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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
てんのさばきとあくのぎしき
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99 世界樹

次は作者のまとめ 3 です。

これはヘラザリーンって誰だっけ?

という人には読む事を推奨致します。

 ◯ 99 世界樹


 基本はアストリューで妖精達と過ごしながら草木のお手入れをして、夢縁に行っては講義を受けたり、星深零の区画で新人の神見習いの講習を受けたり、ガリェンツリーに行って管理神の仕事をやったりとめちゃくちゃな事になっているけれど、三月の終わりにとうとう夢縁のクラスアップ試験で五つ星になった。


「試験官が涙目だったみたいよ?」


 久しぶりのお茶会で董佳様が何したのかを責める横目で見つめてきたので答えた。


「何をしたの?」


 怜佳さんも首を傾げている。


「実際に体験した事が一番効きますね! 借金の恐怖で胃が痛む感じを精神攻撃にしました」


 気合いをいれて説明したら、二人とも思い当たった表情をして目を逸らしてる。


「何か分かるわ。半端無い額だって浅井が頭を抱えて、これまでの苦労が消えたって泣いてたわよ」


「夢でうなされそうね。家のローンを組んだばかりの試験官だったらしいし、後を引かないと良いけど……」


 姉妹揃って何とも言えない顔でお茶を啜り出した。まあね、全く自慢にならない。


「そういえば、とうとうなんかの薬品が使われてる商品が出回ってるらしいじゃないの」


「あ、はい。危険物質でもあるので取扱の規制をするのに時間が掛かってて、やっと終ったんです。使える場所や、資格も決めてちゃんと審査もやるんで売り出しはゆっくりですね。管理組合が必ず噛んでないとダメってことになりました。正確にはアンデッド協会とみかんの研究班も入ります」


 みかんの研究班とはマシュさんのお仲間の研究熱心な人やら技術者やらの集団だ。みかんの中間界の不思議効果の中で日々研究にいそしんでる。とても近寄れない雰囲気が漂っているが、みんな僕には愛想がいい。


「随分慎重なのね?」


「そうですね。使い方次第では爆発するので……。わざと爆発させてエネルギーとして使うのもありますがそこまでする必要は無いですし、それをするのは禁止になりました。元が毒物ですから万が一の為に安全性を優先させたらそうなりました」


「資格試験があるってことね?」


 怜佳さんが最後の説明で納得したみたいだ。


「はい。頑張って取りました……」


 その時の事を思い出した。爆発を抑え得る為の配合だとか、なんか色々と計算をするのに数字と向き合わされた。


「その虚ろな目で察するわ。かなりしごかれたわね?」


「は、い」


 董佳様にはバレてしまった。試験までの間に何回メレディーナさんのお世話になったか分からない。


「ヘラザリーンの行方が分かって安心したわ。こっちは警戒態勢は解いたのよ」


 少しホッとした表情で董佳様は教えてくれた。


「長かったですね」


 前に聞いた時は何時だっただろうか?


「ほんとそうよ。まさか生け贄になるなんて思ってなかったでしょうね。自分のした事がそのまま自分に返ってる様な物よ」


「確かにそうですね」


 人の体を奪って生きてきた報いなのかもしれない。


「ここでの悪行は数えきれない程よ?」


「他の世界でも悪名が高かったみたいですね」


「地獄の門を開くなんて、無茶をした者が一番責任を取らなくてはならないのよ」


 怜佳さんもその事には厳しい。


「あの商会は責任を問われるわね。破綻してもずっとやった事は残るのよ。何処にも受け入れてもらえないで地獄に行くわね」


「地獄に戻るんだ」


「……そうね、戻ると言うべき、あれはあちらの者ね」


 怜佳さんはそう言って目を伏せた。そのままお茶会はお開きになって、僕はアストリューに戻った。管理組合から注文のみかんの空間をいくつか作って出荷してから、マリーさんと一緒に癒しのクッキーを作り始めた。

 どうやらダンジョンでこのクッキーは随分役に立っているらしい。クッキー争奪まであったというからすごい事になっている。霊泉水は更に欲しがられる一品だった。


「このクッキーは食べてからしばらくは状態異常に掛かりにくいだなんて……知らなかったわ〜」


 マリーさんはクッキーをつまみ食いしている。


「うん。持続する癒しの効果が入ってるんだって。回復と治療の効果も高まるからパーティーメンバーでこれを食べてからダンジョンに入る人が多かったんだって」


 ポーション要らずだ。それに治療師には嬉しい自身の力の増強にもなる一石二鳥な美味しさだ。ルルさんはこれの作り方を教えてくれとうるさかった。材料は神界にしかないから無理だと教えたら大人しくなった。神界じゃなくて更に外だけど……。


「こっちでは普通のクッキーだけど、ガリェンツリーでは貴重品なのねぇ。アンデッド達には逆に火傷する様な危ない物だから気をつけないとね〜」


 熱がとれたクッキーを袋に入れていく。


「そうだね。アストリューの聖域で作られたハーブ入りだし、効果は随分高いみたいだね。レイが他の世界でもどうか調べてたよ」


 どうやら、ガリェンツリーの世界が弱っているのが原因だけでもないらしい。確かに癒しの温泉地で霊泉の世界なだけある。この世界の価値の高さを、また上げる事になるかもとレイが言っていた。


「霊泉水はどうなの〜?」


「神聖なる祈りの水って出てるからね。これで作った体力回復と治癒の薬は指くらいなら、切り落とされても生えてくるんだって。一番高値で取引されるんだ。それもギルドを通さずに闇で出回るんだって」


 うーん、確かにこっちでは歯も生えてくるしね。傷の治りは本人のレベルにも依存してるみたいだ。


「その話は聞いたわ〜。貴族達には知られていない闇のルートがあるって。どうも貴族の中にも平民が虐げられている事に疑問を持つ者がいたみたいなのよね〜。良い事よ?」


 詳しくは分かっていないけれど、そんな闇ルートを管理する秘密の結社があるらしい。


「うん。とうとう奴隷の首輪の回収はされなくなったみたいなんだ。奴隷商人が捕まったのもあるけど。これで改善されると良いね?」


 神に逆らわない様な意識改革は難しい。力でねじ伏せるのでなくて理解してもらう。アイリージュデットさんがやってきた事だ。


「そうね〜、ここからは人がやるべき事よ。各種族の壁を越えて手を取れるかどうか。カジュラ達がやるわよ〜」


 ガリェンツリーは簡単に差が付く場所でもある。強い物が優遇され易いそんな世界だ。底辺を上げるのは僕達次第だ。落ち込んだエネルギーのままで奴隷をやってる人は、ここに初めて来た時の僕の様に生命力から低いレベルにある。

 あそこまで極端じゃないけど、そんな状態だって説明で何となく察する。世界全体に低くなっているのだ、全ての物と命あるものがそんな調子だ。

 そのくせ、瘴気や地獄の気がたっぷりと溜め込まれているという不安定さ。世界樹の無くなった第五フィールドのように、マスク無しではいられないほどの瘴気や地獄の気を他の世界樹は抱え込んでいるのだから。

 逆に言うと皆の存在のエネルギーで世界樹が瘴気を押さえ込んでいたんだ。破綻すれば、全て消える。


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