波音制覇 ☆伝説(?)の日々 1
☆ 1
海だ。とうとう俺様はこのエメラルドグリーンの世界を制覇しちまう……。
「何処まで俺様の偉業は続くんだ……。自分でも恐ろしいくらいだぜ」
いや、やってやろうじゃねぇか。
泳ぎは霊泉プールでやりきった。……後は本番だ。水ごときでうろたえる俺様はもういねぇ。
「行くぜっ!! アッキ!」
相棒に声を掛ける。俺様の支援者だが、アミーゴだからな!
「ポース、魔結晶は大丈夫?」
「おうよ! 予備もあるぜ。心配無用だ!」
俺様としたことが、調子に乗りすぎてメインの魔結晶を壊しちまった。予備の魔結晶で動くはめになったが……あれは恐ろしくやばい。後戻りはしたくねぇぜ。
まあ、アッキが予備を作り置きしてるからすぐに嵌めて事無きを得たが、新しい体は良すぎていけねぇ。
だがここで抑える様な俺様は、俺様じゃあねぇぜっ!! 突き進んでこそだ。今だって武者震いが来てやがる。
思えば、昔は我慢しすぎてたのに気が付いたぜ。アッキのおかげだな。そこは感謝の心を忘れちゃならねぇ。何たって運命を司る神だからな。
「あ、水中ゴーグルを忘れた」
間の抜けた声に振り返れば、アキが仕舞ったという顔で目の辺りを抑えている。
ドジの神もやってるのは余計だが、まあそのくらいは見逃してやらないでもねぇ。……そのくらいは織り込み済みってところが、アッキのすごいところだ。
「大丈夫よ〜。持ってきてるわ」
マリーから忘れ物を受け取っているのを見れば、嬉しそうにしている。
「ありがとう、マリーさん。さすがだね」
羞恥心が少し覗いている顔で受け取って、そんな自分を誤摩化す為か相手を褒めてやがる。計算された行為じゃねぇところがアッキだぜ。
「やっぱりな。失敗は無かった事になってやがる」
マリーに花を持たせるドジだ。レイが笑っているのはそんなところだな。思えば支援者との契約は初めてだな。多少の傷も許せる身分だ。悪くねぇ。
こうやって大海原の前にいても、不思議と無い足がすくんだりしねぇぜ。本が泳ぐ時代だ。波には乗らないとならねぇ。いや、乗りこなして俺様は海の覇者になるぜ!
波音が調度好い風が来ているのを教えてくる。
出発の時だ。
「準備は良いか! 行くぞ!!」
声を掛ければ、今度は望んでた台詞が返ってきた。
「行こう! ポース。海の世界へ」
続くかどうかも分からないのに1と入れました。無かったらすいません。
明日もSSをお一つ。妹ちゃん視点です。これと同じくらいは短いです。




