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偽善
夕日の差し込む教室で あの子はプリントをまとめていた
誰もあの子を手伝おうとはしない 僕は仕事を半分引き受けた
あの子は言った 「ありがとう、君は優しいね」
僕は困惑した 引きつった笑顔を見せた
僕は優しくなんかない 僕はあの子を利用した
僕の価値を高める為に あの子を利用した
人の価値はどうやって決められるのだろう
どれだけ他人のために自分を犠牲にできるか だろうか
本当の優しさとは何だろう
本当に優しい人は きっとこんな事で悩んだりはしない
「困っている人を助けるのは当たり前 何の見返りもいらない」
何の疑いもなくそう言える人がいたら それはきっと本当に優しい人
僕は違う この世界に「価値あるもの」として存在するために 人を助ける
僕は自分勝手だ