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世界を繋ぐお仕事 〜世界征服編〜  作者: na-ho
てんのさばきとあくのぎしき
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95 天門

 ◯ 95 天門


 ダンジョンの道に生えてる草を踏みしめて進んで行く。毒蛇やらは先頭を行く人が片付けてくれるので助かる。


「ここのダンジョンは人が余り来てないのね〜?」


 マリーさんはさっきから質問をしている。


「はい、天門から離れていて道もあの通り、徒歩でしか移動出来ませんからね。町も無いですし……」


 カジュラ達こっちの人は天門と転移門の事を呼んでいるみたいだ。


「成る程ね〜。それでここに住んでるエルフも来てないの?」


「ここの里は真逆の方向に位置していて、その奥にも余り知られていないダンジョンがあるからな」


 ルルさんが今度は答えた。


「風の洞窟ダンジョンね? 一回だけ連れて行ってもらった所よね」


 ジュニーさんがルルさんに聞いている。そんなダンジョンがあるんだ。


「本来の里を出てからはあそこに世話になっていたからな。この十年、肩身の狭い想いをしたぞ?」


「こっちに町でも作れば良かったんじゃないの〜?」


 マリーさんが首を傾げながら聞いたら、


「こっちは住むには方向が悪い」


 そんな答えが帰ってきた。


「そんなのあるの?」


 占いとか?


「風水的な奴ね」


 マリーさんが答えてくれた。


「そんなのもあるんだ」


 なんとなく納得した。そういう考えは日本でもあったし。


 結局、クーノスさんとハイドーリアさんが前を交代で歩いて、僕とジュニーさんがその後ろを、更に後ろがルルさんとマリーさんが並んで歩いている。カジュラは僕達の前か後ろで空を警戒している。


「何か小さいのが一杯来るよ? 地下から」


 僕が皆に伝えると、ハッとした顔でカジュラ達は警戒し出した。


「吸血ワームだ。小さいが大量に来るから捕まったらあっと言う間にひからびる。走りながら行くぞ?」


 確かに歩く速度より早いペースで追いかけてくる。


「いや〜ん、そういうのは苦手〜」


 マリーさんは苦手なタイプみたいだ。


「私も〜、カジュラは空に逃げれば良いけど、私達はそうはいかないんだから〜」


 ジュニーさんも嫌いならしい。


「飛べないの?」


 聞いたら、クーノスさんが振り返って答えた。


「滞空時間が短い」


「そっか。でもそれ、空を歩けるブーツだよね?」


「そうだが、まだ使い慣れなくてな。今回初めて手に入れた所だ」


「そうなんだ」


 どうやらまだ使い方をマスターしてないみたいだ。吸血ワームの速度が上がった。


「早くなったよ?」


「ちっ、魔法の用意は?」


「やってる」


 その声とともにワームが地上に姿を現した。一つが十センチ程だったけど、どんどん地中から飛び出しては襲いかかってくる。何か三メートルくらい飛んでません?


「鳥肌〜!!」


「う、僕、あれは嫌だよ」


 前にはまた大きなゴリラがいる。ジュニーさんが後ろの吸血ワームの大群に火炎を飛ばした。黒バッタよりも気持ち悪い光景に僕は両手で吐きそうになるのを抑えていた。今度のクラスアップの試験の精神攻撃はあれにしようかな……。


「まだ来る!」


 ジュニーさんは嫌そうな顔をしながら僕達の方に走り出した。キングゴリラはマリーさんが一撃で倒してしまっていた。僕が魔核を拾ってジュニーさんがまたワームの固まりに火炎を飛ばしている。

