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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
しんらいとさいせい
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75 約束

 ◯ 75 約束


 拗ねてるセスカ皇子は、僕の牢屋での体験談を聞いてやっと機嫌をなおした。


「牢に入れられるとは、私も経験がないぞ」


 好奇心の詰まった目で言われてしまった。


「経験しなくて良いですよ……惨めな気分に浸れますけど、気分は良くないです」


「罪人の気分が味わえたか?」


「罪を犯した覚えがないので理不尽さだけです」


 勝手に頬が膨らんでしまう。


「憤りを覚えるのみか……それは嫌だの。しかし、守り神がそのように笑う程の『えいぞう』とはどんなのだ?」


「笑わないなら見せますよ?」


「勿論じゃ」


 好奇心でワクワクしているセスカ皇子はとても楽しそうだった。しかし、顔を真っ赤にして笑いを堪えようとして失敗し、時々吹き出しているのはちょっぴりいじけても良いのではと思う。


「こんな苦行があるとは思わなんだぞ。便利な物があるのだな、我が神はこれを入れぬのか?」


 結局笑いながら聞かれた。


「ごちゃごちゃしてるのは嫌だって言ってましたよ。自然と向き合った生活を楽しんで欲しいって」


「そうか。確かに大事な事ぞ」


 真面目にそういうセスカ皇子はちょっと皇子らしい顔をしていた。


「そうですね、これはこういう時は便利ですけど、笑われる元ですしね……真偽でも分かる事だし」


「確かに見る方は実に良いが、見られるのはちと勘弁したいかの。助けにはなるが諸刃でもあるな」


 僕の顔をみてまた笑っている。


「自分が悪い事をするのは出来ないってことでもありますね」


「ふむ、扱いを間違えると良くない物だという事か」


「悪用しようと思えば確かに出来ますからね。誘惑の方が多いかもしれません」


「ふむ、それならば納得か。持たせぬ理由もあると言う事だな。ヴァリーは使っておるのか?」


「そうですね。使わないと外では難しいですからね。ここにいる時は必要ないから余り使ってないですね」


「そうか、ちゃんと扱えておるか」


 少し、嬉しそうにセスカ皇子は確認していた。

 次の日は一緒に水竜に乗って湖を行き来してのんびりとすごした。皇子も息抜きが利いたのか顔色もいい。まああれだけ笑えばストレスも吹き飛ぶだろう……。


「明日はもう帰るのか……慌ただしいのはいつもだな」


 少しつまらなそうに言うので、皇子も仕事に戻るのが億劫なのかもしれない。


「あー、明日は牢屋に入れられて届けられなかった物を渡しに……」


 頭を掻きながら告白をした。


「ぶっくくっくく、ははははは。そ、そうか、仕事か? 全うせねばならんな」


 セスカ皇子はからかい混じりにそう言って、また笑い始めてしまった。余程ツボに入ったらしい。従者がちょっと心配するくらいだ。まあ殆どは苦笑いしてるけど。

 次の日、転移装置であの小屋の所まで飛んだ。ギダ隊がまだ順番なのか皆が揃っていた。


「よお、覗き魔! 外に出られたのか?」


 ナッツさんが声を掛けてきたが、何かムッとするぞ?


「お、痴漢だな? 差し入れご苦労!」


 ミッキさんもだ。


「差し入れ、要らないんですね?」


 良く分かったぞ! 睨んだら、


「そんな事無いよ! いつもありがたく……」


 とか言いつつ、ナッツさんが慌てて否定した。


「白々しいな……もう渡すの良そうかな〜?」


 と脅したら、


「ごめんなさい! それだけは〜」


 と、両手を合わせてミッキさんが謝った。


「ご勘弁を〜。こいつには鉄拳を与えます!」


 ナッツさんはミッキさんを殴る気のようだ。


「ぐぼっ」


 ミッキさんはナッツさんの拳を避けてカウンターを決めた。


「何やってんだ?」


後ろから声が掛かった。


「あ、ギダ隊長。差し入れを持ってきたんですけど、二人が要らないというので……」


振り返ればギダ隊長の呆れ顔が見えたので、経緯を話し始めた。


「そんな事言ってません〜。許して、この反省の涙を見て下さい〜」


慌ててミッキさんが言い訳を始めた。


「貴様ら。何をした? 反省する様な事したんだな? 吐け!」


 そんな感じで尋問が始まったので、皆を放置してアストリューのキャンプに向かった。窓の外には誰か知らない人が張り付いている。僕は余計な事はしない方が良いと思い、見なかった振りで玄関を叩いた。


「差し入れでーす」


「キャー、やっと来た〜」


 窓の外にいた人は慌ててどこかに逃げて行くのがスフォラの目には映っている。僕は窓の外に人が張り付いていた事を話しておいた。証拠映像付きでだ。


「ありがとう〜、気をつけるわ」


「じゃあ、僕はこれで戻りますね」


「あら、もっといて良いのよ? 遠慮しなくて良いわ」


「ありがとうございます。でもあっちを放ってきてるので怨まれますから……」


 後ろでこっちを凝視しているギダ隊を指さした。


「あら、悲しげな顔が並んでるわね〜。いいわ、行ってあげて」


「はい。食べ物の恨みは怖いですから。じゃあ頑張って下さい」


「そっちこそ、じゃあね」


 やっとパシリが完了した。長かった……。後はあっちで涎を垂らしてるギダ隊だな。その後はトーイの木の精霊と妖精達とでたっぷりと日が沈むまで遊んでからアストリューに帰った。


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