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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
えさのかち
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3 没収

 ◯ 3 没収


 レイとマシュさんが、僕の金属擬きを全部没収すると言った。マリーさんに渡していた物と、僕達の首に掛かっているもの、これまで作ったすべてを集めて机の上に並べられた。何か問題があったんだろうか?


「これまで余り気にしてなかったが、ちゃんと調べたらちょっと厄介なので、この金属は組合の監理下に置かれる事になった」


 マシュさんが渋そうな顔をしている。スフォラの修理がまだ出来ていない。というか、改造する気でこの金属を使う為に本格的に調べてたみたいだ。


「そうなんだ?」


「まあ、ドワーフ達に渡す前で良かったよ。ここにあるだけだよね?」


「うん。紫月達に渡した物も含めて全部そうだよ」


「このファンタジー金属はこのまま消すね?」


 レイが確認を取って来た。


「え、そうなんだ?」


「悪いけど、特定の人にしか使えないように出来る技術が組合でもなかったからね。製造禁止だよ?」


「分かったよ。危ないんだね?」


 この流れだと多分そんな感じだ。


「その通りだよ。マリーの様な安定して強い力の持ち主に取っては、すごく使い勝手は良いんだけど、これだけ悪神達が活躍してる時に少しでも彼らの手に渡ったら恐ろしいからね」


「組合で研究する量以外は、使う人物の特定が出来る技術が出来上がるまでは、扱いは禁止になった。ちょっと似た感じのこっちの金属を使っておけ。これは誰が使っても同じ硬さだが、魔力で形が変わるのは同じだ。……アキの力で使えるかは謎だが、鍋になっても穴はあかないぞ?」


「う……」


 という訳で金属擬きの禁止令が出た。


「ボクもいくつか禁止物質があるけど、アキも早速食らったね」


「そうなんだ?」


「物質を作る上で、そんなの幾らでも出てくるから気にしなくていいよ。その内、アキも慣れて使える物が分かってくるから大丈夫だよ」


 レイに励まされたので、少しホッとした。なんだ、意外とそういうのは多いんだ。確かにあやふやなイメージで危ない物が出来るのは分かる。もっと精進するしかない。

 しかし、マシュさんに渡された金属はさっぱりという事を聞いてくれなかった。


「……まあ、そんな気はしてた。気にするな、どうせ自分の金属擬きも扱えたのはアクセサリーだけだろ? スフォラ経由でやれば動かせるぞ?」


 既に形ある物を魔法で変形させるのは出来るはずだし、無形の物ならもっと簡単に出来るのに……何が悪いんだろうか? 魔力の質の問題かな。

 僕は金属擬きの代わりに貰った金属を見てみる。魔力で変形出来る金属なら、何か分かるだろうか? そっと物質を見る為に意識を繋いでみようとしたら、意識が弾かれた。と、思った時には天井が見えた。動けない、どうな……。

 そのまま気絶したらしい。目が覚めるとメレディーナさんが振り返った。


「目が覚めましたか?」


「はい。メレディーナさん……」


 何で神殿にいるんだろう? 何か久しぶりなシチュエーションな気がする。


「アキ、良かった。目が覚めたんだね?」


 レイが横から嬉しそうに笑っている。メレディーナさんに包帯を変えられた。


「何があったの?」


「思い出せないの?」


「僕、何したの? 金属が突然消えてどこかに行っちゃったんだ」


 レイが苦虫を噛んだように表情をゆがめた。


「……」


「そうですね、まず何をなさろうとしたのかを教えて欲しいですわね。それによって答えが変わりますわ」


 レイがイラッとしているので、代わりにメレディーナさんが答えてくれた。


「え、と、魔力で動かないから、世界と繋ぐみたいに金属に意識を入れてみようと思ったら、消えたんだ、けど、え、と、変だったかな?」


「そんなのであんな事に? やっぱり訴えてやる!!」


 レイが怒りを抑えきれずに足を踏み鳴らして怒っている。


「もう少し落ち着いて下さい、レイさん。アキさんが困惑してますよ? 説明をしないと……ね?」


 メレディーナさんがレイを宥めてから二人で説明してくれた。


「金属が破裂したんだよ。それにアキは巻き込まれて幽体が穴だらけになって、近くに居たマシュも被害が出たんだからね?」


「周りに無差別に被害が出ましたからね、アキさんの行動を確認次第、金属の作り主に確認をするつもりでした。管理組合を通してですが」


「そうだね、組合が許可してる物だし、組合にも責任はあるよね。危険行為の指定にそんな事書いてなかったからね、ちゃんと抗議しないと!」


「う、うん。そうなんだね? やっちゃいけない事じゃなかったんだ」


「そうですわ。こんな殺傷能力を物に付けて置くなんて危険すぎますわ」


「こんなの絶対ダメだからね!」


 と、そんな感じで訴えたけれど、この金属に危険行為として勝手に意識を繋がないように注意事項が追加されただけだった。レイの方は理由を聞き出しに組合に乗り込んでいた。


「どうやら、深く意識を繋がれると、彼の作った物は全て拒絶反応を示したそうですわ。受け入れない、というか知られたくない、利用されたくないという気持ちの強い方なようです。組合を通してなのでなんとか受け答えはありますが、そうでなければ多分、我々を無視して追い出すくらいはしそうですわね……」


