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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
ふりょうなるいさん
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40 投資

 ◯ 40 投資


 董佳様が紹介してくれた会計及び経費削減係は厳しかった。僕達にダメ出しを言い続けた。行動のすべてにケチをつけられてる気分だが、理由がちゃんとあるのだから仕方ない。


「良いですか? 無闇に転移装置で帰ってたらそれだけでも経費が掛かるんです! これからは一日一回以上を使う事を禁止します。一人一回じゃないですよ? 全員で一回です!!」


「そ、そんな……」


「なんですか、このどんぶり勘定は?! 聞いて呆れます。これで本当に再生が出来るとでも思ってるんですか!」


 つり上がった目が有無をも言わさぬ迫力を持って僕に襲いかかってくる。


「良いですか? 今はここの材料が不足だからいいでしょう。この宝箱の中身も手作りは大いに結構! しかし、復興の為にはここの素材でやりなさい!! 外から運んでばかりでは逆に経費が掛かってるし、ここの成長が途絶えたままですっ! 良いですね!!」


「う、あ、はい」


 恐ろしい……けど言ってる事は確かにその通りだ。僕達が見過ごしてた事だからというか大丈夫と思ってた部分だ。


「分かればよろしい」


 取り敢えずは浅井 忠臣(あさい ただおみ)さんに従ってアストリューに帰る順番を決めた。最初から僕達の行動をみてイライラしていたのが会議の時に大爆発し、さっきの剣幕になった訳だが、中間界が管理神の持ち物というのが分かって、少し落ち着いていた。


「これなら再生は不可能ではありません」


 穏やかになったオーラをこっちに向けて、浅井さんは微笑みを浮かべた。


「本当?」


「ええ、むしろこれが無かったら解体を勧めるつもりでした。これは何時までの契約に?」


「契約?」


「ご自分の物でも一応は契約をして下さいっ。常識ですよ?」


 穏やかさが消えて鋭い視線が刺さる。


「う、はい」


「分かりました。準備しましょう……。中はどうなってるのです?」


「チャーリー達が交代で死神達を接待というか、カフェをやってます」


 管理組合をいれて地獄型のダンジョン経営もしていることを説明した。


「稼いでいるのですか?」


「あ、はい」


「やりますね。少し見直しました」


 少し怒りをおさめた浅井さんは眼鏡の位置を直しながら満足げに頷いた。中間界の契約は五年で更新となった。


「はあ」


「カフェにしては彼らのお給料が高すぎませんか?」


 資料を見ながら眉間に皺をよせている。


「あ、あそこの警備もやってます」


「は? カフェの店員では?」


「いえ、悪魔を三体倒す実力がありますから。死神達が慕ってきてくれてますし、実際いないと困ります」


 死神達との共同での討伐なら十体ぐらいは軽く倒していると思う。それに、悪神やら邪神も大量に倒している。結局あの時に死神が捕獲した悪神、邪神は二百を超えていたし、悪魔も三十体を超えていた。それにしばらくはダンジョンに挑戦しにくる人達がずっといるし、警備も必要だと思う。


「それだとこのお給料では少なすぎますよ?」


「あー、そうですね。でもまあその内に上げるので我慢を……」


「外に逃げるのでは? 彼らに不満を与えてはならないと思いますが。良いでしょう聞いてみます。案内を」


 リーシャンに会った浅井さんは固まっていた。意識が戻ってくるのに随分掛かったが、経緯を話したら何となく理解してくれたみたいだった。


「本来なら給料という形で払うのも変なのですが、まあ良いでしょう。本人達が良いと言っているし全く不満はないと言っているのだから」


 まだ混乱しているみたいだ。


「リーシャンとチャーリーはお金持ちですよ? 悪魔三体を討伐したお金が入ってますから」


 死神の組合からがっぽりと貰っている。


「それは本来貴方が受け取るべきでは? そうすれば経営が苦しいというのは無いと思われますが?」


「あー、でも彼らはちゃんと一個の命を持っているし意志もありますから。もう言葉も覚え始めてるし……」


 ちゃんと普通の人と一緒に扱いたいのだ。キリムにもここの浄化と治療院でのお給料が入っている。


「確かにそうですが……まあ良いでしょう。出来ればそのお金をガリェンツリー世界の方に投資してもらうのはどうでしょう?」


「あ、その手があったね。僕もやるよ」


 一番苦しいのは神ポイントの方である神力での貢献度だが、現金としてのポイントもここには無い。


「管理神の個人資産を投入ですか? 良いでしょう見させて頂きます」


「うん。お願いするよ」


 僕の稼ぎを見た浅井さんは白目で睨んできた。まあ、あの魔術の服の売れ行きが良くって……。おかげで一日一人一回は転移装置を私用で使うのを認めてくれた。外の仕事に響くからね、良かった。浅井さんもポケットマネーを入れていた。どうやら投資しても大丈夫だと思ったらしい。


「呑気に内職をしていると思った。悲壮感が無いはずですね……」


 何か敗北感を背中に漂わせて浅井さんは仕事に向かった。その後、雨森姉妹が投資をしてくれていたので情報が行ったのだろう。それにあわせてアストリューからもメレディーナさんやレイ、マシュさんにマリーさんが投資をしてくれた。マシュさんの投資は借金では? と思ったが何も言うまい。

 後は立て直すだけだ。瘴気やら地獄の気に偏った世界をどれもバランスよく回るようにして行かないとならない。随分大変だと思うけど、始まったばかりだ。何でも良いけどまた勉強が増えた。


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