最終回!田中の召喚(前編)
とてもよく晴れた日だった。
なんて召喚日和なんだろうか、と日課になったロードワークにいそしんでいた、俺。田中。
昇ったばかりの太陽を浴びながら、爽やかにご町内30キロばかり走ったあと、まだ開門もされていない学校へ。
校内では、鉄棒で懸垂と腹筋。ウェイトリフティング部のバーベルなどを勝手に拝借して、大胸筋や広背筋、上腕二頭筋に愛情を注いだ。
もはやアスリート。
自主的勇者見習いなのだ。
「ふぅ。いったん休憩にするか」
時刻は朝7時。休憩中をはさんだらもう一度校庭を走ろう。時間は有限だ。俺だって、いつ召喚されてもおかしくないのだから。
コキコキと肩を鳴らし、持参したプロテインで俺の筋肉を労る。
カッ!
突如、目の前が真っ白に光り輝く。
こっこれは!
いままで何度も見てきた勇者召喚の光!
いつも目の前で友だちや家族を掻っ攫っては俺を置いていく光!!!
だが、今回の光はいつもと様子が違う。規模が大きいのだ。いつもは目の前にいる人ひとり分を包むほどの魔法陣だが、今回は全容が見えないほどに光も魔法陣も大きい。
ファ!??なんだ!??
ついに!???
ついになのか!???
ぜったい召喚されない田中なのに召喚されちゃうのか!???
実はトラックが突っ込んできて眩しいとかじゃないよね??!
スズキがイタズラで光魔法乱発してるとかじゃないよね??!!
光はどんどん強くなり、あたり一面が痛いほどの白で埋め尽くされる。もはや召喚の魔法陣も何も見えない。
ああ、おれ……ついに……
白い光の中、両手を広げて身を任せた。