「防衛意識が高いんだ……」


「そうですわね。作る段階、作られた物質ともに自身で使う事に重きを置いているとも言えますね。周りと一緒に良くしていきたい想いの、調和を志すアキさんとは全くの逆ですね。どちらも過ぎるのは良くありませんが……。アキさんは少し参考にするぐらいでも良いかもしれません」


「う、うあ、はい」


 ここまでしっかりとした拒絶は確かに僕にはないものだ。でも、体に風穴が一杯あく程の拒絶、自爆してまでの秘密主義は行き過ぎな感じがある。なんだか物質なのに扱いにくい。組合の見解も聞いてみたい気もするけどそれより、いつの間にスフォラの修理が終ったんだろうか……。マシュさんも被害にあったって聞いたけど、もう治ったのかな? 病室に現れたスフォラに安心しつつそんな事を考えていた。


「スフォラ、治ったんだね?」


 ニッコリ笑って頷いている。表情が最近はっきりして来たと思う。


「今までと同じになりました。改造をする気だったため、伸ばしていましたが、この取り寄せた金属がアキさんとの相性が最悪ですので諦める事に……。アキさんの金属擬きは組合の許可が出るまで使えなくなりましたし、仕方ありません」


「マシュさんは大丈夫だったの?」


「ええ、金属の反応に驚いていましたが、距離がありましたし、ガレが……マシュさんの『スフォラー』が防護したので傷は大した事なかったですわ」


「良かった。じゃあ、もう動いてるんですね?」


「ええ、アキさんは九日も眠っていましたから、妖精達も心配してましたよ?」


「そんなに寝てたんですか?」


 驚いた。そんなに悪かったんだろうか? 良く分からないけど、そうなんだろう。取り合えずこんな危険物質があると言うのが分かったから、それの区別をしないとダメだなと思う。メレディーナさんにそんな話をした。


「そうですわね、この様な物があると言うのは驚きですが、普通は意識を弾かれる程度で、その場合は探られたくない為の処置だとこちらが判断し、諦めるか無理矢理見る事を選ぶかですね。その前の段階で、出来れば魔法を通してみるとその特性が伝わる事もありますから、アキさんはそれをした方が良いしょう。細やかな情報までアキさんの魔力で受け取れるはずですので、意識を繋げるのはその後にして下さい」


「そっか、行程を省いたからダメだったんだ?」


「いいえ、今回の金属は魔力で動かない事に疑問を抱いた為の行為ですからね。事故です。ダメという訳ではないんですよ。でも、世界には色々な物がありますから、警戒心を持つという意味でも調べる方法を段階を踏む形にした方が危険を避けれるはずです。是非、そうして下さいね?」


「はい。不用意に触ると危険かもしれないのは、なんだか分かりました。多分、あれを作った人は警戒心がすごく強いんですね?」


 御門さんよりも防護意識が高いと見るべきだろう。警告無しでの突然の拒絶で怪我をしたのは、爆弾だと知らずに触ってたのと同じくらい怖い事だし、魔法で中身を調べるというクッションを取った方が危険は少ないということだ。


「ええ、そのようです。悪い方ではないようなのですが、お互いの特徴がぶつかっての事故と見るべきでしょう。レイさんは少々怒りが収まらないようですが、あれだけ発散すれば直に元に戻りますわ」


 レイの怒りは確かにその後は収まったみたいで、何処に向けて発散してたかは聞かないでおいた。主に組合と星深零のような気がするけど……聞かないでおくべきだと僕の勘が言っている。

 アストリューの家に戻ったら、紫月と妖精達が出迎えてくれた。僕の様子は神殿のカシガナから見てたみたいだから、戻ってくる事は知ってたみたいで、落ち着いて迎えてくれた。心配かけてごめんねと、謝っておいた。


「マシュさん。すいませんでした」


「全くだ。向こうに謝って欲しいんだが、特性を分かってなかった組合に責任転嫁している。特性を見ようとしただけで、人を死に至らしめるくらいの攻撃を付属させてる事に、反省もしないなんてふざけてるぞ。危なくて研究もおちおち出来ない。研究班でもこの話題で持ち切りだ。どう考えても我々に対する悪意を感じる! アキの金属擬きを、なんとしても商品化出来るまで持って行かないと、むかつきが収まらん!」


