104 鮮麗
◯ 104 鮮麗
星始祭が近づいている。お祭りの贈り物を僕は色々と作っているけれど、今一しっくり来ない。少し、休んで小雨の降る庭をぼんやりと眺めた。しばらくそうしていたら何となく分かった。
最近は、皆で共同で物作りしていたので良い物ばかりが出来ていた。今は自分一人だ。宝箱に入れてるレベルが自分のレベルってことだ。
「そっか。自分の力はこんなくらいなんだ」
納得できたのでもう一度始めから一つずつ作り直した。だけど、今一だ。何か足りない。雨上がりの庭を歩きながら紫月達と花のつぼみを観察したり、咲いている花をほんのちょっと魔法で綺麗色に変えたりした。
夜には輝く星を眺めてポースとも話をした。最近は皆ともゆっくり話せてなかった気がする。
「心がこっちに集中出来てないのかな?」
「確かにな。時々上の空だし、俯いて考え事して悲しそうだし、話し掛けても気が付かなかったりだ。でも、気が付いたって事はちょっと余裕が出たんだな」
「うん。そうかも。……心配かけてごめんね」
何か迷惑かけてそうだ。
「友達だろ、そういう時は黙って支えるもんだぜ?」
「カッコいいね?」
「そうだろ?! 俺様はいつでも進化してる偉大なる魔導書だからな!」
「うん。アキはまた考え過ぎ。もっと好きなこと一杯したら良いよ。また痛くなるよ?」
紫月は膝の上からこっちを見上げている。
「う、そうだね。また泣いたらダメだね」
僕の好きな事。好きな物。好きな色はもっと鮮麗に。輝きと透明感は必須だ。光り輝く物が好きだし、そこにいる皆の笑顔はもっと綺麗。アストリューの美しい空を見て思う。この光輝く世界は僕のいる世界なんだって思う。闇色の衣に色んな色を散りばめた星に、沢山教えてもらうことがある。
「灰色の世界なんて塗り替えてしまえば良い」
光を放つまでだ。自らの意志で輝くにはまだまだ修行は足りないけれど、輝いてる皆の光を受けているだけじゃ勿体無い。いつか光を返したい。同じ分だけ心に出来る影の部分を照らしてあげたい。心を照らす光でいたいよ。
その夜は久しぶりにカシガナの夢を見た。ゆっくりと揺れながら、不思議と楽しかった。皆がそばにいた気がする。
「おはよう、アキ」
目覚めたらレイが隣で寝ていた。スフォラはいつの間にか逆サイドで眠っていた。
「おはよう、レイ」
いつの間にかこっちに戻ってたのか。
「ボクはもうちょっと眠るよ。朝食は良いから」
「そうなんだ? お休み」
「お休み」
布団を掛けたらもう寝息が聞こえた。
「スフォラ、おはよう。行こう」
いつもの挨拶をして階下にそっと下りた。コーヒーの良い香りだ。
「おはよう、マリーさん、マシュさん」
「アキちゃんおはよう。今日はお仕事〜?」
「ううん。お休みにする」
「そう? 分かったわ〜」
「おはよう」
マシュさんはまだ寝起きみたいでぼんやりした表情だ。
僕は出かける用意をして準備を整えた。スフォラの空飛ぶ機械な分体に乗っかって紫月とスフォラとで空の旅を楽しみ、日が沈むくらいまでしっかりと遊んだ。空からの景色はきれいで、小さな浮島にある露天風呂に入ったりと楽しんだ。
「心の栄養って遊びからじゃないとちゃんと身に付かないね」
「うん」
紫月が頷いている。スフォラの返事も同じのようだ。途中から一緒だった風の精霊と光の精霊に挨拶して帰った。この日、精霊界と家の庭である聖域は繋がった。
次の日は、お祝いとして皆が集まって食事会が開かれた。菜園班の皆も魔法研究部も来ている。メレディーナさんも途中から来てくれた。
その後は時々知らない妖精や精霊が来ては、庭で皆と遊んで楽しんでいた。時々庭で迷子になるので精霊達に戻して貰っている。
庭との境目は何となく分かっているのだけど、時々綺麗な花とかを見つけると迷い込んでしまっている。そんな時は諦めて精霊界でしばらく過ごしてから適当に精霊に頼んで戻してもらう。小さな妖精達も似た様に家の庭で迷子になっているのでおあいこだ。




