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私が知ってる理由

 そんなにみつめちゃいやん。

 …ごめん、ふざけ過ぎた。

 だって明瀬総長もその場にいた他の人もポカンとしてるんだもん。むっちゃ見てるんだもん。


「…斎条さん」

「はい」


 やっと明瀬総長が口を開いてくれました。待ってましたよ!


「なぜ、その事を知っているのかしら」

「その事とは?」

「脅迫状が届いた事と、犯人が近所の人だという事よ」

「それは、聞いたから、ですが?」

「聞いたって誰に」

「母に」


 そう、母に聞いた…で、間違いではない。

 入学式が始まる前に彼女様のあの不安げな様子が気になったので母にメールを一通。

 念のために私の腹心のメールアドレスをCCにつけて。


 内容はいたってシンプル。

 何かトラブルがあったと予想される事。

 そして、現状から推測できるいくつかのトラブル予測。

 それらをつらねたメールを一通。


 私がしたのはそれだけ。

 そしてその返信が入学式の後に電源を入れた携帯に送られていた。


 入学式直前になって脅迫状が送りつけられた事。

 セキュリティ面では高レベルの学園だけど万が一があるため警戒レベルを上げた事。

 学園の周りをうろうろしていた不審者が捕まった事。

 その不審者があっさりと自供した事。


 それが書かれてあった事で私はトラブルの事実を知り得た。

 すごいよねー。私の腹心。その有能っぷりに私は涙がちょちょぎれます。ぐすん。

 いや、今は腹心のことは置いておいて。

 知っている経緯はこんな感じですが詳しく説明するのもややこしいので母の名前をだしました。

 いや、母の名前というよりかは家の名前を出したと言うのが正しいかもしれない。


「ああ、そっか。斎条さんのおうちって」

「はい。警備会社です」


 私が説明をする前に明瀬総長が納得したように頷いた。

 そうなんですよ。我が家は警備会社もやってるんですよ。結構手広くやってるんですよ。この学園の警備員もうちから派遣されております。


「不審者を捕まえたのは弊社の警備員だったので、特別に教えてもらいました」

「ごめんなさいね。問い質すような事をしてしまって」

「いいえ。私こそ配慮が足りなかったようで、申し訳ありません」


 私の家がどういった家業をしているのかというのは隠している事でもないので、普通に話してしまった私もいけない。私もまだまだだなぁ。


「ドラブルがあったことは承知しておりましたが、雑用くらいならば私でも手伝えることがあると踏んで来たのですが…やはり、お邪魔でしたでしょうか」

「そんな事ないわ。ここにいるメンバーが全員ではないけれど、紹介しておくわね。皆、こちら斎条由紀菜さん。入学式で新入生代表をしていたから見覚えはあるでしょう。風紀に所属となったから、よろしくね」

「斎条由紀菜です。よろしくお願い致します」


 その場にいた風紀の方々に挨拶をするとメンバーの皆様も一人一人返してくれる。

 さすが明瀬総長。統率がとれておりますね。


「さて、今は慌ただしいから紹介はこれくらいにしましょう。ここにいないメンバーはまた今度ね」

「お忙しい所、ありがとうございます。講堂の後片付けなどくらいでしたらお手伝いできると思いますので、どうぞ気軽に指示してくださいませ」

「ありがとう。講堂では三科が指揮を執っているから彼に指示を仰いでもらえるかしら」

「畏まりました」

「斎条さんも疲れたでしょう。講堂の後片付けが終わったら今日は帰りなさい」

「お気遣いありがとうございます」


 明瀬総長の指示に従って講堂に向かい、三科副長から指示をいただきながら片付けが終わったのはそれから2時間後。

 その後は明瀬総長の言葉通り先に帰宅となりました。気持ち的にはもっと手伝いたかったけど、でしゃばりすぎもいけませんものね。

 本格始動は明日からかなと、若干しょんぼりしながら帰宅すると先に帰っていた母が出迎えてくれた。


「おかえりなさい。由紀菜ちゃん」

「ただいま帰りました」

「新入生代表、かっこよかったわよ~。さすが由紀菜ちゃんね」

「そうかな。でもありがとう。ヘマしなくて良かったよ」

「そうそう、会社からもお礼の電話があったわよ」

「会社から?」

「あのメールよ。由紀菜ちゃんの予測がピンポイントで当たったからスピード解決になったって」

「それは良かった」


 当たったのは偶然でも役に立ったのなら良かった良かった。


「今日はごちそうだからね。ごちそうと一緒に由紀菜ちゃんの勇姿を見返さなくちゃ」

「それは…どうかな」


 私に恥ずかし悶えろと?


「ダメよ~。由樹(よしき)さん楽しみにしてるんだから。見せなくちゃ泣いちゃうわ」

「父さんは別に…」

「のりちゃんもさっきからずっと映像を繰り返しみてるのよ~」

「マジか」


 のりちゃんこと紀和(のりかず)は私の弟である。

 私が6歳のころに生まれた弟は愚か者であった私の黒歴史を知らない。

 そんなのりちゃんは私の事を純粋な目で見つめてくるので何かと恰好をつけてしまう姉でございます。

 いいじゃないか。弟にくらいカッコつけたって!姉の威厳ってものがあるのだよ!!

 リビングに行くと私の映像をじっと見ている弟の姿が。ああ、可愛いなコノヤロウ。

 私が帰ってきたことに気が付くと「姉ちゃん!」と飛びついてくる。「姉ちゃんかっこいいねー」と尊敬のまなざしが眩しい!姉ちゃんはもっと頑張るよ!

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