12・黒猫(ブラックキャット)
第二章ですわ。今回の章は、1998年のヴァンパイア映画の影響を受けていますわ。
オートモービル…嘗て地球の日本では、自動車の事をそう呼んでいた。
ジープの形をしたオートモービル、そして金属のトラックの形をしたオートモービルが、古びた洋館に向かって走行している。
やがて洋館の前に二台が停車すると、ジープの方から、ウェスタンハットを被り、ロングコートを着た大柄な男が降り立った。男は洋館を暫く見つめると、トラックの方を見た。するとトラックから、大柄な男と同じ服装をした長身の男が降り立った。大柄な男が長身の男に頷くと、長身の男はトラックの後ろ、荷台に回り込んで、荷台の扉を開けた。
「さあお前ら! 仕事だぞ!」
長身の男は扉を開けながら言った。開かれた扉の中には、やはりウェスタンハットを被り、ロングコートを着た数名の男達が居た。
「よっしゃ! やろうぜ!」
威勢の良い声と共に、まず数名の男達が荷台を降り、更に中に居る残りの男達が、様々な箱を先に降りた男達に渡していく。
そんな中に、先程と同じ様に、赤色のウェスタンハットを被り、赤色のロングコートを着た、十代中頃の青年が、長柄の道具を背負って、荷台から降り立った。
「おいローベル。カイルはどうした?」
先に降りた男の一人が、ローベルと呼ばれた青年に声を掛けた。
「えっ?…まだ寝ているのか…」
呆れる様な声を出しながら、ローベルはトラックの荷台に戻り、奥の方へと進んだ。すると其処には、また同じ様に紺色のウェスタンハットを被り、同じく紺色のロングコートを着た者が、俯く様にして座っていた。
「カイル! 着いたよ!」
ローベルが声を掛けるが、声を掛けられたカイルという者は、寝ているのか反応しない。
「おい! 早く起こさないと、ボスにまたどやされるぞ!」
外に居る男の一人に怒鳴られ、ローベルは慌てる。
「カイル! 起きないと私が迷惑するんだ!」
揺すりながらカイルを起こすローベル。
「んっ…何だよ? もう着いたのか?」
不機嫌そうな声を出しながら、カイルは目を覚ました。
「昨日飲み過ぎるから」
「しょうがないだろ! デニスがしつこく絡むから、俺だって引けなかったんだよ…ローベル先に降りてろよ。俺も直ぐに降りるから!」
カイルに言われて、ローベルは先に荷台から降りる。
「さてと…今日も暴れるか!」
そう言ってウェスタンハットの下から見せたカイルの顔は…黒い毛に覆われ、両頬にそれぞれ三本の髭があり、海の様な蒼色の瞳をした、黒猫の獣人だった。
コートの下にある服装は黒色のノースリーブのベストであり、下の黒色の長ズボンの両脇には、革製の何かの入れ物があった。
黒猫のカイル…この傭兵チーム唯一人の獣人だった。
これがもう一人の主人公・黒猫獣人のカイルですわ。
彼らの武器は、次回判明しますわ。
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