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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
ふりょうなるいさん
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32 花畑

 ◯ 32 花畑


 シュウ達は第六フィールドの世界樹の守りをやっている。僕のお土産は届けられ、さっきお礼のメッセージが来た。僕が神樹の世話をしていると思ってるようだ。頼んだという言葉が並んでいた。


「まだ新人でしたか」


 アイリージュデットさんは済まなさそうな顔をして僕を改めて見ていた。


「はあ、こんなんですいません」


「ちゃんとガリルの審査は通りましたし、問題は無いと……」


 言い切れないのは僕のせいに違いない。心の中で謝った。ガリルとはここのシステムの人工知能のサポート神みたいだ。まあ、スフォラの弟分が出来た感じだ。


「これから死神が千人単位でブランダ商会の中間界と地獄の門が繋がってたフィールドに向かってます。悪神が多くいるのはそこだと思うので、戦いが始まります。エネルギーを受け取ってる貴方には辛いと思うので、その、辛かったら言って下さい」


 僕が死神達の作戦を伝えた。根本を叩けるとあって死神達も総勢が揃えられた。


「ええ、人々や、動物達、精霊達の明るい声がまた聞こえるようになれば良いのですが、確率の低い事には変わりありませんね。我がままに付き合わせてごめんなさい」


 静かに流れる涙を見て、最後の頼みの綱は頼りなくまだ賭けに勝てていないのも分かっているみたいだった。


「僕はダメですけど、皆はすごく優秀なんです。だから、大丈夫ですよ」


 ダメ管理神を支えてくれてる皆がきっとやってくれる。


「そのような信頼を預けて……。レイはそれを受け取っているのですね。きっと、大丈夫ですね」


「はい。霊泉水もまた沢山送ってもらったのでフィールドの方の世界樹にも掛けていきます」


「ええ、あの子達にも苦労を賭けさせて来ました」


 競技用プールに何杯とかの単位で運んでもらい、二十の世界樹に掛けていっている。ここもすでにプール三倍くらいが掛かってる。ジュディさんの四肢はくっ付いていて、もう少ししたらベッドで起き上がれるくらいにはなりそうだ。

 霊泉水を掛けて世界樹達の疲弊した体を休めてもらいつつ、世界樹の周りに霧の結界を張るのも目的だ。元が霊泉水の霧だから悪神や邪神、地獄の影響を受けた物達には近寄れない場所になる。そのため、残っている人や動物、妖精達はそこに避難する事になっている。

 みかんの中間界にはギダ隊とマリーさんが揃っていた。死神達は恐る恐る中間界に入って様子を確かめていたが、上手く力が使えていないようだった。本来の役割をしている冥界との間にもみかんの中間界を繋いだのは地獄の影響が思ったよりも強かったからだ。何故かチャーリーとリーシャンもみかんの中間界で待ち構えている。大丈夫だろうか。

 フィールドの門が全て閉じられた。二十二のフィールドに散った死神達とギダ隊と同じく緊急増援部隊が揃ったので悪神達のあぶり出しが始まった。


「第三フィールド戦闘開始!」


「第二フィールド、第十六、第二十二、続いて第五フィールド戦闘に入りました」


「ブランダ商会の中間界より悪魔一体が冥界内に侵入! 攻撃を受けています、応援を要請します!」


 次々と入ってくる報告を聞きながら、スフォラと一緒にフィールドの門をあちこち繋いで人員を配する手伝いをした。


「みかん神の中間界に悪魔一体が侵入!!」


 ものすごい変な感触と共にそんな報告が入った。確かに嫌な感触を受けた。僕の世界に異物が入ったせいだと思う。悪魔ってあの悪魔だろうか? 良く分からないけど、僕は目を閉じみかんの中間界に感覚を繋げた。

 マリーさんとギダ隊が活躍しているみたいだ。悪神も邪神も次々みかんの中間界に入って来ている。冥界は役に立ってるんだろうか? というより数が多過ぎる。それでも何となく、こっちが押しているのは分かった。

 戦闘音痴な僕が見ても明らかだ。悪神が次々と無力化されてる。圧倒的な力の差を感じる。ギダ隊がこんなに強いのは知らなかったな。ベールも無いのに何でだろう?

 というより、チャーリーとリーシャンの無双を見ている……。カジオイドの爪を両手両足に敵を切り裂き、プラズマなのか良く分からない魔力のやたらと凝縮された魔法光線を浴びせ、分銅鎖で敵を捕まえては引きずり打ち付けている。可愛い姿からは想像出来ない強さだ。

 相手の悪魔らしき爬虫類的な姿に尻尾の付いた姿のそれは尻尾を切り落とされ、胴体を縦に真っ二つにされていた。死神達は唖然とした顔をしている。千切れた体から真っ黒な地獄の気が出て、汚染してくる。気持ち悪い……。

 真っ二つに別れた体を自分の手で押さえながら悪魔は逃走を始めたが、我に返った死神達が捕まえてとどめを刺していた。キリムが汚染された空気を浄化してくれている。ホッとした。

 と、思った瞬間にまたしても大量の死神と悪神が傾れ込んできた。後ろから悪魔が三体も付いて来ている。みかんの中間界は今や戦いの前線に変わった。冥界は用を成さない程に侵攻され、殆どがここに集まり始めていた。



