102 暗部
◯ 102 暗部
僕は這い出ていた死体を埋めて魔法のカバンから霊泉水入りの水筒を出して、じょうろの様に拡散しながら霊泉水を撒いていった。二度手間だよ。瘴気の送られた跡地を綺麗にしていって、術が完全に消える様にしていった。
後ろから勿体無い事をしているのだぞとか、なんて酷い事を妾の前でするのだとか聞こえてきたが、自分の仕事をするのみだ。
やり終えて後ろを見たら頭を抱えて涙目でもだえている二人がいた。そんなに嫌なら見なければ良いのに。
さっき僕の送った映像を見てレイが意地悪く笑って、何やらしたと言っていたので里に帰った方が良いと思うよ?
「さて、行くか」
「待て、我らを貶めようとするのは何故なのか答えよ」
行きかけたら前に立って止められた。命令されるのは嫌いだ。
「優秀だって言うのなら考えたら? もう行くね」
そのまま飛んで他の世界樹の様子を見に行った。リーシャン達も手伝ってくれたので早く終った。
「他の場所は二カ所、第七、第十一フィールドの世界樹の教会の墓地に術が仕掛けられてました」
チャーリーが報告してくれた。
「うん。これで大丈夫だね? 他の墓地は四ヶ月前のシュウ達の活躍で殆ど空だし、これで死体も集まらないね。それでレイは何を笑ってたのか知ってる?」
「老化を決めたそうです。年齢相応になるから転んだら骨折だって言ってました」
リーシャンが答えてくれたけど、心配な内要だ。
「大丈夫なの?」
「エネルギーは周りの自然に戻るので本望でしょう」
どうやら五日ぐらいしたら思い知るだろう、と言っているので現在進行形みたいだ。レイらしい罰だと思う。
「そ、そう?」
「はい。きっと大喜びするとレイは言っていました」
それだけエネルギーを周りに還元出来るってことかな? レイを怒らせるのは止めようと思う。まあ、霊泉水を奪ったからそれで治療するかな?
シュウから連絡が来たのでメッセージを読んだ。人質の救助に向かったらしい。奴隷のタトゥーをカジュラに解除してもらって他のネクロマンサー達も救助すると書いていた。とうとう忍び込むとはいえ、貴族との対決になった。確執は深まる一方だ。
「いつか良くなる事ってあるのかな?」
「大丈夫です」
次の日の朝、シュウ達から連絡があった。他のネクロマンサーはもう処分されていて、人質は救助出来なかったらしい。クィッツさんの娘さんは既に息を引き取っていて、遺体を持って帰ってきて世界樹の教会の墓に埋めたそうだ。
「どうやら、霊泉水の雨で悟られた事に気が付いたからの証拠隠滅だね。遺体を持ち去ったのは不味いね。こっちの動きが分かってしまう」
レイは少し考え気味だ。
「黒魔術の暗殺や工作員の部隊って作られてるんだけど、誰が指示してるのかは分かってないみたい」
シュウからの追加の報告だ。
「政治の暗部ね〜? 大体どこもあるわよ」
マリーさんは納得していた。
「使い捨ての要員がいるという事ですね」
浅井さんも難しい顔をしている。
「真っ黒だな。エルフ族の高慢が可愛く見えるな」
マシュさんはどうでも良さげだ。政治は良く分からんと言っている。確かにこんなややこしい駆け引きは僕はさっぱり分からない。




