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愛する君に花束を。  作者: 咲ヶ丘ゆづき
プロローグ
3/3

いつもの日課

 外は真夏らしく肌を焼くような暑さだった。この暑さで食べるとうまいものがある。そう、アイスだ。真夏の時のアイスは格別だ。駅の電車が来るまでコンビニでアイスを買うのがいつもの日課だ。俺の日課なのだが……。


 最近コンビニでアイスを購入すると同時に、後ろに張り付いて


 にこにこ笑っている女がいる。


「今日は3分いつもより早かったね!カップラーメン作れるね!」


 花火(はなび)ちあ。小学校からの幼馴染。右サイドポニーテールで髪をまとめており、身長は148cm、サイズが合ってない制服を改造してリボン付けたりアクセサリー付けたりしている女である。身長は小さいが、


態度は大きい、お姫様である。


「おはよう!ゆう君!!今日は何味買ったの?」


 最近この女は、俺が買ったアイスをパクるのが日課(本人談)


 だそうだ。どこかのガキ大将もびっくりだ。


「レモン味だけど」


「私の好きなのに合わせてくれたの!?」


「なんでもらう前提なんだよ!俺が食うんだよ!食べたいなら自分で買えよ」


 そう言うと。ちあは泣き出してしまう。


 え?何?俺が悪いの?え?ええええ……。


 泣き声もどんどん大きくなる。時々ちらって泣き腫らした目で俺を見てるのは少し可愛かったので見なかったことにしておこう。



周りの目が痛い。それに今は通学時間だ。もしかしたらあの子も来ているかもしれない。


 あの子にこんな状況見られたら生きていく自信がなくなる。



「ああああああー-----んもうわー-ったよ」



 俺はアイスを差し出した。ちあは差し出されるアイスを受け取る。



 ちあは、一瞬でにこにこ笑顔に戻った。



「ゆうくん冷たいよー(アイスが)でも、ゆう君は温かいね!」

(アイスは冷たいけど、ゆう君は気持ちが温かいね)

 とどや顔で言い切った!とのような顔をしていた。


 お前、それが言いたかっただけだろ、と突っ込もうとしたがまた泣かれるとめんどくさいので言わないで置いた。



「女は涙を使って嘘を重ねていくのよ。そこに本当の愛なんてあるのかしら。でも、それでも、私は一人の人を、あなたを愛す(アイス)わ」


 何も言っていないのに何かを語りだす。


 再び謎のキメ顔。今度は大人の女のように。クールに、カッコよく。


というか噓泣きだったのかよ。そろそろキメ顔してるこの女殴りたい。



 袋を開けて美味しそうに食べてるのを見るとまぁ、いいかと思えてしまう。


 いつもの事だし。


 「なぁ、いつも同じアイス食べてて飽きないの?」


 俺はずっと思ってたことをちあに聞いてみた。


 ちあは分かってないなぁ~と言いながら


 「いつまでも変わらないのがいいんじゃん」


 

 そう笑っていた。揺れた髪と、重なる表情は少し可愛かった。



 全部食べ終わるとティッシュで、ふたを拭いてかばんに入れる。


 「ゴミ箱あるぞ」


 「捨てない!!!捨てるわけないじゃん!!!」



 おお!?


 突然大きな声を出すちあ。


さっきは泣いたと思ったら、今度は怒り出した。



 「ゆう君との大切な思い出なんだもん。捨てないよ。いらなくなんかない。だって、私の支えだから」



 それほぼ告白じゃ……。いや、ここで判断をミスるとただの痛い【勘違い男】になってしまう。学校でそんな噂が広まったら学校に行けなくなる。あの子にももう二度と会えない。そんなの嫌だ。



【判断は慎重に。】どこか別の時空から声が聞こえたような気がした。


 ちあは自分で何を言ってるのか分からないようで、数秒経った瞬間顔を真っ赤にして、殴ってきた。


 

 いや、なんで殴るねん。女子の力なので痛みはない。



 「な、なに言わせるのよ!」



 知らねえよ!勝手に自分で言ったんだろうが!



 泣いたり怒ったり、照れたり忙しいなほんと。



 「女の子の心はいつも変わって忙しくて複雑なのよ!!そのくらいわかってよね!」


 「はいはい」



 適当に返事をする。まだ学校に着いてもいないのに既に疲れが来ている。




 「あ!」



 ちあは何かを見つけたようで視線の先を見ると。あの子がいた。読書をしていた。


 

 憧れの人。好きな人。恋してしまった人。あの子を見た瞬間、世界が桜舞うように見えた。


「まもなく電車が来ます。危ないですので黄色い線の内側までお下がりください」


電車のアナウンスが聞こえる。そろそろ電車が来るようだ。それとうなり声が聞こえる。がこちらは


無視する。



 「ー-----ふぅん。あーいう女の子が好きなんだ」



 そう、この女は幼馴染。俺の好みも全て知ってる。だから、俺があの子に恋してるのも数秒でバレていた。

 


 「ふん!!!ゆう君のばかっ!!もう置いていくもん!!」


 「それだけは勘弁を……」


 「じゃあ、今日の放課後付き合って!あとレモンアイス買って!いい!?」


 「は、はい」


 「よろしい」


 またちあのペースに乗せられてしまう。


 「ゆう君いつもありがとね」


 にこにこと笑顔に戻った。

 あれ?俺、うまく使われてない??



 電車が俺たちの前に到着すると、安全扉が開き、人々は、電車の中に乗り込んでいた。


 あの子の方向を向くと、こちらに視線が向いた気がした。


 再びドキッとしてしまう。


「ほ!ら!鼻の下伸ばしてないで!早く乗るよ!」


 ちあから手を引っ張られ意識が戻り、電車に乗り込み空いてる席に座る。。


発車のベルが鳴る。ゆっくりと振動を付け電車は動き出し


 今日も俺達を連れて走り出した。

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