 何度か炎を飛ばして息が上がってきているので、走りながら回復を皆に掛けていく。


「器用だな」


 ルルさんが苦笑いしている。小さな岩場に着いたのでそこで吸血ワームの迎撃をし始めた。周りを囲まれるのは嫌な感じだけど我慢だ。


「取り柄はそれくらいだし」


 スフォラが電撃を合間に飛ばしているが、一向に減ってない気がする。カバンから魔力回復薬を出してジュニーさんに渡した。


「きゃー、魔力ポーション! 高いのよ〜これ!」


「噂の物か?」


「最近の宝箱には滅多に入ってないって聞いてるの〜。マミーや、スケルトンの物が多いのー」


 さすがにジュニーさんは純魔法職だけあってポーションの値段まで詳しかった。ワームの攻撃が少し止まっているスキに飲んで回復させている。


「アンデッド達が神界で作ってるよ。出来る物がどうしても他の種族のは少なくなるんだ。材料のせいだからどうしようもないよ」


「そういう事か。地上では作れないのか?」


 ルルさんは何か悟ったらしい。隣ではハイドーリアさんが火焔の柱を吸血ワームの出てくる地にどんどん作っている。片手には魔力回復薬を持って飲みながらやっている。


「作る為の魔道具を作ってる段階かな。まだ分からないよ」


「本当? 私、頑張っちゃう〜」


 ジュニーさんは作る気満々だ。皆で魔法を飛ばして吸血ワームを食い止めている。マリーさんとクーノスさんは上空の他の魔物をどんどん倒していっている。


「人間用のは今までのもあるし、新たには入れない方が混乱しないとは会議に出てるから、出ないかもしれないよ?」


「だってこっちの方が良く効くんだもん。ハイポーションだってみんな言ってるんだから」


「貴族達の秘匿しているハイポーションより効いてるからな。そのせいで高値で取引されてるが人族にとっては今回の神は悪神に見えるだろうな」


 今までの独占のつけがここに来て、他の種族や平民と見下してた人々に出回っているのが気に入らないという訳か。もう少しゆっくり変革させないと危ないかな? 


「それは知らなかったよ。かぶりがあったんだね……」


 なるほど、貴族の世界の外で売られてなかっただけか。兵士や騎士達だけで独占しているらしい。時々ダンジョンに入っているみたいな事を聞いている。まあ、貴重な物ならそんなものなのかもしれない。


「今度は水中キャンディーだし、大丈夫でしょ〜」


 周りの魔物が片付いてマリーさんも時々魔法を飛ばしてくれている。


「それはどんなのでしょう?」


 カジュラも高火力の炎を飛ばしている。


「水の中で十五分くらい息が出来るよ」


「ほお。面白いな。マーマンどもに一泡吹かせてやる!」


 悪い顔をしているルルさんはマシュさんとダブる……。嫌だなぁ。


「取り敢えずは、一度薬類も整理しないとダメね〜」


 マリーさんは苦笑いしている。


「そうだね。出鱈目なのが多いし」


 僕の言葉で、他のメンバーが口々に何か言い出した。


「禿げる薬は要らない」


「毒消しは良いが、あの笑いは何とかならんのか?」


「毛生え薬は欲しい所と違う場所に生えるんだけど……あれはわざとよね? 悪戯し過ぎだよー」


 ハイドーリアさんは僕達の顔を反省した方が良いって目で見ていた。


「薬の効果が切れたら普通に戻るし〜、毛は切れば良いし。治験もやってるあたし達も被害には一通り合ってるわね」


「まあね」


 僕達の暗い雰囲気に気圧されたのか全員が黙った。ちゃんと下剤も体験しとけと飲まされている。相手はマシュさんだ。仕方ない。禿げる薬はメレディーナさんに頼んでなんとかしてもらった。伸びてくるまで何ヶ月も待てない。


 何時間か経ってなんとか吸血ワームは全滅したのか撤退したのか分からないけれど、危機は去った。こんがりと焼けたワームを皿に盛って食べてる皆は放っておいて、僕は持ち込んだ食料を食べた。

 マリーさんは恐る恐る試していて、まあまあねと言って食べている。岩場の周りにある大量のワームの料理は僕のポーチに入れられた……。それでポーチの半分が埋まった。


「良く入るなその魔法のカバン」


 クーノスさんが感心してポーチを見ている。


「うん、でも後半分になったよ」


「まだ入るのか」


 驚いている。


「そうだね。マリーさんのもあるからまだ入るよ」


「それは宝箱には入れないのか?」


「まだ入らないよ。間違えて大きくしすぎたんだ」


 地獄型ダンジョンの魔石を舐めてた。しょぼくて売れない魔石を引き取って作ったのにこんな事に……。宝箱はここの生活水準が少し上がるくらいの物を入れている。その内徐々に引き上げていく予定だ。貴族に独占されない様にほんの少し良いものを入れているのだ。


「いずれは出るのか?」


 クーノスさんは尻尾を振りながらこっちを見ていた。楽しみなのかな?


「そうだね。発展具合を見ながら徐々に上げるって言ってるからそうなるよ」


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