42 両手花
◯ 42 両手花
夢縁に久々に行って講義を受けた。こんな星三つの僕なんかが管理神で大丈夫だろうかと思いつつ久々にトシの様子を見に行った。
「アキか。とうとう俺にも、もて期が来たっ!! 見ろっ両手に花だぞ!」
「そうだね」
自慢しているトシは後ろに二人の女の子を待たせていた。
「どうした? 浮かない顔して。俺がもててるのが変だって言うのか?」
唇を尖らしてこんなめでたいのに祝いの言葉も無いのかと目が言っている。
「違うよ。頑張ってたからだよね」
「そうだ! 俺はやれば出来るんだ!」
自信に満ちあふれたトシはやっぱり女の子が必要人間だ。支えの有る無しでは変わる。
「良かったね……」
なんと言うか二人の視線がものすごく怖い。ちゃんと一人に絞った方が良いと思うよ? こっそりそう言ったら、
「いや、そんな事出来ないだろ? 女の子を振るなんて俺には出来ないっ」
「どっちも傷つけてると思うよ? あの視線には気が付いてるよね? 怖くて近寄れないよ……」
目が泳いでいる。
「う、善処する」
どうやら忠告には少し心当たりはあるんだろう……。確かにどっちも可愛いけど、ちゃんと誠実に対応した方が良いと思うんだ。
あのなりきりヒーロー作戦が功を奏して随分成績が良くなった。そこでもて出したみたいだった。女の子は鋭いよね、変わったトシを直ぐに見抜いて近寄ってきているので見る目はあると思う。
地球では一月も終わりに近づいている。おでんの種を仕込みながらぼんやりと庭を見ていたら、タキから仕事の催促が来た。……懲りない人だと思う。あれほど痛い目に遭ったのに、というか裏切ったのになんで僕に仕事をくれなんて言えるのかな? 分からない。タキにうちの内職が出来るとも思わない。
マリーさんに手伝いにタキはいるか聞いたら要らないと返ってきた。だよね? マシュさんに聞いたら間に合ってると返ってきた。レイはそもそもタキの事はいない振りだ。メレディーナさんも同じだ。
何で僕に仕事を貰いにメッセージを飛ばしたのかを聞いてみた。返事は来なかった。なので無視を決めた。シュウから連絡が来た。鉱山のダンジョンの攻略を手伝って欲しいと書いてあった。なので分かったと返事をした。ポースを連れて行こう。良い闇の生物と会えそうな気がする。
おでんを活力鍋に入れて煮る。沸騰してしばらく後は余熱でっと……。炊飯器のタイマーをセットして後は洗濯物を取り入れておこう。伊東さんが二階から下りてきた。
「なんだ来てたのか? 忙しいと聞いてたけど」
「あれ? 聞いてたんですか?」
「何でも多額の負債を抱え込んで身動き取れないって聞いてたけど、こんな所にいて大丈夫なの?」
「あ、うん大丈夫だよ。投資の方が集まったから。資金の方は余裕が出てるよ。後はエネルギーの方だね」
「良く分からないけど大変そうだね」
「うん。まあマイペースで頑張るよ」
「そう。今日はおでん? 良い匂い……」
「はい。多めに作ったから食べて行っても良いですよ?」
「いや、今日はこの後は会議があって無理なんだ」
チョッピリ名残り惜しそうにキッチンを見つつ伊東さんは首を横に振った。
「そうですか。残念ですね」
「本当だよ」
そう言ってからセキュリティーのチェックをして戻って行った。僕は皆が帰ってくるまで高校の問題集をやっつけていた。家族が揃って一緒に夕食を囲めたので嬉しかった。やっぱり家が無いとダメだと思う。




