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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
しんらいとさいせい
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68 御預け

 ◯ 68 御預け


「んまあ〜、討伐対象ですってぇ?」


 持っていたお玉がグニャリと歪んで使い物にならなくなったが、マリーさんは怒り心頭だ。ギリギリと歯ぎしりしている。


「う、うん。だからあんまりチャーリー達を下に連れて行くのはダメなんだ。そんな目で見られるなんて嫌だし、耐えれないよ。二人にそんな嫌な想いはさせたくないんだ」


「あたしがもう嫌な気分よ〜!! きいいーっ!」


「まあ、術者の僕がしばらくあそこに行かなければ大丈夫と思うんだ」


「そんな事いう奴らには宝箱なんて空気でも入れとけば良いわ〜。ふん! 神を侮辱するなんていい加減にしてもらいたいわ〜。チャーリー、そんなの放っときなさい。カフェをやるのよ」


 隣の部屋にいたチャーリーにマリーさんは声を掛けた。


「畏まりました」


 ミシンで服を縫っていたチャーリーはあっさりとそれを片付けてしまった。


「チャーリー……」


「聞こえておりました。討伐対象にするなんて気分を害する事です。冒険者にはしばらく褒美は無しです」


 ぴしりと言い切ったチャーリーは僕を気遣っているのが分かって胸にぐっと来た。うう、情けない僕でごめんね?


「ガリル! 今直ぐ宝箱を出すのをやめるのよ〜! 胸くそ悪いのよ、解決するまでそのままよ?」


 壊れたお玉を預かったと思ったら、マリーさんはどこかに行ってしまった。残った僕とチャーリーでカフェの手伝いをそのままする事にした。

 カフェは可愛いチャーリー達の姿が和むと女性客も増えている。うん、分かるよ。ほんのりと表情が分かるくらいには顔の筋肉も動くし、仕草も可愛い。時々女性客が抱きついているから何となく察する。

 僕はコーヒーを入れ、カフェでの手伝いを頑張った。キリムが休憩時間なのか治療室から飛んできた。頭の上に乗っかって、周りに溢れてる僕の気を取り込んでいるみたいだ。

 三センチぐらいの体だったのに今では五センチを超えている。羽根を広げれば二十センチ以上ある。癒しと浄化の力は成長と共に強くなっている。

 僕の嘆いている姿に、紫月が後ろから涙に思念を飛ばして僕を慰めてくれていたのが分かっている。その記念にというか、その思念を包んで僕の感謝の気持ちを込めて光の力で閉じ込めたのがキリムの誕生だ。思いやりの心が詰まっている。柔らかな癒しの力は好評だ。


「キリム、ありがとう」


 マリーさんの命令で休憩中は僕の癒しを担当してくれている。まあついでにお食事もされちゃうけど元々余っている気を食べてるから問題ない。

 その後も来るお客の為に軽食を用意したりケーキを出したりしながら働いた。夕刻になったので、僕はアストリューに帰る事にする。


「チャーリー、後片付けお願いね?」


「はい。お疲れさまです」


「お疲れさま」


 それから三日程してからシュウから連絡があった。宝箱が全く出なくなったと。マリーさんは本当にやったらしい。それについては神樹の通達があったはずだけど、見てないのかな?


「倉沢が連れて行かれた」


 シュウは苦々しげにそう切り出した。緊急の呼び出しに慌てて行ったらそんな事になっていたらしい。


「え? 何があったの?」


 連れて行かれたと言われても何処に?


「それを聞いてるのよ、どう言う事? 鮎川君の復讐ってこと? 気持ちは分からないく無いけど、もしそうなら見損なったわ」


 西本さんの台詞で益々分からなくなる。


「えと、復讐なの?」


 そこまでは怒ってないよ?


「違うのか?」


 シュウも僕の顔を見てちょっと混乱気味だ。


「話が見えないよ。最初から説明してよ。何の話をしてるの? 宝箱が出ない話じゃないの?」


 元々はそうだったはずだ。


「えーと。そうだった。そっちもだけど、倉沢のは今朝だから聞いてないはずだな」


 シュウの目が泳いでいる。やっと僕が無関係だと分かったらしい。


「じゃあ、倉沢さんが連れて行かれたって言うのは今朝なんだ?」


「何も知らないのね?」


 西本さんも噛み合ない会話に何かを察したらしい。


「うん。それで何があったの?」


「別口か。なら他をあたらないとな。祐志、説明頼むよ」


「了解!」


 祐志に聞いた話だと今朝、冒険者ギルドの方から呼び出しが来て、断ると神敵だという事で連れて行かれたらしい。

 神樹の宝箱の停止はお告げがあったらしいが、心配してなかったみたいだ。神の眷属を侮辱したからという内容で、冒険者ギルドに通知が行ったらしく直ぐに対応がされると思っていたみたいだ。

 リーシャンと僕の討伐の事だろうか。というかその内容だと思う。


「あー、神の眷属は心当たりあるよ」


「本当か? なんだ?」


「僕とぬいぐるみだよ」


「えーと?」


 祐志の目には疑問しか浮かんでいない。


「あのぬいぐるみは中身はオートマタだから……ちゃんと意志もあるし、話しも出来る。討伐対象になったって言ったら、すごく怒ってたよ。闘神が冒険者に褒美を与えるのは止めるとか言ってたし、空気でも入れておけばって言ってたよ……」


 溜息とともに伝えたら、祐志の顔が歪んで不味そうな顔になった。


「それは不味いな。それで宝箱停止なのか」


 何か自分の言葉に納得したみたいで、更に顔色が悪くなった。


「うん、宝箱に入れる物を調達しに下りてきてたから、怒りは相当だと思うよ?」


「げっ、やばいじゃないか、どうすんだよそれ」


 祐志が慌てている。


「討伐の対象から下りないとダメだと思うな……反省しないと許してくれないと思うよ?」


「まじか。ちょっとシュウに言ってくる」


 祐志は走ってシュウの後を追いかけて行ってしまった。ところで倉沢さんは何で捕まったんだろう? 神敵って?


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