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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
えさのかち
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5 訓練

 ◯ 5 訓練


 ナリシニアデレートで、ギダ隊との連携訓練だ。タキ達との森の小屋での交戦で、というか一方的な攻撃で僕がスフォラの電撃をベール内から飛ばせたのを見て、その特訓と新たな連携が始まった。


「スフォラちゃんだけでやったら、電撃は外に出ないのね〜」


「ごめんなさい」


 マリーさんの顔は残念そうだ。勿論僕が悪い。さっきからマリーさんに、ばっちり電撃を当ててしまっているからだ。

 スフォラは自分が特訓でマリーさんに当てれないのに、僕がさくさくと当てているのに納得いかないみたいだった。いや、僕は当てようとはこれっぽっちも思ってないんだ。今だって思ったときにマリーさんが動いて電撃の前に来てしまうから止めれないんだよ。本当はその向こうにいる仮敵のギダ隊長に当ててるんだよ。でも、味方のはずのマリーさんにしか当たってない。これは不味いのだ。

 ギダ隊長はナッツさんとさっきから笑い転げている。何度やってもマリーさんに当たるのだからおかしいのだろう。来るはずの攻撃がどんなに待っても来ないのだ。


「腹筋への攻撃が……」


「痛い、ひっ、ひっ、くくくっ」


 違う攻撃の被害も最高潮になったところで作戦の練り直しだ。スフォラと相談して、いっその事発射だけを僕にしてしまう事にした。スフォラの指示通りにスイッチを押す感覚で電撃を発射する。それ以外の体の動きに狙いをつける等は全てスフォラ任せにする。戦闘のセンスが皆無なのでもうそうするしかない。


「今度こそ大丈夫!!」


 休憩後にもう一度やったら、電撃がマリーさんに当たったのは一度だけだった。後は、ギダ隊長かナッツさんに向かって攻撃が飛んだ。当たったのは僕の反応が遅れたせいだ。


「やっと訓練らしくなって来たわね〜」


「そうですね。どうなるかと思いましたがなんとか形は出来てますね」


「レベルの低い危険地域には出れそうですね。ポカレスの援助で魔法防護が高まってますし、バッタ部隊の防護は堅牢で物理防護レベルが上級まで上がりましたからね」


 今日はポースも訓練に来ている。僕の闇と繋いで魔法防護を高めてくれ、更に自身のあの音波攻撃にも何ともない程のバッタ部隊の防護も付けているので、僕のベールは一時的にかなりの防護機能を備えた物に変わった。二時間しか防護が持たないのがネックだけれど、戦闘時のみの切り替えが出来るのでそれほど困らなかった。

 バッタ部隊とポースは闇を集めて作った闇の力の純結晶の中に、闇の属性を持つ空間を専用に作りそこに入って貰っている。居心地は最高だと言ってくれてるので気に入ったみたいだ。勿論、みかん箱の部屋で作った。

 ポースと話をして何となく浮かんだアイデアだった。これを披露したときマリーさんが嬉しそうに微笑んでいた。安全性が高まったので護衛も楽になるし、隊員達の戦闘も楽になると嬉しそうだった。

 ポースのおかげで影に潜る事も可能で戦闘の幅が広がり、他の死神のマントに負けないだけの防護機能がついたので、呼ばれる事が増えるかもしれないと言われた。


「まだ死神の組合に呼ばれた事はないですよ?」


「そう言えばそうねぇ。ギダ隊との実戦の経験は二回もあるけどもどっちも偶発的な物だし、危険地帯に偶々いたっていうだけよね〜」


「そういや、そうだったか。調査に乗り出せば悪神達の巣にぶち当たったかと思うくらいのやばい事になってたし、ダンジョンを作ろうなんて奴らだから死神の方も精鋭部隊を出して来てたよな」


「分断されなければもっと早く片付いたと思うわ〜」


「この前は援護で精一杯だったが、影に入れるならまた支援の仕方も変わりそうだな……。戦闘訓練を死神達とやっておく必要がある。ベールを被った時の連携がまだ仕上がってないからな」


