表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/28

活動中です

 志願者から選ばれた人は7人。

 これで私を含めて新人は8人となった。

 不合格となった人はもれなく風組みに入るそうですよ。


 詞子ちゃんはといえば、やはりというかなんというか不合格となっていた。

 ただし、風組みへの入隊はその他の人と同じように取りまとめをする人の下について動くこととなった。

 「どのような形であれ、特別扱いはしないという事に決定したわ。他のメンバーに悪影響がある可能性もないとは言えないでしょうからね」というのが明瀬総長の言い分であった。

 詞子ちゃんはその決定に否は言わず、そのまま風組みに入っていった。

 私の「友達になろう」発言はさらっと無視されたままです。

 私はあきらめが悪いのでリベンジの機会をうかがっている最中ですよ。いつか友達になってやる。


 さて、そんな私はというと、なぜか新人メンバーのリーダーに任命されました。

 「リーダーを決めなさい」という明瀬総長の一声で新メンバーで話し合いをした結果です。

 私がリーダーとか、そんな器じゃないんですけど。

 リーダー決めの話し合いの最中に遠回しに訴えてみたのだけれど、不可抗力とはいえ試験でチートを使って煽りに煽った結果、「あんなのを見せられたのに、斎条さんに指示をだすとかヤダ」という結論に他のメンバーが至ったようです。

 うん、やっちまったね!

 決まったことは覆せないので、今日も今日とて事務作業にいそしんでおります。

 先輩に指示された仕事を他の新メンバーへと振り分けてせっせと活動中。

 みんな優秀だからあんまり指示しなくてもいいんだけどねー。


「斎条さん」

「はい」

「これ、生徒自治会に届けてきて」


 おつかいですか。行きましょうとも。でも、その前に。


「差支えなければ、どのような書類かお聞きしてもよろしいでしょうか」


 どのようなものか確認しておけば、お渡しするときの手間が省けますからね。


「もうすぐ予定されている校外学習についての資料よ。中を見ても構わないわ」

「よろしいのですか?」

「ええ」


 では、失礼いたしまして。

 資料の中身は総長のおっしゃった通り、もうすぐある校外学習について。

 この校外学習は新入生同士や在校生との交流が目的でもあるが、在校生向けに進路相談もあるから様々な業種の人や大学の教員、学園のOBを講師として招いている。

 そして、毎年講師の皆様の案内役は風紀で対応をしているのだ。

 資料には誰が誰を案内するのかが割り振りをされた決定資料だった。


「聞いてはいましたが、本当に多いですね」

「そうね。予想以上に講師の方が多かったわ。おかげで1年にも案内役をしてもらわなければいけない」


 例年通りであれば1年は案内役ではなく受付なのだが、今年は案内役に回っている。それだけ講師の数が多いという事だ。

 なんで今年は多いのかって?そんなもんは推して知るべし。ミスターパーフェクトな彼が統括だからだ。

 彼の効力で内からも外からも評判の良い今年。青田買いとでも言うべきか、高校生のうちでも良い人材は確保したいということなのだろう。気の早い話とも言えるけど。

 理由が何であれ様々な業種、大学から講師が来ていただけるのならこちらとてメリットは多くある。互いに損は少ない。


「安心しなさい。1年は1年同士の親睦と在校生との交流がメインだから、案内にそこまで縛られない様にするわ」

「大丈夫です。そこは1年全員気にしておりません」


 みんな初めての大きな仕事でやる気がみなぎってますからね。


「では、行ってまいります」

「ええ、お願いね」

「畏まりました」

「斎条さん」

「はい」

「何かあれば、報告してね」

「はい」


 何かってなんでしょう?何も変わった事をしに行くわけでもないのですけどね。

 疑問に思いつつも風紀から生徒自治会の部屋へと向かう。といっても生徒自治会の部屋とはそこまで離れてない。

 連携することが多いからやり取りは頻繁にしている。遠いと面倒ですもんね。

 はい、あっというまに部屋の前。


「失礼いたします。風紀から資料をお届けにまいりました」

「はーい。どうぞー。あいてますよー」


 ノックをして声をかけたら許可の声が。

 この明るく可愛らしい声は、もしかしなくとも…。


「斎条さんだ。いらっしゃい」

「失礼いたします。成宮先輩」


 扉を開けたそこには、やはり彼女様!

 今日も可愛らしいですね。素敵ですね。


「明瀬総長に頼まれまして、もうすぐある校外学習についての資料を提出にまいりました」

「ありがとう。急ぎの資料かな」

「いえ、案内役についての決定資料ですので、早めのご確認は必要かと思いますが今すぐの返信は必要ございません」

「そっか。じゃあざっと確認だけするからちょっと待っててもらえる?」

「畏まりました」

「よかったらそこに座ってて」


 指を差された先には重厚なソファが。

 お言葉に甘えて座ります。立って待ってても急かしてるみたいだしね。

 それでも深くではなく、浅く腰かけてしまうのは小心者のさがですな。


 本日は皆様出払っているのか、彼女様ともう一人会計の方がいるのみ。

 パラパラ、カタカタと紙の擦れる音とパソコン操作の音しか聞こえてこない。

 おや、こちらに置きっぱなしの資料は請求書でしょうか。放置ってわけではないようですが、危ないですよ。

 …いやいやダメですよ。勝手に見てはいかんですよ。ああでも見えちゃう。

 そんな葛藤してるとカチャリと扉の開く音が。


「叶、この間の請求書をもう一度見せてくれ」


 扉を開けつつ目線は手元の資料から離さずに入ってきたのは統括。

 真剣な顔もいいですね。素敵ですね。今日もパーフェクト!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