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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
てんのさばきとあくのぎしき
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96 発覚

 ◯ 96 発覚


 また宝箱が出てきた。今度は治療魔法が入った魔石の指輪だ。僕が初心者キットで作ってるあれだ。


「指輪か。何か分かるか?」


「光で癒しだな。これは良く出てるから余り価値は出ない」


 クーノスさんはそれを聞いてちょっとがっかりしている。


「でも、私にも治療魔法が使えるのは嬉しい〜」


 ジュニーさんは嬉しそうにしている。既にその指輪をしている。一定の力しか出ないけど好評のようだ。


「ああ、雷の魔法入りが一番高値だ」


 聞くと魔法が苦手で攻撃魔法が使えない町の人でもなんとか使えるので、護身用に身につけているらしい。雷、炎、水、治療、回復の順番に人気が無くなるみたいだ。

 その内に防護障壁と圧縮した空気を飛ばす風弾も入れる予定だが、まだ作っていない。魔物に向かえる程ではない威力なので護身用だ。


「貴族連中も持っているのが宝箱から出てる。庶民はずっと手に入らなかった物だ。奴らのとは威力も等級も下がるから今の所は見逃されているが、使い方次第では素人でも弱い魔物を仕留めれる。剣とかと応用すればやれなくはない」


 クーノスさんは自分の指に嵌っている雷の指輪を見せながらそう説明してくれた。


「ちゃんと需要はあるんだ。良かった」


「今は見逃されていても民衆に行き渡ったら脅威なのは気が付いてそうですよ」


 カジュラは冒険者ギルドに指輪を見に来ていた貴族の様子を話してくれた。シュウ達との練習の合間に影に紛れて動きを探ってくれているみたいだ。

 今回のダンジョンの探索は、予定外に初級のダンジョンが中上級のくらいの物になっているせいで一泊するだけでカバンが満タンになり、全員で相談して出直す事になった。大体あの吸血ワームがいけないよ、あれだけで僕のとマリーさんの魔法のカバンが半分埋まっているんだから。

 でもまあ、ハイドーリアさんはこの吸血ワームの味は気に入ったみたいでこの探検中よく食べていた。


「宝箱は二つだけだったね」


「随分減ったが、中身は前と比べれば良い。使える物が増えてるからな。癒しのクッキーはかなり嬉しいが、最近見ないな」


 食料が良くなってると聞いているので控えている。催促する様なルルさんの目は無視して帰りの道を進んだ。世界が良くなれば少しずつ薬草も魔法薬の材料の霊草も増える。同時に癒しの草木も増えるはずだから入れなくても良いのだ。

 それよりも人族の大量の採取で生えてる端から消えてるのを聞いた。そんなに慌てて取る必要があるんだろうか? わからない……。消費期限だってあるのにそれとも戦争でもやる気なのかな? 警戒しておいた方が良さそうだ。

 第五フィールドの冒険者ギルドに着いた。ここの職員はアンデッド達だ。人族は二、三人だけいる。


「買い取りをお願いする」


「畏まりました」


 色々と売り払って魔石も引き取ってもらった。大量のこんがり焼き上がっている吸血ワームはドワーフ達の広場で皆に配る事になった。ここの復興はまだまだ時間が掛かる。森も枯れたままだし大地も瘴気を放って植物も殆ど育ってない。

 それでもドワーフの泉の周りは薬草の芽が生え出したと嬉しそうに話しているので、その内他も良くなるはずだ。泉の水で宝箱から出た種からハーブや野菜を育てたりしているそうだし、少しずつ豊かになるに違いない。


 神界に戻った僕は、会議で薬草類を根こそぎ採取している人族の動きを議題に上げた。


「それは嫌な感じだね。量は分かってる?」


「毎日千本単位で動いてるって」


 ガリルの報告ではそうだ。


「ふうん、まだ兵が集められてるとかは無いみたいだよね?」


「うん。転移門に細工する?」


「そうだね。大量の人の移動は制限するよ」


「それが良いわ〜。先に手を打っておきましょ〜」


 そこに緊急アラームが響き渡った。会議室の大パネルに第七フィールド内の遺跡のダンジョンの人族しか入れない場所に侵入しようとしている貴族らしき人達が七人映った。何やら色々なアーティーファクトを壁に埋め込んだり壁に向けて色々な光を出す道具を試している。


「お、あれはブランダ商会の奴らだな」


「マシュさん分かるの?」


「いや、あの機械はそうだから間違いないだろ。奴ら中に入ったら驚くぞ」


 ニヤニヤ笑いのマシュさんは楽しそうに言った。既に中身は空っぽになっている。中の怪しげな機械は全て綺麗にエネルギー変換して戻しておいた。

 世界の外への転移制御も、やろうと思えば出来るくらいの施設だったのでちゃんと抑えている。

 なんとか中に入ったブランダ商会の人達の落胆ぶりはすごかった。仲間割れをして殺し合いまでに発展している。僕は目を閉じておいた。気持ち悪過ぎる。

 マリーさんは既に現地に向かっている。着いた時には三人がにらみ合っている状態だった。あっさりと捕まえて神界に連れてきた。


「さて、逃げ遅れて更に見捨てられた人達だよね?」


「洗いざらい話してもらおうか?」


 レイとマシュさんが人の悪そうな顔で三人の顔を見比べている。


「ふうん、王室から盗んだの? それって見つかったら君達無事じゃ済まないよね?」


「離せっ! 外に出せ!」


「無理だよ? 奴隷商人を束ねてる貴族だよね? 都合悪くなったから逃げる気だったんだ」


「うるせえ! 管理神を殺したのか? 泥棒が! この神殺し!」


「死んで無いよ? 今頃ブランダ商会の下働きでもしてるんじゃない?」


「嘘をつくな!」


「口を閉ざしてくれていいよ?」


 レイのその一言で真っ青になって命乞いを始めた。その全員に猿轡を嵌めたマリーさんは質問した。


「人族はまた戦争を起こす気なのかしら〜」


「へえ、図星か。それで逃げようとしてたんだね? 神に向かってか。転移門を狙って出てくる者を片っ端って、また無茶苦茶考えてるんだね?」


 レイは心を読んで質問している。


「そんな酷いよ。他の人達はどうなるの?」


 そんな物騒な事を考えてたんだ。


「巻き込んでも良いと思ってるね?」


「最低だな」


 マシュさんでさえ嫌そうな顔をしている。


「へえ、少しは反対派もいるんだ? いいよ。もう、消えてよ」


 レイがそう言ったと同時に三人は意識を失った。三人は盗んだアーティーファクトと共に王宮の前に捨てられた。その後は知らない。

 対策として転移門は移動する向こう側が見える様に作り替えた。生体端末に転移しますか? の文字が浮かび、問われる。兵士が武器を持って待ち構えているのを見れば誰も行こうとはしないし、冒険者ギルドに張り紙をして町の皆に触れ回った。

 作戦が漏れた事を悟った人族の貴族は大量のポーション類を売りに出していた。値崩れしたそれらを大量に買って僕達はあの密林のダンジョンに向かった。


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