鬼だってスライム退治する。
「とりあえず、入り口に巣食ってたやつらはあらかたやったかの」
「服を溶かすようなスライムじゃなくてよかったですね」
「服だけをきれいに溶かすってどういう成分してるんじゃろうな…」
扉を開けると居たスライムを薙っては潰し、薙っては潰しをしていたサシャ様。中々に大量に居たみたいで入口にいただけでそれなりに疲れた模様。
まあ、あんだけ分裂したり合体したりを続けられれば、少しは休憩をしたいのはわかる。今も、目についたところを潰してはいるので、休憩とは、ってなってはいるけれど。
「まあ、こうやってやっておけば復帰するのにもだいぶ時間かかるだろうしの」
「あれ?根絶やしにするんじゃないんですか?」
「するのに何日かかると思っているのじゃ。依頼人じゃってそこまで私らを雇ってられんじゃろし」
「まあ、それはそう、ですね。溢れないところまでやればいいんですかね」
「また溢れたら依頼来るじゃろ」
そんな事を言いながら、スライムを退治していくサシャ様。まあ、ここまで多いと奥の方まで行くのに24時間ぐらいかかりそうだしね。ある程度倒したら、帰るのがいいのかもしれない。下手すると服だけをきれいに溶かすスライムも出るかもしれないし。
そしたら私はサシャ様をたてにしてさっそうと帰るのである。
「いや、ちょっと待つのじゃ。なんで儂を生贄にする!?」
「えー、いやだって私普通の女の子ですし」
「普通の女の子はスライムを見て平然としとらん」
「そうですか?ほら、ゲームとかで見慣れているじゃないですか。普通の女の子だってスライムを見ても平然としていますよ」
「……いや、普通の女の子がやるゲームに出てくるスライムと、奈緒がやるゲームに出てくるスライムとかここにいるスライムとかとはなんか別物じゃろ」
「そうですか?」
「そうじゃろ。あと、うさぎの魔物も多分違うと思うぞ」
「くびをかるんじゃないんですか!?」
「普通の女の子がやるゲームで首を狩るようなうさぎはでてこない」
そんな、普通の女の子は壁の中にいるとかでて絶望しないんですか?!絶望しますわ!
「すな」
しません。