
「殺すって…」
突然のカイルの発言に、サクラは戸惑う。
「カイル落ち着いて、サクラが戸惑っている」
「…あぁ悪りぃ…実は俺達、元々は十人で構成されていたチームなんだが、前のボスを含めて、皆殺されてしまったんだ」
「……」
カイルの説明を、サクラは衝撃を受けながらも、黙って聞いている。
「俺達の仲間を殺した奴…そいつがこの店に現れて、襲ってきたんだ」
「多分、私達の後を追跡してきたんだ」
ローベルが補足する。
「だから俺達は、何としてもそいつを殺す…サクラ、お前は店の何処かに隠れて、頃合いを見計らったら、店から脱出しろ。お前はこれ以上巻き添えを喰らう必要ない! 行くぞ、ローベル」
カイルはリロードを終えたローベルを連れて、移動しようとした。
「待って、カイル!」
そのカイルを呼び止めるサクラ。
「僕も一緒に行くよ…」
「…さっきみたいな事も、またやる可能性があるぞ?」
殺気の事とは、人を殺める事である。その事を知らないローベルであるが、現状から何となく理解出来た。
「分かってる…でも二人を置いて、一人だけ逃げ出せないよ!」
サクラは何故か分からないが、この二人を見捨てる事は出来なかった。
「カイル…」
ローベルがカイルの事を見る。
「…分かった…なるべくお前には負担を掛けない…俺かローベルがやる」
「カイル…ありがとう」
穏やかな笑みを浮かべるサクラ。そのサクラの顔を見て、カイルは慌てて目を背ける。
「? どうしたの?」
「い、いや…何でもない…行くぞ、ローベル、サクラ」
カイルは話を逸らして移動し始める。サクラは不思議な顔をして付いて行く。一方ローベルはカイルの反応に驚いた表情を浮かべて、カイルに付いて行った。
カイルの反応は何や?
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