 次は死神の組合の訓練場に皆で行く算段をしてから、今日の訓練は終了した。だが、今日は訓練以外にも用がある。この世界からタキを連れて行く日だ。異世界間管理組合に連れて行って犯罪者専用の契約を結び、借金返済の為に働くという魔法契約を科す事になっている。罰であり損害の回収でもある。まあ、大抵はうちの組合員と似た様な仕事が待っている。ちょっと危ない仕事もあるみたいだけど、そうは違わないと聞いている。

 マリーさんと一緒に神殿の地下牢に向かい牢屋に入って手錠をかけると、外に連れ出して組合に向かった。仲間のレンガ色の男と黒一色の男が俺達も連れて行けとわめいていたが、そこまでは僕も面倒は見れないので放置した。ラークさんの罰が終るまでは仕方ないと思う。

 どうやら、契約はうまくいったみたいだ。この後、マシュさんの用意した仕事が待っているのでアストリューに連れて行った。タキは気分が悪そうで神殿での話し合いは蒼白な顔だった。更にマシュさんの仕事内容に顔色は土気色に変わった。


「嫌だ、人体実験じゃないか! 俺はモルモットじゃないぞ!! 契約なんかしない!!」


「拒否は出来ないぞ。アキもやってるから、さっき組合で契約した内容に沿っている。組合員がやりたがらない仕事は強要出来ないとあるが、実際やっている実績がある物だから危険はない。そしてお前には拒否権はない!!」


 さすがマシュさんだ。指さして言い切った。


「なんだ? みっともない男だな。こんなやつ役に立たねえぞ、マシュ」


 ポースがタキの事をこき下ろしている。確かにこの姿だけだとそんな感じだね。


「嫌だ、そんな気持ち悪い物を俺に入れるな!! 嫌だ! 助けてくれ! い、や、だ〜〜!!」


 マシュさんの迫力の悪い笑顔満開の姿に走り回って逃げ、とうとう泣き出して僕に助けを求めてきた。未知の物を体に入れる恐怖と、マシュさんの意味不明な威圧に耐えかねたんだろう。うん、分かるよ。マシュさんとの出会いをおかげで思い出したよ。

 『スフォラー』の犯罪者用の赤い核が入った物で、新しいモニターをさせるようだ。逃亡出来ないし、意識の繋がりから、悪い事をしようと魔法を使ったり暴力行為をしたら即、拘束し通報するという物だ。後は最低限の情報閲覧と、連絡がつけれるので必要だと思う。言葉も不自由しないしね。落ち着いてスマホを体に入れる感じだと教えたら、おっかなびっくり受け入れていた。

 『ディフォラー』と名付けられたそれは、僕にもタキの行動や、位置が分かる物だった。どうやら少し面倒を見ないといけないみたいだ。後輩だと思っておこう。


「意識まで監視出来るからな。悪い行動にまで移ったら、直ぐに『ディフォラー』に乗っ取られて体の支配権を失う」


 どうやらスフォラと似た設計のようだ。マシュさんの説明を聞きながら成る程と納得した。ペットではなく監視者としての役割なようだ。スフォラはもうペットじゃなくて、ちゃんと人格があると僕は思ってるけど、まあそこは今は問題じゃないか。

 タキはその後、組合の犯罪者区画に連れて行かれて規則正しい生活を送る事になった。そこで少しずつ出来る仕事から始めて慣れて行くみたいだ。初仕事が終ったので、ほんの少し報酬が出されたみたいだ。タキのマイナスポイントが減ったのが確認された。何故か僕も保護者モードになっている。

 フォーニは本来ならこの犯罪者区画に住む事になるはずだったが、僕の要求で星深零の区画にて実験が行われている最中だ。ハンシュートさん達も犯罪者区画にいるからあの栗色の髪の女性のエミーナルと会う事もあるかもしれない。鍵村がマネージャーをやってたなら、面識はあるはずだ。

 ちなみに僕はそこには入れない。面会制になっているので呼び出さないといけない。連絡が出来るので、僕からは面会という方法は取る事はなさそうだ。ちなみに金品のやり取りは犯罪者とはやってはいけないと規則に書いていたので、現物貸し出しか本人のポイントでの物資調達になる。犯罪者限定だけど、組合の通販が使えるから生活に関してはそんなには苦労しないはずだ。

 職業訓練が充実していると聞くし、組合も借金返済は歓迎なので大丈夫だと思う。タキが入るのでホングに少し聞いておいた情報だから間違いないだろう。


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