表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

或る商人の噺

宇治拾遺物語より

虎の鰐取りたること


古典の鰐は現代の鮫です


ちょくちょく内容いじってます

解説書よりかは遥かに解りやすいはず

やぁ、初めまして。


今から一つ、(はなし)をしようと思う。

他国との貿易を終えて、自国の海岸に着いた商人たちの噺だ。


舞台は俗に()う、異世界。

と云っても、相違点はあまり多くない。

魔法は無いし、魔物もいない。

当然転生とかもないし、スキルみたいなシステムもない。

地名を変えて、世界的な文明が江戸時代くらいに落ちてるだけ。


あ、待って。帰らないで。ちゃんと面白くなるようにするから。

せめてこの噺だけでも聞いてよ。僕が集めた中でもとっておきの噺をするからさ。


じゃ、じゃあ。噺を始めるよ。

本当はもうちょっと話したいんだけど、皆も忙しいだろうからね。


...宇治拾遺物語より。原題【虎の鰐取りたること】



─────────────



「そろそろ陸地が近いな。お前ら!船停める準備だ!」


「ヘイッ!」


甲板でがっしりした体格の船長が声を張り上げる。

その声を聴いた船員は返事をして動き出す。

異国の商品を積んだ船は、山の(ふもと)に沿うように(いかり)を降ろす。


「お頭、飲み水を汲んできます。そろそろ備蓄分が心許ないでしょう?」


「そうだな、頼む。あまり船から離れるなよ、何があるかわからんからな」


「解ってますって。おーい、水汲みに行くぞー」


そう云って男は2,3人を連れて近くの水場に行く。

甲板では頭が煙管(きせる)を吸っているほか、()る船員は楽しそうに話し、

別の船員は積み荷を整理し、また別の船員は寝息を立てている。


「ん?何だあれ?」


今まで手すりから海を見下ろしていた船員が突如声を上げる。

海面には夕日に照らされた山の影が映っているだけだ。

いや、よく見れば山だけではない。()()()()()()()()()()


声を上げた船員は目を凝らす。

鋭利そうな爪に、鋭い牙。怪しく光る双眸(そうぼう)に、橙色の毛に黒の横縞。


「うわあぁぁぁぁぁぁ!」


「いきなり何だ!下らねぇ事だったらぶっ飛ばすぞ!」


若干...いや、かなり語調が強いのは、小休止の煙管を邪魔されたからだろう。


「お頭ッ!虎だ!虎が出た!急いで出しやしょう!」


その報告を聞いた頭は先刻(さっき)の叫び声よりも大きな声で出発の指示を出す。

陸にいた船員たちも即座に船に乗り込み錨を上げる。

それと同時に高さ百メートルはあるだろう岸を虎が全速力で駆け降りる。


普段速度を必要としない船を、蒸気船すら追い越す勢いで走らせる。

同じく普段速度を求められない()を、独楽(こま)のように回転させる。

全ての船員が、死にたくない一心で大汗を掻きながら船を岸から離す。

その甲斐あって、虎は寸でのところで海に落ちる。


一応安心できるようになったのか、船長が物見と航海士を連れて甲板に出る。


「危ないところだったな」


「生きた心地がしやせんでしたよ」


「まったくですよ。僕の仕事は観測で肉体労働は得意じゃないのに」


そんなことを話していると、虎が海から岩場に上がる。

見ると左前脚の膝から先が食い切られたように無くなって、大量に血が出ている。


「ん?あの虎左の前足無くなってやすね」


「お、本当だ。海で何かあったんですかね」


虎は痛がる素振りを見せないどころか食いちぎられた前足を海水につける。

あっという間に虎の周囲は赤くなる


「何かちぎれた足を海水につけてやすよ。何がしたいんすかね?」


誰かがそれに答える前に、突然海面から三角形が生えた。

海面から出る灰色の三角形が血を辿って、岸に向かう。


「さ、さささ、鮫じゃないですかい!早く離れましょうや!」


「お前はちょっと落ち着け。恐らく虎をやったのはあの鮫だ、

明らかに虎めがけて泳いでるしな。岸からも十分に離れてるし大丈夫だろう」


物見が食い下がろうとした所で鮫が海面から躍り出る。

否、虎の右前脚によって()()()()()()()()

虎はそのまま頭に爪を突き刺し陸地に上げる。

岩場に上げられた鮫はバタつくが、意に介さず喉笛に食らいついて左右に2,3回振る。

当然のように意識を失った鮫を、虎は器用に肩にかけ、

そのまま何事も無かったかのように三本の足で、坂を下るがごとく山に帰っていった。


「・・・すごい光景だったな。最後の方とか鮫に同情しちまった」


「・・・あれってどれだけ凄い武器持ってたら倒せるんですか?」


「それは解らんが、どんな凄い武器を持ってても俺は勝てる気がしねぇな。

んで、船がやけに静かじゃねーか動きも何か変だしな」


「言われてみればそうですね。ちょっと中見てきます」


そう云って航海士は船内に戻った。


五分後、航海士はあの虎の光景で半分が失神してもう半分が混乱の渦中にいることを、

頭に伝えるや否や、船内に大声が鳴り響いた。



―――――――――――――



以上でこの噺は終わりだよ。

ここまで聴いてくれて嬉しいよ。

俗に云う「嬉しきこと限り無し」ってやつだ。


それじゃ、気が向いたらまた来てよ。面白い噺を考えながら待ってるからさ。

お久しぶりです。黒狐です

書きたくなったから書いた。後悔はしてない


これから更新するとしたら多分こちらが多くなると思います

多々理由はありますが、ぶっちゃけると作者のやる気の問題です。すみません


最後に、この噺は大筋こそ合っているものの、助詞や助動詞はおろか一部改変を加えております

これを読んでもテスト対策にはなりません。ただ、古典は親しみやすい、と思って貰えれば良いかなと

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