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1・時は来た。キャラメイクだ!

これはとある架空プロレスゲームのお話です。

良かったら暇潰しにどうぞ。


 フルダイブ式VRゲームが世に登場して数年──。


 多種多様なゲームがVR体験出来るとあって、普段ゲームをやらない層にも浸透し、その市場は隆盛を極めていた。


 そんな中、一つのゲームが発表された。


『LIFE is WRESTLING』


 一人のプロレスラーとなって、その人生を疑似体験するVRMMOプロレスゲームだ。

 これにはプロレスオタクは大歓喜。

 かくいう俺もはしゃいだことは言うまでも無い。

 しかもこのゲーム、自由度の高さもウリでレスラー以外の選択肢も存在した。団体の社長、裏方スタッフ、プロモーター、マネージャー、レフェリー、実況アナ、新聞・雑誌記者……。

 レスラーに関わる仕事全てになれる可能性があるのだ。


 元々ゲーム好きだったのでVRゲーム機本体は所持済み。

 βテストへの応募も考えたが、仕事が忙し過ぎて断念。

 そこで発売まで頑張って仕事し、ガッツリ有給を取ってプレイすることに決めた。


 そして発売日当日。

 お店の開店と同時に入店してゲットすると、帰宅途中にあるスーパーに寄り道して冷凍やレトルトの食料を購入し引きこもる準備も完成させ、意気揚々と帰還。


 頭にVRメットを装着し、ソフトを入れた本体の起動ボタンを押した。


 さあ、俺のレスラー人生の開幕だ。



□□□■■■□□□



 目を開けると夜空の様な空間が広がっていた。

 

 周囲をグルリと見渡していると、すぐに球状の物体が現れた。


「ようこそ、LIFE is WRESTLINGの世界へ。あなたのキャラメイキングのサポートをさせていただきます。それでは外見から設定してください」


 俺はサポートAIの手助けを受けて、キャラを作り上げていく。


 VRの仕様で性別は現実と同じ。

 ビジュアルは細かく設定するのは面倒なので、リアルの自分を多少美化した程度にしておく。

 身長、体重は大きすぎず、少なすぎずのバランスの良い体型に。

 リングコスチュームは紺色のロングタイツに白いラインが入ったシンプルなものに設定。後は白いロングブーツに、肘と膝に同じく紺色のサポーターをつけてみた。


 後は初期ボーナスポイントである100をステータスの強化やスキル取得に使用する。

 スキルはその効果が強力なものほど取得ポイントが高くなる。

 調子に乗ってスキルを取得し過ぎると、能力値を強化出来なくなってしまう。


 事前に得た情報によれば、このゲームはステータス強化に関してはレベル制ではなく、日々のトレーニングや試合経験で上昇していく仕組みになっている。

 所謂、熟練度システムだな。

 そのため、一気に能力値UPという機会が無いので初期ボーナスははスキル取得よりも能力値を重視した方が良いのでは? という意見が多かった。

 対抗意見としては、取得条件がシビアなレアスキルを優先した方が良いというもの。


 どちらも一理あるので判断に迷ったが、俺は能力値を重視することにした。


 何せリアルではロクに運動してないのである。

 運動神経にも自信はない。

 ステータスで下駄を履かせてもらわないとやっていけないと思ったのだ。


 という訳で初期ボーナスはステータスに全フリ。

 我ながら極端なことをしたな。


 最後はギフトスキル。

 スロットを回し、ランダムでスキル一つを入手出来る。

 スキルが何も無かったので有り難く頂いて準備完了。

 完成したキャラは次の通りだ。



◇◇◆◇◇



【名前】比嘉修治

【リングネーム】ヒガ・シュウジ

【ニックネーム】無し

【所属】未所属

【性別】男

【出身地】ハポン

【年齢】18歳

【身長・体重】185㎝・97㎏

【能力値】

 パワー……20

 タフネス……20

 スピード……20

 テクニック……20

 メンタル……30

 インテリジェンス……20

【スキル】

 料理……Lv7

【称号】無し

【修得技】無し

【得意技】無し

【決め技】無し

【所持金】一万円

【服装】

 安いジャージ

 安いスポーツシューズ

【リングコスチューム】

 安いロングタイツ

 安いロングブーツ

 安い肘当て

 安い膝当て



◇◇◆◇◇



 能力の初期値は5だったので、まず均等に15づつ振り、残りの10ポイントはメンタルに注ぎ込んだ。

 

 心が折れなければ、何度でも立ち上がれる。

 そう考えてのことだ。

 後はスキルの取得条件に、能力値が○○以上が必要とかがあったのでそれに対応するため均等にしたのである。


 唯一のスキル・料理は最後のギフトスキルで入手したもの。

 スキルレベルのMAXが10だから、かなり高いレベルのスキルが当たったと言える。

 ちゃんこ番を任されたら役に立つだろう。


 因みに、出身地のハポンは日本のことである。

 このゲーム、架空の世界という部分を強調するためか、世界観は現代だけど、国名や地名等は変更されていた。

 この物語はフィクションです、ということだ。


 服装とリングコスチュームが別れているのも、舞台が現代ならではだ。いくらプロレスラーといえど、試合以外でもリンコス姿というのは不審者感丸出しである。


「それでは所属したい団体の入団テストを受けて下さい」


 サポートAIの声が響くと、選択画面が現れる。

 この入団テストに合格すれば、晴れてレスラー人生がスタートするのだ。


 初期に入団テストを受けられる団体は国内のみ。

 海外の団体は課金すると出てくるらしい。


 国内最大手のメジャー団体から、所属レスラー数人という零細団体まで様々だ。プロレスラーとして名を上げれば自分で団体を立ち上げることも出来るらしい。

 まあ、自分はあくまで一レスラーとしてのプレイにこだわるつもりだ。


 俺のレスラーとしての理想は、王道のストロングスタイル。


 となれば、自ずと選択肢は決まっている。


「ニューハポンプロレス。ここしかない!」


 ニューハポンプロレスは、現在の日本を代表する団体がモデルになっている。

 さらにこのゲーム、実在の選手をモデルにしたNPCレスラーが多数登場して、プレイヤーとライバルになったり共闘したりするので、好きな架空モデル選手が所属する団体に入りたいと考えるのはファンとして自然な流れだ。


 当然、ニューハポンプロレスには、私が好きな選手をモデルにした架空選手が、数多く在籍している。

 敢えて選ばない、という選択は無かった。

 

 俺は気合いを込めて選択肢を押した。




 

 


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