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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
てんのさばきとあくのぎしき
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89 悪乗り

 ◯ 89 悪乗り


「あ、カジュラ。大丈夫?」


「はあ。なんとか」


 エルフ族に吊るし上げられてると聞いたので心配したけど、大丈夫だったみたいだ。痛そうな痣が顔中にあるし、体の動きもぎこちないが返事はしっかりしている。

 アンデッド用に作った月の癒しの空間に来ている。周りは建物が造られている途中で工事現場になっていた。真昼間なのでアンデッド達は休んでいるのか静かだ。


「グラメールは檻に入れられてます。裁判にかけられてから罰が与えられますが、その罰が難航しております。族長でしたからね。これまでの貢献をないがしろには出来ないというのと、神との交渉が出来たというのは大きくて、失敗とはいえ神域の復活をなんとかやれてますし、続行出来るのならこのまま交渉させて元の聖水の出る神域にという派閥と、別の者に交渉をさせるべきだとの声とがあって、まあ、瀬戸際です」


 頭を掻いてあの後の顛末を聞かせてくれた。


「大変だね。しばらく顔を見せるなって言ってたよ」


 僕の方もレイの伝言を伝えた。


「……それはどのくらいの期間でしょうか?」


 引きつった顔で尋ねてきた。


「さあ。注文を受け付ける組織だと思われたのが嫌だったみたい。交渉なんてしないって」


 カジュラは頭を抱えている。カジュラにマリーさんから預かった物を渡した。とろける様な手触りの黒のマントとその他の衣装だ。

 僕が闇の力を込めた生地でマリーさんがそれに色々と効果を追加し、縫い上げた物だ。いつもの適温適湿防水耐火効果に衝撃吸収とか魔法防護とか呪いの防護まで付いている。本人にしか着用出来ない仕様だし、滞空の効果も付いている。


「これ、カジュラに渡しとくね? 癒しの効果もあるから着ると良いよ」


 僕が力を込めたから当然月の癒しが付いている。カジュラは受け取ってしばらく惚けた様にマントを見ていたが、そのマントを羽織った。


「素晴らしい……これを、頂いてよろしいので?」


 一旦つばを飲み込んでカジュラは信じられない様な顔で確かめていた。


「使ってね? 前のはエルフ達にボロボロにされたみたいだし、調度良かった。カジュラの力と合うと良いんだけど」


「こんな闇の力の籠った美しいマントに文句はありません……この留め具は闇の魔石?」


「それで本人しか着れないようになってるから」


 魔術の服の応用版だ。効果を詰めすぎて形はマントのみだけど、修復機能も魔結晶に魔力を込めれば発動する。使い方を教えて、魔結晶に魔力を通してもらって登録した。靴は空を歩けるタイプだし、手袋も空中を掴める物だ。


「全部着ると何処から見てもヴァンパイアって感じだね」


 全部着替えたカジュラは高笑いしている。糞エルフ達め、待っていろ!! とか叫んでいる。よっぽど酷い目にあったらしい。


「それからこれはこないだのエルフにあげるって」


 徐に取り出した蛍光紫の服をカジュラに渡した。光の魔結晶にカジュラのと同じような効果が付いているけど、背中と胸に大きく黄色い発光塗料で神罰中と書かれていた。

 レイが悪のりして付けた効果が運気ダウンに魔物引き寄せにドジ体質になるとか色々だ。そしてそれは種族に波及するという素敵設定だ。なにげにカジュラの装備よりもこだわりがある気がする。魔結晶もグレードが高いし。


「これは……しかし、嫌まあその、罰なので?」


 カジュラもその妙に力の籠った服には目を白黒させている。


「うん。種族がどうとか言ってたから皆で責任取った方が良いよねって言ってたよ?」


「そうなのですか、さすがです!!」


 嬉々としてそれを持って行こうとしたが、僕は慌てて呼び止めて、カジュラの腕輪に繋がる指輪を渡した。その装備が完全に壊れるまでは神罰は続くし、勝手に壊したら神罰は永久にするからと、レイの伝言を伝えた。

 今にもスキップしていきそうなくらいの足取りでエルフの里に向かうカジュラの背中を見送った。


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