65 療養
◯ 65 療養
カジュラがテストに落ちたと連絡が来た。何に引っかかったのかというと、強い者に巻かれ過ぎならしい。レイからのテストに引っかかってあっさりと落ちたらしい。言われたらそんな気もする。悪神に付いたと思ったら僕に付いたり、目の前にある餌に弱いと判断されたみたいだ。
なので、各フィールドの中でまずは修行となった。移り気な性格を直す所からスタートだ。
「さあ、お薬ですよ」
「はい」
メレディーナさんが毎日薬をくれるので飲んでいる。今日の薬はエメラルド色に輝いていた。少し苦味があるけれど、飲めなくはない。静養に入って四日が経ったけれどまだ外に出してもらえない。
「奴隷の事は聞きました。辛い話ですね」
「はい」
「本来なら神樹である者がやるべきです。アキさんが無理に何でも決めなくていいのですよ?」
「でも……」
「いいえ、彼女がやるべき事なのです。レイさんも少し彼女に甘いようですが、アキさんがここで倒れられては困りますからね。これからは少々鞭を入れていかなければ物事も上手く進みません。元々彼女がやるべき事なのですからのほほんと暮らされては困ります。やるべき事はやらせるべきです。そもそも神樹というからにはやって貰わねばいけないのですわ」
何やら珍しくメレディーナさんは厳しい。
「う、あ、はい」
「アキさんがお優しいから見捨てる事は無いと思っているのでしょうが、それで自身の手を汚さないのは逃げです。助けを呼んだ者がするべき事をやらねば共倒れです! アキさんは十分助けています。歴代一位を獲得したとか?」
「は、い。マイナスポイントです……」
恥ずかしいので目をそらした。
「返せる見込みが無ければ貸してもくれませんよ。それだけの返済能力があるとの信頼の数字です。誇って良いのですよ」
「本当に?」
メレディーナさんを見ると微笑んでいる。
「当然です。マシュさんもそのように受け止めていらっしゃいます。返せるからこその数字ですわ。それに押しつぶされないだけのものを持っていると期待の数字でもあります。大丈夫ですよ」
少し肩の荷が下りた気がした。さすがメレディーナさんだ。優しく微笑んでそう言われただけでなんだか本当に大丈夫な気持ちになる。
死神のポイントはなんとか収入と支出がとんとんになった所だ。まあ、返せてはいないけど、みかんの中間界での地獄のダンジョン経営の場所代と各店舗の場所代にカフェの収入でなんとかなっている。僕が死神なのでその組合員としての割引もある。
管理神としてのポイントはアンデッド用のポーション作りで少しだけ減った。けれど、魔法力BOの研修開発費が引かれてガッツリとポイントを持っていかれた。それでも結果が出れば吹き飛ばす程の何かが出来るはずだ。
「もう、布石は揃っています。アキさんはゆっくりしていれば後は勝手になるようになりますよ」
「はあ。…………皆が優秀だから大丈夫ですね」
考えたら僕が一番ダメな気がする。
「ええ、心配無用ですよ。さあ、少しだけ外出を許可しますから神殿の庭を散歩なさっては?」
「はい、そうします」
銀色の狼なスフォラ本体と一緒に神殿の庭を散歩した。スフォラも腹痛はすっかりと治って元通りだ。というより殆ど僕の方が弱ってたらしい。ごめんね? 魔物肉は食べるのを止める事にした。得に芋虫は良くないと思う。うん、あれはストレスだ!
「僕よりも紫月の方が分かってたのかな?」
スフォラに話し掛けた。温泉に入った時に疲れていると言われたのを思い出した。ちょっと頑張りすぎたみたいだ。少しペースを落として自分に合ったスピードで進もうと思う。
首を傾げるスフォラは良く分からないと言った感じだった。でもそんな気がする。
「紫月ももう、精霊になってるしそんな事もあるかもしれないね」
新たに増えているカシガナの妖精達も二十を超えている。もう、家の中だけでなくて外にいる妖精も増えて新しい聖域の場所で過ごしている者達もいる。
元訓練場だったあの場所もすっかりと変わってしまっている。着々と聖域へと変わりつつある。カシガナの木も順調に育っていて、うちの庭の木よりもほんのりとピンク掛かっている。
「スフォラも成長してるし、僕も成長しないとダメだね」
倒れてばかりはいられない。体が治ったら、自分らしく進む事にしよう。何故かその後十日も家で療養する事になったけど、何かあったんだろうか?




