プロローグ
部活に所属していない。それが僕、琴星薫である。今は部活動相談所という、部活動でもサークルでもない、有志ような集まりに僕は在籍している。
部活動相談所。
とは言ったものの、これは正式の名称ではないと最初に言っておく。部活動相談所はあくまで周りから言われているだけだ。
まあ部活動やサークルのようにちゃんとした目的があるわけでもないし、そもそも部活動のために動く組織でもない。
ただ悩める人を助けたい。
ただ困っている人を助けたい。
そんなことを彼女は言っていた。
「私はね薫君。困っている人は見たくないの。彼らには青春という青春をしてほしいんだよ」
そんなことを言っていた。
詩辺槍野は俺に言っていた。
青春という青春をしてほしい。
ただそれだけ。
それだけだそうだ。
そんなこと言われた俺は当初、首をかしげることしかできなかった。頭の上に「?」を浮かべていた。
青春。
こうして俺が今回、話し手になろうと思った理由は詩辺との出会いを話しておこうと思ったからだ。さほど長くないから安心してほしい。
僕と詩辺槍野との出会い。
少しだけ。
奇妙な形で出会い、不思議な形で関係を築いた俺と詩辺の話を、そして部活動相談所なる集まりの始まりを聞いてほしい。
春のことだ。
物語は剣道部長からメールをもらったところから始まる。