57 経営難
◯ 57 経営難
地球の神界でマリーさんと買物をしていたら、僕達の魔術の服が売りに出されているのを見つけた。
「そう言えば管理組合があちこちに売り込みにいってるって聞いたのよ〜。デザイナーを発掘するのにも調度いいのよね。やる気があるなら、クリエイター仕様のを買って自分でデザインした服を登録して、データーをデザイン管理しているうちの制作本部に送りつけてしまえるの〜。問題が無ければ商品としてデータのまま一商品として売られるのよ〜。カタログはこんな風にモデル着用で感じを掴めるし、試着は簡易データーで十分だけ出来るようになってるの。不正をされないように試着のタグが付いてるけど、それは仕方ないわよね」
何やら和風の生地を物色しているマリーさんは、僕に生地を当ててうーんと唸りながら最近の売込みの変更点を教えてくれた。
「そんな事になってるんだ」
いつの間にか進化していたんだ? 試着ブースは無くなったのか。というか商品の認知度が上がったから外したのかな?
僕もベールでの服化を最近はさぼっていたから、今日は自前の魔術服だ。まあ、僕は売られている魔術服じゃなくても自前で行けるので楽だ。ただ、デザインは良くないからマリーさんに直されてるけど。
「そう言えば、魔結晶が足りないって一時期言ってたけど、それは大丈夫になったの?」
アキちゃんのその光のベールにはどれも負けるわ〜と悩んでいるが、結局は両方とも買物かごに入れていた。
「ええ、ブランダ商会が買い占めをしていただけだったのよ〜。うちの規格ででしか作れないようにしてたから技術は取られなかったわ、大丈夫よ〜」
「そうなんだ?」
「すぐに真似をしようとしてたけど、あれは中々真似は出来る技術じゃないし、端末もある程度の物を求められるの。だから、外側だけ似せた中身の無い物を出してたわ〜。それ以上は出来なかったみたいで、向こうの最上位の端末機種に入れてもらえるようにって言ってきたらしいの〜」
「断ったの?」
「最初は外側の似せたパッケージが売られているからと言ってごねたのだけど〜、品質管理をさせてもらえるみたいだから管理組合もちょっと折れ始めてるみたいね。悪神達の巣も取り除かれてしまったから取ってくるエネルギーが減ってるんじゃないかしら〜?」
「ブランダ商会にも取り分があったって事だよね?」
「そうなるわね〜。あれだけの首輪を用意してたって事はそれだけ外に人間を売り出すつもりだったんでしょ〜? 尻尾を掴まれて慌てて逃げたけど、資金が回らないとかそんなところじゃないかしら〜?」
そっか、経営が苦しいのか。あれだけ悪神、邪神が捕まったらそうなるのかもしれない。死神達もあれを抑えれてホッとしていたし。
「そっか、偶然とはいえ売られる前だったから良かったんだね?」
「そうね〜、少なくとも前の管理神はそれで収入を得る気だったんでしょうねぇ」
綺麗な組紐やら日本刺繍の図案の本を入れていっている。またステージ衣装を作るのかな?
「酷いね」
「その点はアキちゃんに拾われてあそこの世界はラッキーよ〜? あたしなら手放しで喜ぶわ〜。それで魔族の事はどうするの?」
「入れると冥界から地獄の気を入れる事になるんだよね?」
「そうよ〜、それもずっとね」
悩む所はそこだよね。今いない種族を受け入れるとなるとバランスが崩れる。ただでさえ不安定なのに……。
「魔物がずっといる状態だよね……。今の世界運営には必要だけど、ずっといるのかって言われたら要らないようにしていきたいのが本音かな。フィールドごとに受け入れをしないとかは出来るけど、差をつけすぎても揉める原因になるし、難しいね」
「そうね〜、でもオリジナルの物が地獄の気のせいで出来てるのは皮肉よね。他にもっと特徴があればアピールポイントになったのに。でもちゃんと考えてるのね?」
少し微笑んでマリーさんは手に持っていた紫の生地を元に戻した。
「うん。何となく完璧を目指すのも違う気がしてきたよ。意外と自由に幅広くしたら良いのかなって思うんだ。なんていうか自由度があった方が良いなって。その選んで欲しい。魔術の服も沢山の中から選べるようになってるし、そんな感じに……選択の多い方が楽しめそうだよね」
瘴気が役に立つこともあるって受け入れをするべきなんだ。悪い物という認識からで無くて違いを見る所から始めるべきなんだと気が付いた。倉沢さんのことも同じなんだきっと。
「アキちゃん、素敵な考えね。そうね〜ハイドーリア次第で決めても良いわね〜。魔族の神である魔族神にでもなれれば……あれだけこだわってるんですもの受け入れも考えても良いのね?」
「……そういえばあれから頑張ってるの?」
まだ保留だったなそう言えば。まあ時間はたっぷりあるから僕も色々と見ないとダメかな。
「そうねぇ。地獄と向き合っているかしらね。まだ無理だけど、見込みはあるのよ。冥界にある改心した悪神の為のプログラムがあるわ〜。アキちゃんが考えるなら紹介もありよ。ただ、受け入れが決まったならの話ね」
「そっか。その前に魔族のいる場所に見学に行かないとね」
「それもそうね〜。訳も分からずに受け入れはあり得ないわねぇ。良いわ、探しといたげる」
「うん。その前にカエルと対面しないとダメだけど……」
「頑張ってね〜」
僕の顔色を見て察したみたいだ。マリーさんは目を逸らしている。一緒には来てくれないらしい。まあマリーさんも忙しい仕方ないか。




