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漆黒の翼
目の前が真っ白になった。
目が痛いほど突然閃光が襲ってきたのだ。
そして視界が戻るとそこには天使と思われるものがいた。
頭の上には神々しく輝く輪が浮いていて
涙の線が頬をつたっている少女がいた。
「あなたは天使ですか?」
「はい…天使…で…した」
「なぜここに?」
「小説家さんがいると聞いて」
「はい、私が小説家の井伊空佑です。」
「私は翼が明日落ちます。
ですがこの翼が落ちる意味が私にはわかりません。
翼が落ちる天使達は追放された者達です。
私は理不尽に追放された天使なんです。」
「理不尽?」
「そうです理不尽。私は天使が天使であり
天使であることを疑った。だから追放されたのです。
だって天使と言っても別に本当の天使がいて
私達は偽物の天使なのかも知れないじゃないですか。」
「なるほど。そしてあなたは追放され、そんな翼に…」
彼女の翼は漆黒に染まっていた。
元々は白い翼だったのだろう。
「いいえ。元々皆この色ですよ?」