「第六フィールド掌握」


「見張りを残し、アキ神の中間界に応援をお願いします」


「了解!」


 なんとか終った所が出てきた。丸二日間経っている。まんじりとした時間が過ぎて行く……。突然警報が鳴り響いた。ここに悪神が入った知らせだ。僕は闇のベールを広げ、神樹を囲んで悪意を入れないようにした。


「へへっ、そこにいるのは分かってんだぜぇ? 動けねぇ木なんか隠したって意味ねぇだろ?」


 ベールの方へと歩いてくる悪神が何か喋っている。


「アイリージュデットさん、動かないで。今動いたら、折角の……」


 僕は無理に起き上がろうとしている彼女を抑えようとしていたが、力の差か僕の体が浮き上がっている。


「いいえ、管理神がいなくては!! 私が守りますから」


「ダメです! スフォラ!」


 僕はスフォラに頼んでみた。『カジオイド』を使ってベッドの上に固定してくれた。


「じっとしてて、下さい。お、願いです、か……ら」


 痛みを我慢しながら動く姿に僕は涙が止まらずにお願いした。悪神は直ぐ近くを歩いているが僕達には触れる事も目を合わせる事も出来ずに通り過ぎて行く。


「ちっ、ここもか。亜空間だって事か? そんなの場所が分かってんだ壊すまでよ!」


 瘴気の高まりを感じると共に空間が軋み出した。邪気が充満して悪神が力を振るったと同時に亜空間がひび割れ、壊れた。

 僕はその余波を受けて意識が遠のきそうだった。スフォラが悪神の攻撃を腕に付けた『カジオイド』の盾で受け流している。ファンタジックな装備の大斧を振り回してくる悪神に、ここの住民として潜伏してたのだとすぐに気が付いた。

 ここからは強くなったスフォラと悪神の戦いが始まった。エネルギー装填を終えたスフォラが反撃を開始した。分体が変化した『カジオイド』製の銃らしき物から魔力凝縮光線だかプラズマだか分からないけど、そんなものが飛び出した。ファンタジー対スペースファンタジーだ!? 


「まじかっ! ファンタジーにあるあるまじきだぞ!!」


 逃げまくり出した悪神は焦ってそんな悪態をついた。


「いや、そんな注意されても困ります!」


 反論してみる。


「反則だろが! やり直せっ!」


 怒りも露にしながら光線を受けて穴の開いた大斧をこっちに投げてきた。


「いや、でも襲ってこられたのはそちら様ですし、ここは我慢を!」


 大斧を危なげなくスフォラは避けて銃を撃った。チュンとかいう可愛い音を立てながらレインボー光線が、悪神の右足をかすった。


「があっ、糞が!」


 痛みにわめいて元来た道を後ろ向きで戻り始めた悪神が懐から何かを取り出して栓を抜いた。映画で見る様な手榴弾のような気がする。それもファンタジーにあるまじきでは? 手に持っているそれをジグザグに走って逃げながらこっちに投げようとしたところに、


「は〜い! こっちよ〜っ!」


 と、マリーさんが後ろから声を掛けた。


「ブベらぁっ」


 振り返って声の主を確認する暇無く、悪神はマリーさんの拳で吹き飛んで床を転げて壁にぶつかった。そのまま動かなくなったので気絶したのかそれとも生きてないのかは分からない。手榴弾はスフォラが銃の光線で消して終わりだった。


「ポースの方にも侵入者が行ったみたいね」


「うん。あっちは一撃で倒したって」


 バッタ部隊をエネルギー統制システム監理室のガリル本体の場所に配備した。最後の最後は自爆覚悟の措置だ。まあ、あのバッタ部隊の攻撃を受けて無事でいられるのは余程の事が無いと無理だと思うけどね。ビアラマ隊は神界のあちこちで偵察中だ。時々報告に来てくれている。


「そう、良かったわ〜」


「みかんの中間界は? 皆は無事?」


「問題ないわ〜。あっちは引き出したから、前線は冥界に移ってるわ」


「良かった。チャーリーもリーシャンもものすごく強いからビックリしたよ」


「見てたの〜?」


「少しだけ。マリーさんも大活躍だったね」


「うふふ〜。闘神としての活躍だもの〜 張り切っちゃった〜」


 両手を合わせてくねくねと体を捩って嬉しそうだ。臨時だけど、ここの闘神として登録したので喜んでいる。こんな小さい世界で申し訳ないくらいだ。


「あ、そうだった」


 僕はアイリージュデットさんに近づいた。大人しくなっているのでスフォラに頼んで拘束を解いてもらった。


「大丈夫ですか?」


「はい。取り乱して申し訳ありませんでした。大変お強いのですね?」


「スフォラが強いからね」


「まあ、ご謙遜を……戦いだけが強さを計る物ではないのですよ」


「そうね〜。アキちゃんの強さは証明されてるわ〜」


「そうなの?」


「みかんの中間界は夢を持たない人間には力を持たせてもらえないのよ。悪魔なんて人の夢を取る事しか出来ない者にはあそこは悪夢そのものよ〜。頭に花畑でも作ってないとあそこは受け入れてもらえないの。自分達に不利だと気が付いたら速攻で逃げ出して行ったわ〜。あっという間よ?」


「……ありがとう」


 褒めてくれてるんだろうか? なんだか疑問の残る台詞が入っている。それにしてもこの二日間ぶっ続けで戦ってたのにあっという間なんだ?


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