37 目安
◯ 37 目安
みかんの中間界に来ていた。死神達が思い思いに寛いでいる。おかしいな、冥界はどうしたんだろう、放っといて良いのかな?
「キリム!」
僕はキリムに会いにきていた。ずっと頑張ってくれてたからそろそろ力切れが起きないかと心配したのだが、そんな心配は必要なかったみたいだ。妖精と同じで気を食べてるみたいで、皆の漏れてる気を選んで食べてるようだ。霊気とか闘気とか何でも食べてる。瘴気は不味いのか食べようとはしない。食べるというか吸収しているというべきかな? 口は何処だろう?
「なんだか大きくなった? リーシャン、疲れてない?」
キリムに聞いてから、後ろから来ていたリーシャンに聞いたら頷いた。
「良かった。神界の方に来る?」
キリムが頷いた。リーシャンは何かやる事があるみたいでチャーリの方を指さしていた。そこで別れて神界に戻った。キリムが少し大きくなっているのは気のせいじゃ無いみたいだ。柔らかでフニュッとした触り心地が気持ちいい。
今夜は音楽祭に向かうので緊張をほぐす為にもキリムにも来て貰おうと思っている。キリムは癒しも浄化も得意なのでみかんの中間界の空気は清浄に保たれている。チャーリー達も癒しと浄化の力を持っている。だけど、戦闘の方が得意なのは明らかだ。死神達が一目置いているのは気のせいではないと思う。
「さっきの死神達は冥界にいなくていいの?」
キリムに彼らの事を聞いてみたら、答えが頭の中に返ってきた。
「あ、そう。さぼりにきてたの? ……まあ良いか」
冥界よりも安全だから気を抜きに来たみたいだ。理由がそれなら仕方ないよね、チャーリー達がいるのが前提みたいだけど。
「さあ、今日ははめを外すわよ〜」
「「「おー!」」」
音楽祭の三日目だ一番手のアーティストが終ったので、僕達だ。ポースが暗いステージに黒の体を真ん中に移動させた。僕が空からスポットライトを当てるとポースが徐にページを捲っていく。ぱらぱらと捲るスピードを上げて真ん中で止まった。するとそこから音符の形の影がでてきて客席まで飛んで消えた。そこから歌が始まって妖精達が集まってステージ内を照らしつつ歌と踊りを始めた。ついでに僕とマリーさんも踊っている。
客席にはいつもの宴会のメンバーも応援に来てくれている。登場とともに声援を浴びせてくれてそれだけで心強い。
二曲目、三曲目には皆が踊ってくれてるので盛り上がりは良い感じだった。自作の扇子もいい感じだ、なんだか皆の波動が上手く乗る気がする。客席の合間をぬって踊りながらそんな事を思った。うん、ぐんぐんと立ち上る皆の気を練ってぐるぐると回す。皆も踊りながら周り出す。楽しい時の共有だ。
「楽しかったね」
「浴衣の衣装は合ってたわね〜、結局は盆踊りみたいにくるくる回ってたわねぇ」
「そういえばそうだね」
メロゥートとセレンが未だにくるくると踊って楽しそうだ。余韻を楽しんでいるのだろう。紫月とポースは鼻歌まじりでお祭りの屋台を見ている。アストリューの果物を使ったおやつを買って全員で食べた。ああ、平和だ。やっぱりこうでなくっちゃと思う。
「ガリェンツリーも平和になるかな?」
「そうね〜、あそこは戦いが無いと成立しない世界だからアキちゃんには辛いわね。でもそんな世界も知っておいた方が良いわ〜」
「うん。勉強だね? あの数字も頑張ったら貰えるご褒美みたいなんだって。良く分かんないけど、自分で目標を持ちやすくなるって言う意見もあったから、あれはあれで良いのかなって……」
レベルの話だ。西本さんなんかはそうみたいだ。
「そう、勉強したのね〜? そうよ〜、一つの評価だと思えば良いわ。それだけが全てじゃないし」
「うん、そうだね。その数字を決めて世界のバランスを取って行けるのも何となく分かったよ。僕じゃそんなの出来ないから、あれはサポートなんだって思う事にしたよ」
スフォラがやってくれてる事と似てる気がする。ガリルの事も何となく分かってきた。
「感覚重視だと邪魔に思うかもしれないけど、あの数字も意外と適当なのよ〜。火事場の馬鹿力とかは入ってないもの〜」
マリーさんがウインクを飛ばしながらそんなことを言った。
「そっか、あくまで目安って感じなんだね。何となく分かるかも。本当にゲームじゃないんだしそうだよね」
「そうよ〜、気にしなくて良いわ。そういえばお友達とダンジョンに行くんですって?」
「うん。一回連れて行ってもらって体験しようと思って。スフォラもいるし、大丈夫と思うんだけど……」
「そうね〜、街中で暮らすとかもやってみると良いかもね。ここの生活を知ればダンジョンの宝箱の中身も何がいるか分かりやすいわね」
「うん。頑張ってみるよ」




