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恋愛もの

言えない。もどかしさ

作者: 雪 渓

好きな人とその友達と、僕との帰り道。


伝えたい言葉。たらない勇気。


そして......。


叶うことなのい恋の唄


 好きで好きでたまらなかった



 都合よく空いたスケジュール

 吹奏楽部に入部した高校の先輩からのお誘いで演奏会に行くことになった


 僕は運がいい

 好きな人と、こんなにも長く一緒に入れるなんて


 もちろん「二人だけ」なんて都合のいいわけじゃない

 君はどうとも思っていないんだろう

 親友と共に僕の前を歩いていく


 演奏を聴き終わったあと、外に出るともう真っ暗だった

 その中で、時折雲に隠される満月が僕らを見守っている


 綺麗な夜景を見ながらの帰り道


 初々しい春の夜風が君の髪を波立たせる。

 友達とはしゃぐ君の笑顔が、僕は何より好きだった



 ―――二人だけだったら、すぐに言えただろうか?



 心の中でつぶやいた


 何度も、何度も言おうとした。だけど、決して口からはでない言葉



「ねぇ、好きな人いる?」



 可愛い微笑みをたたえて、君が僕に尋ねる

 これは? いいや、違うんだろう。なんとなくそう思う


 でも、後悔するだろうな。ここで言わなくちゃ



「......うん」



 いい機会チャンスだ。

 そう思って、こっくりと頷く僕。だけど、本当に言いたい気持ちは、言えない



「ねぇ、だれ?」



 また君が尋ねる。さっきまで君と騒いでいた友達の方は、押し黙ったままだった



「ぼ、僕は......」



 ―――僕は、君が好きなんだよ



 だけど、本当に伝えたいことは口からはでない

 心の中が、熱くなる。キューって、胸が締め付けられる

 頭がカッとなって、自分でも顔が赤くなるのが分かる



 だけど、言えない。



 君も恥ずかしかったんだろう

 もともと、なんの気なしにこんなこと聞けるような子じゃない

 なかなか答えない僕をみて、君も話題を変えた


 帰り道は、どんどん少なくなっていく


 小川のほとりに立つ街灯と、その淡い光に照らされる夜の柳

 雲の隙間から月の光がなびくとき、それは最高に美しかった


 過ぎ行く景色と共に、僕が君と一緒にいられる時間も短くなっていく

 さっきの小道から大通りに出ると、人の往来が一気に増えた。



 ―――もう、告白なんでできないよ



 なんか、悲しくなった。

 だって、これでお別れなんだもん

 学校は一週間前に終わった

 僕らは自分の夢を叶えるために、それぞれの方向へと歩んでいこうとしている



 ―――ほんとうに。ほんとうにこれが最後



 三年間の学校生活。クラスや委員会で笑った君の顔が

 浮かんでは、消える


 胸が引きつけられる。叫び出したい


 そんな思いも虚しく、君は友達と一緒に僕の前を進んでいく

 時々聞こえる君の笑い声。いつかこれも、淡い、懐かしい記憶に変わるのかな?


 いつの間にか、駅のホームについていた


 電車を待つ数分の間、僕も彼女たちの話の輪に入ることにした


 女の子と話すのは、苦手じゃない。むしろ楽しい

 別に下心なんてないけれど、考え方も違うし、何より情報通だ

 僕の知らないことをいっぱい教えてくれる


 だけどそれは、君がいなかったらのはなし


 すぐそばにいるのに、思いを伝えられない切なさ

 早く言っちゃえよ。って思うのに、言葉は喉で止まってしまう


 あぁ、電車が来ちゃったな


 このまんま、ずっと、お友達のまんまなのかな

 それは、いやだな。

 もう、言っちゃおうかな?


 でも、こんな電車の中じゃ面白くないや。浪曼がない

 よし、むこうの駅で、言おう。



 心に決めた。


 ダメでもいい。


 気持ちを伝えられるのなら。



 






まぁ、こんなことってありますよね。

ほんと、リア充の方って凄いですよ。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ある意味、この時が一番「リアルに充実」している瞬間ですよ。  この時はケンカになりようが無いわけですから。  リアルでこんな事ってあるんですかね?  少なくとも私には無かったですよ?
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