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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
てんのさばきとあくのぎしき
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83 灰影

 ◯ 83 灰影


 四日目の朝、シュウ達から震える手でなんとか神樹からの通知を受け取った連合討伐隊の総指揮官は、これで神罰から逃れられると泣きながら言ったらしい。闇に紛れてテントの食事全部に隈無く入れてあげたし、体の中から攻めて来る敵には戦いようが無かったみたいだ。

 ガリルとスフォラは今回動いた人族の国を全部控えていた。何処の国が動いたとかは資金とか物資の動きを、転移門を通る度にチェックしているのですぐに分かる事だった。


「何か、えげつない神罰があったらしいぞ」


 永井が総指揮官のいるテントから第六フィールドに戻って来て報告してくれた。


「恐ろしいよな、騎士があんなになるなんて……よっぽどだぞ?」


 祐志は恐ろしい事があったらしいとしか分かってなかった。


「でも、何かやり過ぎじゃないかな? 新しい神って悪神じゃないよね?」


 西本さんはちょっと不安げだ。


「違うだろ。あんな状態のドワーフ族を放置出来ないよ。それにそれを襲おうなんていかれてる」


 シュウは良く分かっているみたいだ。


「その通りだよ。あの建物の跡地は清浄な光の神域だったろ? カジュラの説明だと瘴気が多いから避難所として造って下さったって言ってたし、それを壊したにしては寛大だと思うぜ?」


「そうね、それは分かるわ。あそこは光も闇も癒しの空間だった。闇にも癒しがあるんだってすごく不思議で驚いたけど、あれなら分かる。あれを造る神が悪い神だとは思わないわ」


 祐志の説得に納得したらしい西本さんは微笑んだ。


「信仰があそこでは生まれてたよな。みんな建物を建て直すんだってはりきってたし」


「神域の空気がそのままで壊されなかったから皆はホッとしてたね。建物じゃないんだって言うか、あれはどうなってるのかな、魔法じゃなくてすごく綺麗な……純粋な力だった。小さいけど本当に神域って感じで……神様っているんだって思えた」


 照れるなあ。見習いとしてはもっと頑張らなくちゃって思うよ。


「あれを感じたらさ、俺らが上に上がれない理由なんて直ぐ分かるよな」


 永井も頷きながら同意している。


「うん、倉沢もあれを見るべきだな」


 シュウも何か思う所があるのか難しげな顔になっている。


「そうね、良い考えよね」


「カジュラも神樹の印は無いけど、ちゃんと神僕だって事だよな。ああやって事前に動けてるってことはそういう事だろ?」


「ドワーフ族の移動に関する手伝いをかなりしてたみたいだし、物資の調達とか色々面倒見てた。俺達も資金を集めておかないとないざという時に動けない」


 シュウは考え込んでいた。今回倉沢さんは動いていない。神僕としての休止が効いているので、印が消えてしまっている。


「そういえば、倉沢さんはどうしてるの?」


 思い出したついでに聞いておく事にする。


「冒険者をやってる。他の冒険者と組んで盗んだ資金を稼いでいるよ」


「そっか。頑張ってるんだ?」


「……最近変な感じかな? なんて言うか違う雰囲気を出してるっていうか、変な感じがするの。一度見てくれない?」


 何か歯切れが悪い。


「西本さんがそう言うなら何かありそうだね。見てみるよ」


 そのままシュウ達の拠点に向かった。と同時にふくれあがる瘴気を感じた。そっちを見ると倉沢さんがいた。ギルド帰りなのか泥まみれだった。目が合った瞬間にああ、灰影だと思った。夢を剥いだんだ。誰かの夢を喰らっている。一目で分かるなんて、かなり濃い灰色だと思うんだけど……。


「闇落ちの手前だね」


「それって何?」


「場所を変えよう。僕は彼女の目の前にいない方が良い」


 ギリギリと瘴気を無意識にか飛ばして攻撃しているので、防護しながらシュウに訴えた。


「分かった。移動するぞ?」


 僕達は引き返した。


「誰か一人彼女に付いていて?」


 あのまま一人にしても不味い。


「どうする?」


 皆目を合わせている。話し合いで西本さんと永井の二人が付く事になった。一人だと危険な所まで来ている。


「あの状態だと、西本さんの浄化も届かない。というか受け付けなくなってると思うんだ」


「アンデッド化?」


 祐志が聞いてきた。


「違うよ。自らの瘴気で破滅に向かってるんだ。正気を無くしたら、危ないかな。闇の癒しならまだ効くから良いけど、あのまま進んだら、悪くて地獄行きだよ。第七フィールドの王とかも同じだよ、そこまで落ちてる。人の力を奪いに掛かっている」


 その説明で何かを悟ったらしい。


「不味いじゃないか」


「つきっきりで見ないと何時爆発するか分からない。こっちは抑えに闘神を呼んでおくよ」


 その言葉で二人は息をのんだ。


「殺すのか?」


「そうならない様にしてよ。僕には出来ないし。ちゃんと意志を持って欲しいけど、彼女は元々がコンプレックスの固まりしか無い感じだし、神僕の仕事から外されたのが堪えたんだと思う。でもこんなに直ぐにあんなに闇に染まるなんて……」


 地獄の影響のせいだろうか? 神樹の印が守っていたのかもしれない。取り敢えずは彼女の扱いをどうするのか会議かな。それで一旦神界に戻った。


「やあ、気が付いたね?」


 会議室でレイが待ち構えていた。


「レイ。知ってたの?」


「まあね。ボクの所に嫌という程悪い思念を飛ばしてくるからね、嫌でも分かるよ。それにジュディも瘴気を印で直接感じるからね、疲れさせてはダメだし」


 そんな迷惑かけてたんだね。それで休憩と称して印を外したんだ。


「そうなんだ、大丈夫?」


「平気だよ。ジュディを唆してると思ってるみたいだね。ボクがいる限りは神界に入れないと思っているよ……自分の悪行に、思ってる事を教えてあげたら発狂しそうな感じだったしね。認めようとしなかったよ。切り裂き魔フォーニに匹敵するね」


 レイは笑っている。前回会った時の事を言ってるみたいだ。


「戻りそうにない?」


「そうだね、荒治療なら効くかもね」


 ちょっと悪戯気味に言っているのでレイの思惑は何となく察する。レイの報復も入ってそうだ。


「どんなの?」


「今は教えない。マリーがそれをしにもう行ったよ」


「そうなんだ」


 手配が早い。


「綺麗に人格が破壊されるか忘れるか、それとも人間を止めるか。問題ないよ、その方が幸せだし」


「え、と」


 それは、治療なのかな?


「クス。どちらにしてもおもしろいくらい変わるから。楽しみにしてると良いよ」


 そうなの? 人格が破壊って随分物騒だよ? 僕の顔を見て笑っている。


「まあお茶でも飲んで、休むと良いよ」


 リーシャンがハーブティーを入れてくれている。


「うん。ちょっと疲れたよ」


 確かに今回は疲れた。


「そうだね、暴動は抑えれたし、マシュも新しい薬の効果に満足してたし、いい結果だよ。彼女はあの薬よりも痛い目を見るからね、うまくいけば猛反省するはずだよ?」


「う……恐ろしい治療だね? うまくいかなかったら?」


「その時はまあ会えば分かるよ。多分ボクはそっちだと思うな。そうだね、その治療はアキには何の効果もないよ。後でやってみたら分かるよ」


「そうなの?」


「勿論」


 なんだ、それならそんなには酷くないかもしれない。


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