 そっか、研究には確かに必須だ。今は機械を通して正確にが主流だけど、個人の感覚も意外と使われてる。物質に込められた想い感じようとする者までいるらしい。僕もそっち派だ。機械の数字よりも感覚を優先させる事が多い。


「はあ、特徴を混ぜたら調度良さそうですね?」


「……合金か? どうだろうな、出来なくはないはずだよな。もし、弾かれたら本気で相性が悪い物質同士ってことになるが。よし、爆発しても良いように危険物処理室で実験するか」


 そんな感じでマシュさんが実験をするというので、僕は付いて行ってみた。本当に爆発した。実験室にした危険物処理の部屋は、ロボットアームが無惨にちぎれ、吹き飛んだ衝撃であちこちに分断された破片が、壁に突き刺さった。強化された部屋の壁は歪み、窓になってる謎物質にヒビを入れる程の拒絶反応を示した。


「……ここまで来ると核爆発に近いものを感じるぞ?」


 処理室のヒビの入った窓の前で、珍しく呆然としたままのマシュさんが、取り落とした書類を拾いもせずに感想を呟いた。僕とも相性が悪いのは分かってたけど、僕の作った物質まで弾かれるとは……。


「そうだね……」


 僕も爆発音で耳が痛かったが、なんとか聞き取れたので返事をした。周りは爆発の影響でサイレンが鳴り響き天井から水が降って来ていたが、ショックから立ち直るのにはそのぐらいじゃ足りなかった。

 反応は混ぜるな超危険、同じ容器にも隣にも置くなのレベルだった。

 いや、僕の認識は甘かった。後で組合が出した取扱説明書には同じ建物内に持ち込むな、五十メートル以内の近接保管も禁止するだった。確かに不用意に調べると相手の金属が拒絶で弾けるから、僕の金属擬きが近くにおいてあったら大問題だ。事故の誘発を防ぐ大事な規則だ。大げさなぐらいで調度いい。

 処理室の僕の金属擬きは綺麗に吹き飛んで影も形もなくなっていたが、魔力を通せば動くので、僕の魔力を通してミクロな金属擬きが集められた。相手の金属が僕の魔力を弾いているのが確認されたので、処理室の永久封鎖は免れ、こうして修理が行われる事になった。


「まさか、魔力を使って動かせる物のくせに、アキの魔力を弾いてるとは驚きだな。どういう理屈で弾かれてんだ?」


 予定外の借金を免れたのでマシュさんはホッとしていた。さすがに実験の段階でそんなものを負わされたら堪ったもんじゃない。ちゃんと経費が降りたと喜んでいた。組合からのこういう信用度が低いと苦労するなと、僕はこっそりと頭に入れておいた。


「僕に聞いても分からないよ」


「ぶっちゃけ、ここまで来ると本人同士も会わない方が良いよね。爆発しそうだよ?」


 レイも処理室の映像を見て呆れていた。


「あり得る。他人の魔力にまで影響する程なのに……いや、それだからか? 意識の段階で弾かれてるなら……いや、ここまでだと無意識の段階も入るな。だが、アキの金属擬きはあれ以外のなんとでも混ざるから、それでなんとか使える目処が立った。研究次第で応用が効くから早ければ二、三年で登録制の物質扱いで制限はつくが、使用許可が下りるはずだ」


 組合の精鋭の技術研究班に配属されたマシュさんは楽しそうに笑った。混ぜると爆発を誘発する相手の金属はそのまま使う他は使い道が余りなかった。他の金属とも相性は今一で、混ぜると魔力を通す特性をなくした。

 僕の金属擬きはトーイの実とも食品とも混ぜれ、水増しまで出来たので、最早金属扱いされてない。食べても栄養にはならないが、排泄されたら魔力を通して集めれる……。マリーさんは布に混ぜれば良いんじゃないの〜? と息を巻いているが、織物とどう混ぜる気なのかは謎だったので聞いてみた。

 魔結晶の制御で作る魔術の服にアクセサリーが加えられるし、防護服を簡単に作れるからチャレンジしたいと言っていた。確かに、そういう目的なら分かる。布だけじゃなくて金属も動かせるのなら、鎧だって着替えに追加出来てしまう。でも制御装置が出来ない限りは使用許可は降りそうにない。マシュさん達研究班がその内やってくれるのを待つしかない。


「あの金属擬きに名前を付ける事になったが、アキが考えるべきだな。作り主だし……」


「マシュさんが付けても良いよ? スフォラの事もあるし、特性も僕より良く知ってそうだから」


「……そうか、『カジオイド』にしておこう」


 意外そうにこっちを見てから少し笑って何か考えて、そう名付けてくれた。『カジオイド』? まあ良いか。スフォラに覚えて貰っておこう。


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