表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スライムイーター ~捕食者を喰らう者~  作者: ユエ
1話 アルル・ジョーカー
2/79

1 水の街 アクアマリン

第一章幕開けです。

自由を求めて盗賊団の下から逃げ出した少女は、やがて大きな街へ辿り着きました。




 

 人生、いろいろあるものです。


 口減らしに家を追い出される者。

 元から身寄りのない孤児。

 職を失い社会からつまはじきにされた浮浪者。


 俗世を生きる中で、いろいろあった人たちが最終的に寄る辺とする職業は決まって冒険者でした。


 神代の時代から繰り返される魔神や怪物との戦い。

 それらの討伐を目的とした無法者の力自慢たちが、酒場に集ったところが始まりと言われています。


 今となっては、都の街における無頼漢たちの集まりでしかなく。

 ギルドと呼ばれる公的機関が、お仕事斡旋所として彼らを迎え入れてくれます。


 名も知れない小さな街から王都のような大きな都市に至るまで、どこにでも必ず一か所くらいはあるもの。

 人が多く集まるところには、どうしても必要な職業システムでした。


 都へ出稼ぎにきた田舎者には大変ありがたい話です。


 大きな街で定職に就くためにはまず市民権を得なければならず、市民権を得ることは大変な困難を伴うものですからねえ。

 同様の理由で、私にとってもこれ以上ないくらいもってこいの話でした。


 そんなこんなあり、辺境から出稼ぎにきた村娘を装って、さっそく冒険者ギルドを訪れます。






「おお、これは活気に溢れている」



 街門を入ってすぐ、ギルド支部の大きな建物を見つけて、ロビーに入り、目を丸くしました。

 朝早くだというのに大勢の冒険者で賑わっています。


 ただの人間ばかりではありません。


 三十を超えるテーブル席に座り談笑を楽しむのは、種族、年齢、性別、千差万別の冒険者たち。

 誰も彼もが各々の人生を謳歌しています。


 私もきっと……。


 そんな風に意気込んでいる間に、多すぎる人の群れと漂う酒気に充てられて、少々気分が悪くなりました。


 さっさと酒場を抜けて、奥にあるカウンターの方へ向かい、続く長蛇の列の最後尾に立ちます。


 冒険者として依頼を受け、報告し、報酬をもらう。

 この一連のプロセスはすべて受付を通さなければなりません。

 ギルドというのはさながら、役所に酒場をはめ込んだような施設でした。


 短くない時間を経て列がはけ、私の番が回ってきます。



「あら? えっと、初めての方ですね。ようこそ、水の街アクアマリンへ」



 歓迎の挨拶とともに応対してくれたのは、柔和な瞳が魅力的な受付嬢さんでした。




 

 

 [イラスト紹介]


挿絵(By みてみん)


本作主人公アルルです。


真田まる(@Sanada_marusan )さんのイラスト企画で、描いていただきました。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読了、ありがとうございました。
感想・評価いただけると嬉しいです! 最新話ページの下部にあります!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