21・受け継がれた意思とチーム
メンバーの名前が居る筈の名前が居なかったので、修正しましたわ。ローバー→ラスター。
次回の登場人物で、今章は終了ですわ。
「…ベル…ローベル起きろ!…」
誰かの声が、夢の世界のローベルに届く。ローベルは意識を覚醒させたが、起きる気にはならなかった。何故ならローベルは、朝が苦手であった。
「うぅん…もう少し…」
毛布に顔を埋めながら呟くローベル…すると…
バシャン!!!
「ブェ!?」
ローベルから変な声が出た。其れもその筈、ローベルの顔に大量の水が掛けられたからである。ローベルは慌てて起き上がる。
「な、なになに!? 何が起きたの!?」
「お~起きたかローベル?」
混乱するローベルに声を掛ける者。それは…
「カ、カイル!?」
「よ~」
それはカイルであった。その証拠に、部屋に飾ってあったと思わしき、花瓶を手に持っていた。
「相変わらず、朝が弱いなローベルは」
ニヤニヤしながら言うカイル。
「だからって水かけなくても…ってか此処はアジトじゃなくて、宿屋なんだけど!? 借りているベッドなんだけど!?」
「すっ転んで、水ぶちまけたって言い訳すれば良いだろ? それよか朝飯食べたら、この街出るから、早く着替えろよ」
あっけらかん口調で言うカイル。
「いや、着替えるのカイルのせいなんだけど…」
そう言いながら、ベッドを降りるローベル。
「…カイル…夕べ…泣いてたよね?」
そう呟いたローベル。部屋を出て行こうとしたカイルは、足を止めて振り返った…その顔は『?』を浮かべた様な顔だった。
「何言ってるんだローベル? 夢でも見たんじゃないか?」
「えっ?」
「俺は昨日ずっとバルコニーで飲んでたけど、お前一度も起きてこなかったぞ?」
「……」
カイルの言葉どおりならば、ローベルが見た昨夜のカイルの涙は、ローベルの夢だという事になる。
「ってか何で泣かなきゃならないんだよ…俺達はボス達の意思を継がなきゃいけないんだ…」
そう言ってカイルは、再び外への扉に向かう。
「泣いてる暇なんて…ないだろ? 先に朝飯食いに行っているぞ」
そう伝えるとカイルは出ていってしまった。
「カイル…君は強いね…」
カイルの強さに、ローベルは静かに称賛した。
尚、ベッドを水浸しにした事は、二人揃って宿屋から怒られた。
※ ※
「じゃあローベル、頼むぞ」
「任せて!」
朝食を終えたカイルとローベルは、荷物や食料をトラックに詰め込んだ。その後帰還方法を話し合った。
今まではボスがジープを運転し、仲間や武器が積み込まれたトラックは、ミゲルが運転していたが、二人が戦死した事により、運転を行うのはカイルとローベルになり、話し合った末に、カイルがジープ、ローベルがトラックを運転する事になった。
「まさか、ボス達から教わった運転技術が、こんな形で使われるとはね」
「まあ元々は、酔っぱらったボス達を運ぶ為に、代行手段なんだけどな」
二人は思わぬ結果に苦笑する。
その後警備兵に礼を言って、二人はそれぞれオートモービルに乗り込んで移動をし始めた。
街から出る途中、仲間達が埋葬された墓地の前を通りかかった。
先行していたカイルは、ジープを止めて、社内から墓地を見る。後ろのトラックのローベルも止めて、運転席から顔を出して見る。
「……」
死んでいった八人の仲間達…ミゲル、ジョンソン、カートラル、リーガ、ハリー、デニス、ハンス、そしてボス…。
「…じゃあなボス…皆…あの世で楽しくやれよ」
そう寂しげな笑顔で告げると、カイルはジープを走らせて、ローベルも後に続いた。二人は所属していた国へと帰還する。
たった二人になったスレイヤーチーム…しかしその意思は確かに継がれた。
此れは、ヴァンパイア・ロードである、アマクラ サクラが転生する、数日前の話である。
話の辻褄を合わす為に、サクラの転生の数日前になりましたわ。
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