03・『世界の知識』と桜の正体
毎度おなじみの、スキル登場!
「認められるかぁぁぁ!!!」
廃墟に桜の悲鳴が上がる。その声は生前より高く、美少女とも言える声をしていた。
「…僕が幾ら否定しても…美少女だよね…」
鏡に映る自分の今の姿を見ながら、桜は現実を受け入れ始める。
「はぁ…なっちゃったからには…仕方ないか…」
鏡を見ながら呟く桜だったが、ある事に気付いた…今現在の桜は美少女であり…全裸だった。
「!!!」
急に恥ずかしくなり、鏡から目を逸らした。
「ってか僕の胸…滅茶苦茶大きいじゃん…」
今の桜は女の子の為、当然ながら胸は有ったが、その大きさはかなりのモノであった。
「…桔梗姉や蓮華姉や桃華姉も、かなり胸が大きかったから…僕も大きくなったのか…?」
桜が思い出す様に言った。
桜には四人の兄と姉、妹が一人の六人兄弟であった。
一番上が、長男の杉人 二二歳。
二番目が、長女の桔梗 二十歳。
三番目が、双子の次女の蓮華 一八歳。
四番目が、双子の三女の桃華 一八歳。
五番目が、次男の桜 一四歳。
六番目が、四女の椿 一三歳。
桜の兄や姉や妹は、全員植物の名前が付いていた。
そして桔梗、蓮華、桃華の姉三人は、男性は当然ながら、女性でさえ誰もが振り向く程の、超絶美人であり、そしてスタイル抜群でもあった。
「よくクラスの男子が、桔梗姉達を見たがってたけど、あれって絶対、エロ的な考えだよね…ってか今はそれ処じゃない! 何かで隠さないと!」
桜は慌てて、何か布でも無いか探した。すると部屋の隅に、ボロ切れの様な布が落ちているのを見つけた。
咄嗟に桜はその布を取って体に巻き付けた。
「よし…これなら恥ずかしくないだろう…」
そう言って再び鏡の前に立った。
「…何か、余計にエロくなった…」
鏡に映った自分の姿(胸を隠している)を見て、顔を赤らめて恥ずかしくなった。
「何なんだか…んっ?」
その時桜は、鏡に映る自分の口元を見た。其処には口の端から出ている、二本の白い物があった。
「何だこれ? 僕は八重歯になったの?」
どうやら口の端から出ているのは、歯の様であった。だがその先端は、尖っている様に見える。
「何か…牙みたいだな…ヴァンパイアみたい…」
『そうです』
「うわぁ!?」
突然女性の声が聞こえ、桜は驚いた。慌てて辺りを見回すが、誰も居ない。
「えっ? えっ? 今の声…誰?」
『私は『世界の知識』。マスターのナビゲーションを行う、マスターのスキルです』
その声は、桜の頭の中に響いた。
「えっ? 僕のスキルって…」
『マスターを『この世界に送られた者』より、承りました』
「僕にスキルがあるんだ…蓮華姉がラノベ好きだから、分かるけど…そういえば、さっき僕が口の端の八重歯が牙みたいって言った時に肯定していたけど…どういう事?」
『そのままです。その後の事も肯定しています。マスターはヴァンパイアです』
「…えっ? 今なんて?」
ありえない様な事を言った様な気がして、再度『世界の知識』に尋ねる桜。
『マスターはヴァンパイア…いえ…ヴァンパイア・ロードです』
「・・・えええぇぇぇ!!!」
どうやら桜は、銀髪美少女に転生…ではなく、銀髪美少女の吸血鬼…ヴァンパイア・ロードに転生してしまった様だ。
グレン、シャロンに続いて、第三の『世界の知識』の所有者登場!
感想・ブックマーク登録・レビュー・ポイント評価・質問等ありましたら、何でもどうぞ。