私はあなたを真実愛することはない政略だからと王太子殿下にいわれました。契約婚約と変わらないといわれたので、なら契約書を交わしましょうと言ってみました。運命の相手が現れたら婚約を破棄するという条件でね!
「政略結婚というものだ、だから私は君を愛せない」
「わかっておりますわ」
「だからこそ、子作りなどはするが、契約以上のことはしない」
「まず、キス、抱擁などはなしですわね。跡取りができたらそういう行為もなしでお願いします。基本は別居で」
私は政略だから愛せないというので、そうですわねと同意しました。
実は私は殿下には憧れていて、昔この人に会った時から好きだったのです。でもきっぱりそれを忘れていえる殿下に呆れ果てたのですわ。
あの約束まで忘れ去っているなんて。
「運命の相手とやらが現れたら、側妃として召し上げてくださいな」
「わかった」
契約書を交わした私たち、契約婚約という形をとることにしました。
殿下とは別居、別々で暮らしていました。
まあそれは構いませんけど……。
「ふんふーん、やはり気晴らしはいいですわ~」
「お嬢様、もうこれやめましょうよ!」
「気晴らしはやめられませんわ~」
月に1度で町でお買い物、私は王宮を抜け出して、侍女のノエルを伴って出かけています。
特徴的な白の髪と葡萄色の瞳は魔法で茶色に変えています。
「お嬢様はなし、私はただのリアナですわ~」
「リーシア様~」
「リアナですわよ~」
私は露店をふんふんと鼻歌を歌いながら見ています。すると後ろから……。
「よおお嬢さん金持ちそうだな、俺たちに金を恵んでくれないかい!」
「お断りします!」
現れた暴漢、ひいっと恐れるノエルを後ろにやって私は魔法を唱え始めると……。
「おい何をやっている!」
いや後ろから現れたのは王太子殿下! あなたこんなところで何やってますのよ! しかも一人で!
「おいおいとっぽい兄ちゃん一人でどうしようってんだ!」
暴漢たちに囲まれた殿下、ああああ、剣を抜かないでと思っていると、あら武器を抜かずに男たちをやっつけてしまいましたわ。
私が驚いてみていると
「お嬢さん、大丈夫……ってもしかしたらリアナか! 俺だよ、クリスだよ!」
「……」
今更なんですのよ、この人、顔は同じなのに、私だと気が付かないし、リアナだっていうし。
まあこれには理由があるのですけど。
「お嬢……」
「ええ、リアナです。クリス様、お久しぶりです」
私がにっこりと笑うと、あれからずっと君を探していたんだよときたものです。
ええこれは4年前の夏祭りの日、私たちの初めての出会いからはじまりますわ。
まあ4年前、私は今のように髪と瞳の色を変えて、一人で町を散策していました。
そして暴漢に囲まれ、ええ、殿下に助けてもらいましたの。
そこで……私は殿下にまた会えるか? と聞かれて1年に一度夏祭りでと答えたのですわ。
このころは父の監視にあり、一年に一度がせいぜいでしたの。
そいて翌年、殿下は待ち合わせの場所に現れず……そして今に至ります。
「……約束破りのクリス様ですね」
「いやあれは悪かった。君に会えてよかった!」
私はノエルを先に帰らせ、後ろから引っ付いてくるクリス様をどう追い払おうか迷っていました。
クリストファでクリスはまんま、それに眼鏡をかけるだけの変装って雑ですわ。
「あの時、君との約束の場所に行こうとしてちちう……いや父にどうしても用事があると」
「はいはいわかりました」
実は私は翌年も、その翌年も夏祭りに行きましたわよ。でも殿下はこなかった。
約束は守られずでしたわ。
だから契約書などを交わしたのですわよ!
「私、もう婚約をしてます、だから殿方と二人きりで会うなんてできません」
「え、それは……」
「では失礼します」
振り払おうにもできません、ぎゅうっとクリス様が後ろから私を抱きしめてきましたわ。
「君が好きなんだ、あの時から」
「私は好きでも何でもないです」
いや、なんというか私が私と気が付いていないのも間抜けですし、そして好きなんだと今更でした。
ええ、私は約束したときに来てくれたら好きというのを告白しようと思ってましたのよ!
「……僕は君と」
「契約に従えば側妃ですわよね、それはいやで……」
あ、つい口走ってしまい、クリス様が驚いたようにこちらを見てきます。
路地裏でこんなことをしている場合ではありませんわ、門限にも間に合いませんわ!
「……帰ります!」
私はクリス様を振り払い、走り出しました。というか追いかけてこないでくださいまし! 私はあわてて幻術の魔法を唱えると、それを無効って追いかけっこですわよこれ。
「はあはあ……」
「リアナ! 待ってくれ!」
王宮の近くまできてもう息が切れて……クリス様が私の腕を強引に引っ張り、もしかしてリーシア? と聞いてきましたわ。
「気が付かない貴方が間抜けだと思いますわ」
「これ度があまりあってなくて……」
眼鏡がとれてあ、私の顔をじいっと見てやっぱりリーシアだといいますが、顔がわからない相手に好きだのなんだのいってましたのあなたは!
「……リーシア、愛している」
「いや愛せないといったばかりでは……」
「契約は無効だ!」
「……」
一方的すぎますわと思う私、契約書によると真実に愛する相手は側妃にする。しかし私に真実愛する相手が現れた時はよければ破棄するでしたわよねえ。
「婚約破棄はなしということで」
「ああ」
私たちは抱きしめあい口づけを交わしました。
契約と別居はなしになり、私たちは幸せに……と言いたいところですが、私いまだに私が私と気が付かなかった殿下に怒っています。
なので、契約はいまだに一応続行、抱擁と口づけなしは抜いて、側妃の件もなしということでね。
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