19・弔い…
今回もヴァンパイア映画の影響有りですわ。
アクセス累計・10000越えましたわ! ホンマにおおきに!
ジープを走らせたカイルは、そのまま街の警備兵の詰め所に走り込んだ。警備兵はすぐさま部隊を率いて、奇襲を受けた宿屋へと急行した。
当然ながらカイルとローベルも、完全武装して同行しようとしたが、警備兵に止められて叶わなかった。カイルは『ガキ扱いしている』と不満をぶつけようとしたが、ローベルに止められた。
その後待機の警備兵から事情聴取をされて、ようやく終わったのは深夜だった為に、二人は詰め所から解放されず、そのまま夜を明かした。
次の日…
カイルは詰め所の脇に置かれたジープの座席に座って、俯く様にしていた。
「カイル!」
其処にローベルがやって来た。
「さっき警備兵の人が来て…これから現場に行くって…」
「…そうか…」
「聞かないの…皆の事…」
「聞く必要は無いだろ…俺達以外は全滅だろ…ミゲルもジョンソンもカートラルもラスターも…ハリーもデニスもハンスも…ボスも…死んだんだろ…」
「……」
カイルの言葉をロベールは返さなかった。カイルは小さく笑うと、ローベルに乗る様に言う。ローベルが助手席に座ると、カイルはジープを宿屋の方に走らせた。
※ ※
宿屋の前まで行くと、大勢の警備兵が宿屋に出入りしていた。カイルとローベルはジープを降りる。
「確認するぞ。俺は死体からコイツを集める」
そう言いながらカイルが服の内側から出したのは、銀色のドッグタグであった。
「死んだら生き残った奴らが、コイツを集めてギルドに提出する…ボスが決めた規則だ…ローベルお前は武器の回収をしてくれ…使えそうな奴だけだ」
「…分かった…」
「無理だったらすぐに俺に言え…俺の方が、こういう場は慣れているからな」
「大丈夫だ」
「…行こう」
二人は宿屋へと向かう。
警備兵に許可を貰って中に入ると、鼻を突く様な血の匂いと共に、大勢の娼婦の死体…そして仲間の死体が目に入った。
ローベルが警備兵に聞いた話だと、娼婦の生存者は無し。更にはチームが使っていて宿屋に放置された銃器は、そのままになっていたとの事だった。
カイルとローベルは、分かれて行動をし始めた。
カイルはまず最初に死んだ、ミゲルの死体からタグを取った。次にジョンソン・カートラル・ラスターからも取った。
その途中何度もローベルが、銃器や弾薬を持って外に出入りしいていたが、その内何回かは目を擦っているのに気づいた。
ハリー、そしてデニスの死体からもタグを取ると、次は新入りのハンスのタグであった。ハンスの死体の傍には、血塗れのショットガンが転がっていた。どうやらローベルは、流石に回収を拒絶した様だ。
カイルはショットガンをそのままに、タグだけ取って外へと出た。
外に出て昨日シープを止めた場所に行くと、トラックに銃器等を入れているローベルが居た。どうやらトラックにも手を付けなかったらしい。
「…舐められているよな」
ローベルの傍まで来たカイルが言った。
「武器や弾薬…挙句果てはトラックまで手付かずとは、よっぽど俺達が腰抜けだと思っている様だな…」
「それか…私達が直ぐに戻ってくるかと考えて、手を付ける暇が無かったとか…」
「…どっちでも良いさ…そういえば、ボスの死体は…」
そう言いながらカイルが見回すと、昨日ボスを最後に見た場所に、大勢の警備兵が集まっているのが見えた。
「さっき私も行こうとしたけど、警備兵の方々に止められた…見ない方が良いらしい」
「何言ってんだ今更! 今さっき散々死体を見ただろが!」
吐き捨てる様にカイルが言った。
「それからカイル…これ…」
「!」
そう言ってローベルが手渡したのは、ボスのトンプソン・マシンガンだった。
「トラックの下に落ちてたんだ…多分ボスが奪われない様に、投げ捨てたんだと思う…」
「…ボスの馬鹿野郎…だったら逃げろよ…」
寂しげな口調でカイルが言った。
その後警備兵の協力により、死んだ八人の仲間は、街の共同墓地に埋葬された。
あと1・2話(登場人物除いて)で、今回の章は終了ですわ。
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