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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
しんせかいへのみち
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25 黒の神

 ◯ 25 黒の神


 意外にもセスカ皇子が、待ち構えていた二人を抑えていてくれた。


「従者がアキの声が宮殿の外へと導いてくれた黒の神々の一人の声と似ていると言っておる。死者の国からの使者だと聞いたが、そうなのであろう?」


「僕は見習いだから……しかもめちゃくちゃ最近ですし」


「それは何時だ?」


 ヴァリーが堪えきれずに聞いてきた。


「六日前に候補から見習いになったよ。と言っても冥界では神官と同じ仕事が基本だよ。魂の癒しに変わるだけだし」


「そうなのか?」


 ヴァリーの怒りが解けたようで気の抜けた表情になった。六日前じゃ怒れないだろう。


「そうだよ。ある程度は修行しないと死神にはなれないし。見習いなんて、仕事も自分で取れないからね」


 先輩に付いていくだけだ。


「管理組合はどうなるんだ?」


 ホングはそっちが気になったみたいだ。


「掛け持ちだよ。他にも掛け持ちの人はいるみたいだし、問題は無いよ。神官の仕事のうちに入るし」


「そうか。じゃあ、アキが悪神を倒したとかは無いんだな」


 ヴァリーがホッとしたように言った。


「それ、本気で思った?」


「全く信じられなかった。そうか、それで誘導だけしてくれてたんだな」


 納得した顔でそこにあった椅子に崩れるように座った。


「では、やはりあの時に助けて下さったのは間違いないのですね?」


 少し年のいった従者が代表で膝をつきながら聞いてきた。


「まあ、そうなるかな? 余り役に立ってないけど」


 おおー、と言う声とざわめきが周りから聞こえた。


「歓迎の仕方が変わるな」


 セスカ皇子が膝をついた従者に何やら目配せをした。


「今まで通りにしてもらった方が落ち着くけど……」


「遠慮するな。皆は感謝を何処にぶつけていいか分からなかったからな」


「それは、神にでも……」


「皆の命の恩人だ。黒の神々の代表として受けてもらおうではないか。感謝をしていると他の黒の神々に伝えて欲しい」


「はあ」


 これは逃げれない。まあ仕方ないか。でももう死神の見習いだってバレたよ。その後は、疲れたので軽く汗を流して眠った。次の日は爽やかな香りで目が覚めた。目覚めの香をたいてくれたらしい。布団から上半身を起こしたタイミングで、声を掛けられた。


「おはようございます。朝食をご用意させていただきましたのでどうぞ召し上がって下さい」


 直ぐに窓が開けられ、香の煙を風で外へと出し始めた。そのまま、テラスに面した丸テーブルに朝食が並べられているのが目に入った。


「ありがとう」


 アストリュー神殿での療養生活に近いかもしれない。朝のきれいな空気を吸いながら朝食を頂いた。今日は解体工事が終って、最後の瓦礫の処理をするとか聞いている。解体もラークさんがやろうと思えば出来るけど、宮殿の出来上がりを詰める為の時間稼ぎみたいなものだし、甘やかしはダメだという訳で人の手で行われている。

 悪神に利用されない宮殿作りが必要なので、その辺りの技術は神々でフォローするしかない。昨日の事もあるし警戒はしておかないと。朝食後は馬に乗って川沿いの木々の合間をぬってしばらく道なりに進んだ。緑の平原の水月湖の街、フィスターンが見下ろせる高台に付いた。


「昔にあった別荘は街を見下ろすこの位置に建っていたようでな。当時はここが皇太子の拠点だったと聞いておるが、隣国に攻められた際に現在の島へと移ったと歴史書には書かれている。それも何百年と昔の話だが、今でもこうして少し奥にだが別荘が残っているのは助かった。毒を飲んだ時の療養にも使っておった。ヴァリーとホングが忍び込んできた時は心臓が止まるかと思う程驚いたぞ」


 今日のセスカ皇子は少し顔色が戻っている。今朝も少し癒しを掛けておいたから体の負担は減っているはずだ。馬から下りて高台からの景色を眺める。セスカ皇子の説明に確かにここの景色は最高で眺めも絶好の位置取りだと納得した。


「兄上、あの別荘は余り警備が良くないぞ」


 ヴァリーは自分のしでかした事を棚に上げて責めていた。


「ふむ、だがこれまで忍び込んできたのは弟達だけだ。どうやったかアキは聞いているか?」


「天井、んっ」


 後ろから口を手で塞がれてしまった。


「方法は黙っておく物だぞ」


 ヴァリーの悪戯な目が黙れと言っている。あれは内緒なのか。


「分かったよ。今度の宮殿はその方法は使ったらダメだよ?」


 まあ、結界で弾かれるけどね。


「それは良い事を聞いた。安眠出来るようだ」


 セスカ皇子は嬉しそうだった。


「何でアキが知ってるんだ」


 ヴァリーが横目で睨んできた。


「見せてもらったよ」


「どんなだった?」


「それは教えたら楽しみが減るし。ダメだよ?」


「昨日行った神殿に見取り図でもあったのか?」


 ホングが推理したのか聞いてきたが、


「それも内緒」


 と、答えておいた。


「む、気になるではないか。まあ、神の御業が分かるのだ。聞かぬ方が良いかもしれぬな」


 セスカ皇子は素直に楽しみに取っておく事にしたみたいだ。どうせなので景色を楽しみながら宮殿跡で少し早いランチを取った。僕はヴァリーとホングにアンデッドのテーマパークの話をしておいた。死神学校の見学の話は少し興味をそそられたみたいだ。

 セスカ皇子は作られるだけでなく、自然となる者もいるのかと少し興味を持ったみたいだった。ナリシニアデレートではアンデッドの生息は今までは陰の気が足りないので、自然発生は余程の悲惨な戦地でとかでしかなりようが無かった。これまではその度に神殿関係者と死神による戦地後の浄化と再生でずっと防いできていた。ここではアンデッドは出来ないようにされていたようだ。

 だけど、アンデッドが術で補強されているとはいえ問題なく動いているあたり、不穏な空気を感じざるを得ない。この状況を改善するのには楽しいイベントでもあると皆の明るい気で少しは払拭出来るのだけれど……。そんな話をしながら宮殿へと帰った。


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