お洒落泥棒は止められない 2
◯ 2
次の日、お兄ちゃんの持ち込んだ可愛い服を取っ替え引っ替えして着て、部屋でファッションチェックをして満足していたら、お福さんが歩いているのが半開きのドアから見えた。
「お福さん?」
「ミャ」
小さく挨拶を返してくれたが、そのままお兄ちゃんの部屋の方に入って行く。
お福さんはお兄ちゃんに良く懐いていたから時々お兄ちゃんの部屋に入ってはベッドを占領していたけど、最近は人間用のベッドは無くなってお福さん専用の寝床が出来上がっている。猫専用のドアまで付いてかなりの待遇だ。
お兄ちゃんの部屋は亜空間仕様で、中の空間は改造されてるんだって言ってた。まだ意味が良く分からないけど、部屋は倍以上の広さになって事務所になってる。靴ままで上がれる床になっていて、神界警察とやらの出先になっている。
お兄ちゃんの部屋のドアは玄関にも繋がるので、伊東さん達は家の玄関から時々外に出て行っている。
でもそれらは秘密で、お兄ちゃんの部屋のドアには、猫の手探偵事務所と書かれたネームプレートが貼られていて、所長はなんとお福さんだ。
つまり、さっきのは社長出勤って事ね。
「良いな〜猫は。部屋で寝てるだけでお給料がもらえるなんて」
お給料は高級おやつを貰っているみたいだ。
ふと見ると、またお福さんが階段の方に向かって歩いて行っている。その後ろに子猫が付いて歩いている。首に青いリボンが付いていて可愛いパステル猫だ。私が見てる事に気が付いてビクッとして固まっている。
「可愛い〜。お福さんこの子何処から連れてきたの〜?」
私はすぐにドアのところに行って子猫を拾い上げた。ちょっと震えているが飼われてる猫なら大丈夫なはず。綺麗な青い目だ。
たっぷりと細くて柔らかな毛を堪能して撫でていたら、子猫は喉を動かして気持ち良さそうにしている。
「ニャー」
「お福さんも来る?」
膝に乗ってきたのでお福さんも撫でると大人しくしている。餌無しでも撫でさせてくれるのは珍しい。
「お福さんの毛ってこんなに軟らかかったっけ? 最近つやつやだよね、お兄ちゃんのせいかな?」
子猫がビクッとしてから固まった。どしたんだろうと首を傾げてみていたら、なんだか透明に透け出した。
「えー? 幽霊猫?!」
あわてて部屋を飛び出して隣の部屋に戻って行く子猫は、廊下に出る時に思いっきり滑って転んでいた。
大丈夫かな? なんだかあのドジっぷりはお兄ちゃんを思い出す。……まさかね? 後で追究してみようっと。意外と猫好きの神様に猫にされたのかもしれない。




