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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
しんせかいへのみち
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27 お礼

 ◯ 27 お礼


 シュウから連絡があった。あのマーケットの時以来だ。メールを読んでみた。ネクロマンサーとの戦いは長引いて、僕の渡した美容グッズ、クッキー、霊泉水のすべてを使い果たしたらしい。なんとか勝利をもぎ取ったと書かれていた。

 それは良いが、装備もガタガタだと壊れた皮のスニーカーを映してくれていた。まあ、僕の作ったスニーカーじゃそんなもんだ。

 仕方ない。死神のネットワークでガリェンツリーには入れるので、転移門の所で待ち合わせて新しい物を渡す事にした。用件は知り合いに会いにとお土産を渡すだけなので半日の滞在許可が下りた。現地時間で一週間後に会う約束をした。


 最近は物作りも大分慣れてきている。力を凝縮して込めれてるので、頑丈さはともかく、効果はかなり上がっている。何回も重ねがけしなくても一回で良い効果を持たせれるし、マリーさんとの商品作りもグレードアップしている。

 僕の柔軟性とマリーさんの頑丈さを併せ持った糸は布にされて、色々なマリーさんの創作活動に幅を持たせている。具体的にはストレッチ素材として、すごく伸びるけど戻りが良いので、型くずれしにくいとか、何回洗濯してもごわつかないし、型くずれしないとか。そんなのだ。

 逆に風合いよく体に馴染んで行くので使い続ける程味の出る感じだ。マリーさんが、思い切り洗濯板で擦り付けて洗っても大丈夫だったからお墨付きだ。ただちょっとお値段は張る。マリーさんが拘りすぎたせいだけど、それは仕方ない。大丈夫、売れる先がある!

 それは、死神の組合だ!! マリーさんは嫌がったが深い漆黒の色に僕がカシガナで染めて、防水と適温適湿の蒸れ防止に、回復効果を僕が付けて、汚れ弾き、魔法防護、衝撃吸収をマリーさんに付けてもらってから、ヘッジスさんの妹のナミリルさんのお店に持ち込んで見て貰った。


「キャー、素敵な黒ね〜。しかも、このストレッチ素材は良いわ〜。衝撃吸収も付いてるし、防水と蒸れ防止ね? すごく良いわ〜。今、機械で計ってみるから待ってて〜」


 マリーさんは渋そうな顔でその様子をライブ映像で見ていた。僕がここの衣装屋の見本の服をナミリルさんが奥にいる間にマリーさんに見せていた。


「黒ばっかりね。たまに指し色に赤とか紫、緑と原色が多いのね? 良いわ、あたしだって負けないわ!!」 


「マリーさん。生地が売れたらまた開発費が出るし、お客さんだよ? ライバルでもあるかもしれないけど、素材を握ってるのは僕達だよ?!」


「そ、そうね〜。出し惜しみはダメだわ。分かるわ〜、良い物は出して切磋琢磨しないと。あたしだって欲しい生地が手に入らないなんて嫌だわっ!!」


 ハッとした表情で僕の台詞を聞いて、その後はなんとか納得したらしい。黒の衣装は無理にあたしが作らなくて良いものね、とか呟いている。


「この生地、すごいわ。私じゃ扱えるか分からないくらいの頑丈さね。でもこれなら、お兄様を守ってくれるわ。この一枚を試させてもらっても良いかしら?」


 そういう見方なんだ。なんとなく死神の考えが分かった気がする。


「試しはこの三枚をどうぞ。ストレッチは魔力を通すと多少サイズ調整が利くので、良かったらそれも試して下さい」


 僕は白のシャツ生地と、黒の生地を二枚渡した。黒のビロード生地擬きはおまけで付けた。素材は違うが手触りは最高級並みだし、深みのある光沢は美しいし丈夫だ。


「まあ、嬉しい。便利な機能もついてるのね? ありがとう」


「戦闘服の色はやっぱり黒しか無いんですよね? ダークな感じの色とかは使わないの?」


「普段着は割とこんな感じのダークレッドとか、深いブルーだとか、パープルも人気ね。指し色に金、銀とかも刺繍糸があれば良いのだけど……」


 色々と見せてもらった。カラー生地に黒刺繍も多い。メタルな鋲だとかが入っている防護的な服まであった。何となく分かった気がする。スフォラに次は黒刺繍が映えそうなダークなピンクを狙ってみると伝えて覚えてもらった。以外と白黒も流行らせればいけそうだ。

 ナミリルさんが扱えないようなら、死神の組合経由でどこかに下ろすしかない。中間が入ると値段が上がりすぎるので、出来ればナミリルさんに頑張って欲しい。


 暫くして、ヘッジスさんが、妹さんの新しく仕立てた服を着て訓練場にやってきた。


「ナミリルが、この服をアキに見て貰えって言ってたが何かあったのか?」


「という事は、出来上がったのがそれですね?」


 僕は経緯を伝えた。


「成る程。確かに良い生地だ。このグレードなら戦闘に支障は無い。ストレッチ素材は動きやすいからな」


「はい。マリーさんと一緒に作りました。この生地、幾らぐらいで売れそうですかね?」


「それは……分からん。ナミリルに聞いてくれ。多分下ろしてくれと、言いそうだ。それから、これをアイスに」


 ヘッジスさんが手に持っていた袋から、箱を取り出して渡してくれた。


「何ですか?」


「服だ。アイスの服はいつも浮いてるからな。余り浮かないようにこっちの組合に入る時はそれを来た方が良い」


 受け取って中を確かめる事にした。中には白のブラウス二枚に黒のビロード擬きのジャケットとスカートと、パンツが入っていた。細いビロードのリボンタイと、シュシュも入っていて、それには黒のレースのリボンが付いてリボンの真ん中にビジューで飾りが付いていた。

 手書きのデザイン画が一緒に入っていた。組み合わせが自由に出来るようになっているみたいだ。メッセージが書いてあって生地のお礼にと言う事だった。


「わお、ありがとうございます。今度、着ていきます。色生地と刺繍糸はいくつかと、基本の黒もまた作ったので持って行きます」


「分かった。伝えておく。この生地に負けない黒糸が欲しいと言っていた。この黒糸も苦労して見つけたみたいだ」


 縫い目を指しながら頼まれた。


「分かりました。マリーさんに話してみます」


 今日の訓練は気合いが入った。何も無しなら、アストリューの旧訓練施設を覆えるくらいになって時間も四時間は一人で支えれた。悪意を通さない亜空間付きにすると、途端に半分以下の大きさになった。でも、維持出来る時間は大分増えて2時間だ。

 ヘッジスさんには安定感が少し足りないと、空間の不安定さを注意された。もう少し安定させれれば、出動だ。


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