60 流行
◯ 60 流行
次の日も休日にした。目が晴れてたし、良いと思う。植物園なアストリューの家の庭を散策してスフォラと一緒に部屋に飾る花を選んだ。紫月達は次のステージに向けてポースと一緒に歌を歌っていた。
宙翔が午後から家に来た。マリーさんの作った女将さん用の和服と宿の貸衣装用の和服を取りに来たついでに話をした。
「そういえば、こないだ雨森姉妹がまたうちに予約を入れてたぞ」
「そうなんだ。またカニかな?」
「そうみたいだぞ。時々紹介で何人か来てくれてるから宿としては忙しいくらいなんだ」
近況を語ってくれている宙翔は、最近随分しっかりしてきた気がする。
「へえ、良かったね」
宙翔にお茶とおせんべいを出した。
「姉ちゃんも神殿で働いてない時は宿の方を手伝ってるよ」
「接客は上手くなってそうだね」
「まあな。でも普通の着物は着ないから雰囲気が壊れるしな」
首を傾げて困った表情を見せている。そうだったかな?
「あれ? でもこの前は着てたよね?」
「アキの着てるステージ衣装が良いみたいだ」
「え? あれが良いんだ?」
「着物っぽいけど、何か違うあれだよ」
おせんべいをバリバリ言わせて食べながら話を続けた。醤油味はやっぱりおいしいな。
「和風のステージ衣装だよね。着物っぽいけどミニ丈になってたりとかドレスっぽくなってるし、暗闇でもほんのり模様が浮き出て見えたりするから、派手だよね」
なんせステージ用だから普段にはちょっと派手だ。
「そうなんだよ。あんな感じのが最近売られてて、姉ちゃんは夢中なんだ」
成る程。落ち着いた宿にあの衣装はちょっと浮くかもしれない。
「でも、流行ってるんだね」
「まあな。アキと妖精のせいだぞ。可愛いって評判だ」
「マリーさんが喜ぶよ」
それから宙翔は饅頭作りの話をして帰っていった。どうやらまた饅頭の試作があるらしい。宙翔が帰ってからマリーさんに着物の報告をしたら、案の定喜んでいた。
明日はちゃんと仕事をしよう。ここの植物の成長記録も取っておかないと。溜まっている仕事をやっつけよう。高校の授業も最近遅れ気味だし、頑張らないと!
「さて、夕飯でも作ろうかな?」
チャーリーと一緒に夕食の用意をした。
「リーシャンとカフェは交代なんだね。どう? カフェは出来ないようなら、止めるけど。忙しいでしょ? ちゃんとお休みを決めていいんだよ?」
「お休みは警護には無いです。だからカフェもついでで大丈夫です」
「そっか、中間界の警護もあったね」
そうだった。交代でだけど、こっちでの妖精達のお世話とで大変そうだ。
「はい。新しい仲間が増えたらお休みします。そしたらアキの護衛をします」
「僕の?」
初耳だ。
「はい。管理神ですから必要です」
「そうなんだ? スフォラがいるよ?」
「体から出るから必要になるってレイが言ってました」
「そうなの?」
「はい。美味しそうなのは変わらないから敵が増えます」
う、一香に美味しそうと言われたのを思い出した。
「それは怖いね。その時は頼むね?」
「お任せ下さい」
優雅にお辞儀をされてしまった。
「はう、可愛い!」
チャーリーを抱きしめてから夕食の支度を続けた。ブイヤベースにガーリックトーストにサラダを合わせて……と、レイとマシュさんが帰ってきたので一緒に食べた。
どうやら、チャーリーが今夜のメニューをレイに伝えたらしい。人数分よりも多く作っているとは思った。まあ人数は多い方が美味しく食べれるから良いけど。




