91 同類
◯ 91 同類
今日はホングに久々に会っている。何か憔悴した顔で溜息を付いていた。アストリューの神殿の食堂にいる。宙翔のお姉さんの美寿さんが、柔らかパンとナッツ入りのサラダにスパイシーな鶏肉料理を運んでくれた。
「何かあったの? またヴァリーと仕事でもした?」
「良く分かったな。あの性格は中々直らないみたいだ」
どうやらまた変な仕事に引っかかったらしい。
「今度は何があったの?」
「訳の分からない事で牢に入れられたよ。真偽官の見習いでそこの世界に入ったからなんとか出れたけど、生きた心地がしなかったよ」
「なんだそっちも同じ事してたんだ」
こういうのもシンパシーというんだろうか? 共鳴して似た事件にでも巻き込まれたとか? 何か嫌だ。この考えは捨てておこう。
「その口ぶりだと、アキも牢屋に入ったのか? どうやって出たんだ」
ホングが嬉しそうだ。僕はナリシニアデレートに浄化に来ていた女性達の連係プレーを見せてあげた。
「本気でこれで入ったのか?」
信じられなさそうな顔だ。
「そうだよ、隣の牢に入った人なんて酷かったよ。離婚の危機だって泣いてたし」
その時の皆の状況を話した。
「映像があったから出れたけど、証言が女性達で口裏あわせられてるから怖いったらないよ」
「恐ろしいな。女性は横の繋がりが強くて、男は上下関係が強いって言うのはあるけど、これは酷いな。意外と女性もこの指示している人が怖くて従ってるのかもしれないな」
「上下関係が強く出てる団体だったのかな?」
「そんな感じだ」
上下関係でストレスを感じてたのかな。それともダンジョン化の為に空気が悪くなっていたから引きずられたのか、両方が重なったせいか。
あれで揺れてるようだとガリェンツリーの瘴気には耐えれないかもしれない。あそこの神官達にはお断りをしよう。
「何にしても、酷い目にあったよ。セスカ皇子にも笑われるし」
「元気にしてたか?」
「勿論、元気だったよ。笑って仕事に送り出してくれたよ」
ちょっと剥れて言った。ほんのり違う意味での笑いだから。その様子に何か察したのかホングは何も言ってこなかった。
「今はヴァリーは戻ってるの?」
「ああ、久々に帰るって言ってたよ」
「そっか。落ち着いたらまた会おうって言っておいて。僕も大分落ち着いてきてるから連絡して?」
管理神になってからは、二人には忙しいとしか言っていなかったから遠慮してたんだろう。
「分かった。またな」
ホングはここの温泉に浸かってから真偽の区画に戻って行った。僕のスフォラから出てる姿には疑問を持ってなかったけど、そんなに変わらないのかな?




