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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
くろいばら
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101 棘

 ◯ 101 棘


 第五フィールドでネクロマンサーが袋叩きに遭っていた。世界樹の跡地に降らせた雨を目敏く見つけたエルフ達が駆けつけると、術を仕込んでいたネクロマンサーとバッタリあったらしい。術を掛けて完成間際だったため無理矢理死体を起こして雨から避難しようと頑張っていたらしい。

 そこに駆けつけたルルさん達が捕まえて、何を企んでいたかを吐かせてアンデッド達の町に連れて行ったみたいだ。当然カジュラ達アンデッドは話を聞いて大激怒だ。

 何でも死体の軍団を作って、アンデッド達がエルフの里を襲った様に見せかけようとしていたらしい。光の空間が調度エルフの里の結界の外なのも下調べで分かっていたから、そこを襲えば対立して後は崩壊すると見ていたらしい。


「舐められたもんだな。我々がただの操り人形とジュニー達を見間違う訳が無いだろう」


 カジュラから連絡を貰って駆けつけたら、そんな台詞をルルさんがネクロマンサーに投げつけていた。


「無礼千万! 我らの神域を潰す気だったとは! 万死に値する!」


 知らないエルフの小さな女の子が叫んでいるけれど酷く違和感がある。時代劇語?


「月夜神様をも侮辱する行為、ただでは済ませられません」


 カジュラは静かに怒っている。うーん、本気で怒ると冷静なのかな? もっと激情に走ってそうな気がしたけど。足腰立たずに地面に転がっているネクロマンサーの顔は元の形が分からないくらいに腫れていた。僕は歯の折れた口にアストリュー特製ポーションを飲ませた。

 一時間後には顔の腫れは引いて、なんとか動けるまでに回復したので質問してみる。


「それで誰に頼まれたの?」


「ぬる過ぎる! もっと痛めつけねば吐かぬわ」


 後ろから見知らぬ女の子に罵倒されたけど、そのまま続けた。


「大丈夫だよ、心臓の術は解除してるよ?」


 イバラの黒いタトゥーが施された変な術は解除した。余計な事を喋ったら死ぬ程の苦痛を味わうみたいだ。泣き出したクィッツさんは切々と自分の状況と貴族達の悪行を語ってくれた。

 娘が人質だというのを聞いてはカジュラも怒りを少し引っ込めていた。ずっと脅されて、神僕の力を削ぐ為の工作をやったり他の種族を襲ったりさせられていたらしい。仲間も何人か捕まっていて、同じ様な境遇にいると説明された。村や町を襲った後は、奴隷を作る為に奴隷商人とも取引があったという。


「奴隷のタトゥーは久々に見ました」


 カジュラは薄らと残っているタトゥーをみて、何かを思い出したらしい。


「確かに。扱える者がまだいたのか」


 ルルさんも眉間に皺が寄っている。


「あれはそのような物か?」


 小さい女の子はルルさんに聞いていた。


「キポローム、もっと世間を見ろと言っているだろう。族長として恥ずかしいぞ?」


「あれが奴隷のタトゥー?」


 女の子が族長というのにも驚いたけど、イバラのタトゥーが奴隷を作る為に入れられているのだとは……。嫌な物が復活しているみたいだ。


「はいアキ様。その昔、あの遺跡のダンジョンがまだ出来上がってない頃の遺物です。あれをあっさりと解除されるとはさすがでございます」


 カジュラが嬉しそうに教えてくれた。そんな昔の物が復活したんだ?


「ふん、そのくらいは出来て当たり前だろう。そうでなくば見習いの立場など引きずり下ろして妾達に譲らせるわ」


 カジュラの賞賛を一蹴して、鼻息も荒く族長な女の子は睨んできた。カジュラ達は既に解除の方法は知っているみたいだ。だからあの首輪をしていたのか……。長い歴史の中で色々な戦いがあったんだろう。僕達はその重みを継いだんだ。


「それでどうするんだ? 見習いアキ」


「神罰中のルルさん、それはこの人が自分で決めるんです。ここの人達がどうするのかを決めないと進まない」


「ふん、傍観者か? あの雨は次は何時降る? 我が里には何故降らせぬ!? あんな何も無い場所に降らせて歯がゆいわっ!! 我らをないがしろにするなどと、我らの貢献をなんだと思っておる。こんな事を続けてよいと思っておるのか? 神というてもあの程度しか出来ぬ神等おらぬのも同じではないか」


 大振りの杖をこっちに向けて、お怒りな族長はイライラをぶつけてきた。困るよそんなの言われても。こっちはこっちでやる事があるんだから。

 そんな様子の女の子をルルさんが苦笑いしている。何か悟ったのかもしれない顔だ。


「カジュラ。シュウ達がネクロマンサーと戦ってたのが、四ヶ月くらい前だから話を聞いて纏めて欲しい。クィッツさんを連れて行って話をしてくれる?」


「はい」


 カジュラは頭を下げた。僕は世界樹の教会の確認に向かった。雨の降った後はあったけれど、術が壊れてないし、なんだか濡れてる場所が少ない? 後ろを付いて来て文句を言い続けている族長に向かってみた。


「雨を奪った?」


 気が付けない僕も悪いけど、こっちはこっちで大事な時なのだ。


「雨をどうしようとこっちの勝手であろう? 我らに恵みを持ち去っても文句は無いはずだぞ」


 やっぱり。エルフ達で雨を奪ったんだ。


「どうかな。神罰中なのを忘れてない? 雨がちゃんと降ってたらこの死体は動いてないよね?」


 はっ、とした顔でルルさんと現族長は怯えた顔をした。二人とも手に小さい擦り傷やら膝が汚れていたりする。転んだり滑ったりしているせいだろう。

 大体雨を奪わなければここの術も壊れているはずだし、というかエルフ族が横槍入れるからこんなことになってるんじゃないの? 墓から這い出しかけの瘴気を放っている死体をみて思う。


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