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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
くろいばら
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100 雨

 くろいばら

 ◯ 100 雨


 今日はシュウ達に久しぶりに会っている。カジュラ達とダンジョンに入ったり、ダンジョンの宝箱に入れる物を作ったりしていたからフィールドには降りてなかった。


「お、クッキーありがとな。美容セットも西本が喜ぶよ」


 手みやげを渡したら、シュウが嬉しそうだった。


「うん。こっちは霊泉水だよ」


「お、待ってたぜ!」


 祐志が僕の作った大容量の魔法のカバンに詰めている。今日はこの二人と会っている。他のメンバーは世界樹の教会で訓練中だ。


「西本さんは魔核の浄化をやってるんだって?」


「ああ。アキの持ってきたあの魔道具で頑張ってる。良い稼ぎになってるよ」


「良かった。魔力回復ポーションは猛毒がでるし、扱いの許可は無理だったから他のレシピを渡すよ。これとかは簡単だから、西本さんでも作れるはずだよ」


 眠り薬と抗眠気薬だ。それから霊泉水で作れるここの材料の薬として、思考の速度上昇による俊敏値上昇薬と目薬の遠目と夜目になれるのを渡した。こっちはちょっと難しい。西本さんが出来ないならルルさんに渡しても良い。

 透視の出来る薬は封印した。あれはダメだ……グロい物が見える。マシュさんは楽しそうに内蔵やらを見ていたが僕は無理だ。残念ながら衣服の透過は僕では出来なかった。


「この思考の速度アップってどのくらいだよ?」


「最高で1.2倍だったと思うよ。身体強化と合わせてだよ?」


 そのままではさすがに筋力の問題で無理だ。身体強化はまた別で考えている。


「成る程、それなら分かる。対応が出来るか出来ないかで全然違って来る。時間が短いな。……十五分か」


「時間を伸ばすと速度が落ちるんだよ。その下に詳細なレシピがあるよ」


「一時間に伸ばすと1.05倍?」


「実際はもうちょっと落ちるよ。気持ち調子いいくらい」


 僕は苦笑いした。微妙な薬だけどそんなもんだ。でも、薬って使いすぎても良くないからね、飲む組み合わせも考えたらこれ以上は難しい。


「いや、十分だ。これ以上は危険だろ?」


 シュウは祐志に実際に使う感じでの事を聞いた。


「確かにな。ピンチの時に飲んだら良いんだよな?」


 祐志もこの数字には納得したみたいだ。


「どう使うかは皆が決めれば良いよ。ちなみに重ねて飲むと逆に鈍くなるから止めた方が良いよ」


 僕は闇の取引のナヴォーシェン秘密結社の事を知っているか聞いてみた。


「こっちに来て少しした時ぐらいに接触はあったけど、それ以来無いな」


 一応は接触があったみたいだ。


「そっか。貴族達が見張りを立ててるくらいだから無理だよね」


「まあな。時々そういった勧誘は来るけど、爵位とか要らないしな」


「そんなの言われるの?」


 初めて聞くよ?


「そ。名誉な事だぞ! って怒鳴り散らされるとイラッと来てさ、帰ってもらったよ。調度、アキが来る前くらいだったっけ?」


 祐志が笑っている。


「ネクロマンサーと戦ってたとき?」


「そう、調度そのくらいだよ。こっちは真剣に戦ってる時に向こうがしつこく交渉してきて、我々と手を組めばこれくらいは退治出来るとかなんとか言ってさ。見下されてて腹が立って意地でも自分達で解決するってやってたんだ」


 祐志の言葉に勝利をもぎ取れたのは癒しのクッキーのおかげだよ、と言ってシュウも笑っている。


「大体見てないでお前らがやれよ! ってな? 町を見捨てるみたいな言い方が腹が立って追い出したんだ」


 二人の会話を聞くとおかしい。貴族達の言分だと、自分達とネクロマンサーとの繋がりを疑われてもおかしくないよね?


「そのネクロマンサーと貴族達の繋がりとかは無かったの?」


「そこまでは分からない」


 疑ってはいたけど裏は取れなかったらしい。


「術者は倒せたの?」


「さあ、倒せたんじゃないかな? 最後はボスっぽい王冠を被ったスケルトンが相手だったし」


 祐志は首を傾げている。


「そいつは喋った?」


「いや、全然。でも目の奥が黒く燃えてた」


「切り伏せた時は体中から黒い靄が出て霧散したな」


 シュウがその時の様子を思い出して説明してくれた。


「そっか。思念を飛ばせない様なボスじゃ死体は操れない。術者は他にいるよ」


 僕の台詞に二人は顔を見合わせた。


「まじか?」


「世界樹の教会の周りは死体だらけだぞ、大丈夫か?」


 祐志も大事な事に気が付いたみたいだ。


「変な術を掛けられない限りは大丈夫だよ」


 瘴気を一定期間流し続けるとかそんな感じの術だ。奴隷達なら元々怨嗟を溜め込んでた体だ。術も掛かり易い。


「死体を操る術か。墓守は必要だな?」


「そうだね。警戒はした方が良いね」


 僕はクッキーを追加で自分の分をシュウに渡しておいた。いつもの非常食のサンドイッチもだ。


「おおー、宝箱の究極の癒しのサンド! 待ってたよ〜」


 ひとしきり匂いを嗅いで、祐志が嬉しそうにサンドを受け取って大事にカバンに入れている。


「サンドイッチの効果って何?」


「精神攻撃無効、魔物とアンデッドの攻撃を軽減」


 即死の呪いとかにも効くので重宝したらしい。そんな呪いがあるんだ……。反発の魔法陣はしっかりと肌身離さず持っておこう。


「攻撃を軽減って瘴気の固まりを防護してるってこと?」


「さあ、詳しくは分からないよ」


 シュウは首を傾げた。そっか。普通はそこまではこだわらないんだ。神界に戻って今回の事を報告した。


 霊泉水の大量輸入が始まった。用意しておいた方が無難だというのでそうなった。アストリュー住民なので格安で仕入れが出来て助かる。

 アイリージュデットさんが一番嬉しそうでプールの中を泳いでいた。いつの間に作ったんだろう? まあ息抜きは大事だ。

 霊泉水は世界樹の教会の周りに雨として掛けていった。当然周りも綺麗に浄化されて瘴気を溜める様な術は弾かれる。大量に仕入れたと言ってもピンポイントな雨を降らせるくらいしか出来なかった。それでも敵の目的を妨害するのには役に立っていると思う。

 まあ本当は僕の修行でもある。世界を支えているアイリージュデットさんの力を伝って、神界からフィールド世界に繋いで雨を降らせるというのを頑張った。

 霧雨のように細かい雨になったけれど雨は雨だ。レイが苦笑いしつつ、一応は雨だねと言ってくれた。新人だと普通はバケツをひっくり返した感じに水を落とすのが多いらしい。僕にはそっちの方が難しい。


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