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TSの銀髪美少女は、最強の吸血鬼(ヴァンパイア)!  作者: 黒猫キッド
第2章・黒猫の銃戦士・ブラックキャット・ガンナー
20/52

20・涙

 今回は、某スライムのアニメのあるシーンを意識したシーンがありますわ。多分分かると思いますが…。

 次回と登場人物で、今章は終わりですわ。その次からは、またサクラに戻りますわ。

 埋葬が終わった後カイルとローベルは、警備兵の計らいで別の宿屋で泊まる事になった。本来なら今日本国に出発する予定であったが、襲撃と仲間の死により、明日に延期になった。

 そしてその日の夜…充てられた部屋の酒瓶が置かれた机で、バハムートとリヴァイアサンの点検をしているカイル。其処にローベルがやって来た。

「今警備兵の人達に聞いたけど、ギルドには警備兵の方から連絡してくれるって」

 ベッドに腰を掛けながら、カイルに伝えるローベル。

「そうか」

 カイルは二丁の銃から目を離さずに答える。

「…カイル」

「何だ?」

「君は…悲しくならないのかい? 私は凄く悲しい…ほんの前日まで、皆は当たり前の様に生きてたんだ。でももう居ないんだ…君も悲しいだろ?」

 ローベルが訴える様に言うと、カイルはバハムートとリヴァイアサンをしまって答える。

「何言ってるんだ。俺達の仕事は、何時何処で誰が死んでも可笑しくない仕事だろ? 自分が死ぬのも仲間が死ぬのも、百も承知じゃないか!」

「それは…」

「半端な覚悟なら、最初からスレイヤーズのギルドに入らなきゃ良いんだよ!」

 そう吐き捨てるとカイルは、机の上にあった酒瓶を取って、バルコニーの方に歩き出す。

「…俺は少し飲んだら寝るから、ローベルは先に寝てろ」

 そう言うと窓を開けて、バルコニーへと出てしまう。ローベルはカイルに厳しく言われてショックを受けて、電気を消してベッドに寝転がってしまう。


※       ※


 暫くした時、ローベルは目を覚ました。ふとカイルのベッドを見ると、其処にはカイルは居なかった。

「カイル…?」

 今度はバルコニーの方を見ると、黒猫の獣人の姿が見えた。カイルである。

 ローベルはベッドから降りると、バルコニーに向かい扉を開ける。カイルは此方に背を向けて、柵に寄り掛かっている。

「カイル…そろそろ寝ないと…明日出発するんだから…」

 そうローベルがカイルに話しかけるが、カイルは何も答えない。

「…まだ怒ってるの…でも私は少しくらいは、悲しんでも…」

 良いと思う…そう言いかけた時、カイルが振り向いた。

「……」

「!……」

 カイルの顔を見た瞬間、ローベルは言葉を失った。

 カイルは…静かに涙を流していた…。

 その表情は無表情であったが、青い瞳から確かに涙を流していた。

 その顔を見たローベルは、何も言わずに部屋へと戻り、ベッドに横になった。

「…馬鹿だ…私は…」

 己の無神経さに自虐するカイル。

 ローベルは今から二年前に、このチームに入った。年齢はローベルの方が一歳年上であったが、入った当初既にカイルはチームに所属していた。

 共に任務を過ごす内に親友になった二人。ある時ローベルはカイルに、何時からこのチームに居るのかと聞いた。カイルは七歳頃に両親を亡くし、その際にボスに拾われてチームに入ったのだと答えた。

 現在カイルは十六歳、つまり九年もこのチームに所属しているので、ボスや仲間を失った悲しみは、ローベルよりも上なのであった。

 それなのにその様子を見せなかったのは、カイルの強がりであったのであった。

「ゴメン…カイル…」

 ローベルはカイルへの申し訳なさを、一人静かに謝罪する。何度も謝罪をしている内に、ローベルは再び眠ってしまった。

 カイルも本当は、仲間を失った悲しみに満ち溢れていたんですが、共に生き残ったローベルの前では、出来れば見せたくなかったんですわ…。

 因みに親を亡くしたカイルは、拾ってくれたボスに、父親の様な感情を抱いていましたわ。

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